これぞ日本の大動脈! 東名高速を全方位的に楽しみ尽くす『東名高速をゆく』
#本
今年のお盆も、例年と変わらず帰省ラッシュにより高速道路は大渋滞となった。帰省&Uターンラッシュは夏の風物詩といえるだろう。毎年のことといえど、もううんざり。そんなドライバー諸氏が待ちに待った「新東名高速道路」が2012年初夏、いよいよ開通する。東名高速道路と並行して走る新東名は、御殿場JCT-浜松いなさJCT間、及び連絡路を経由する三ヶ日JCTまでの区間から開通を始め、2020年に全線が開通する見込みだ。これで渋滞も多少なりとも緩和されることだろう。
東名高速は、年間利用台数がなんと1億5,141万6,468台(2002年度)にも及ぶモンスター・ハイウェイ。ドライバーなら誰でも一度は通ったことがあるだろう。『東名高速をゆく』(イカロス出版)は、以前、当サイトで紹介した『首都高をゆく』に続く「○○をゆく」シリーズのムックだ。高速道路の”代名詞”東名高速を、建造秘話、SA案内、道路整備の裏側、NEXCO中日本の歴史など、東名高速を全方位的に語り尽くしている。特に名神、名阪、新名神など、NEXCO中日本の高速道路をすべて押さえたルートガイドは必見だ。もちろん件の新東名も巻頭特集で取り上げられている。
終戦直後、アメリカの調査団をして「日本の道路は信じがたいほど悪い。工業国にしてこれほど完全にその道路網を無視してきた国は日本の他にない」とまで言わしめた日本の道路事情だったが、1960年代からの高速道路建設ラッシュを経て、日本の道路技術は飛躍的に向上し、現在では数々の新技術が用いられている。騒音を効率的に抑えるための「Y字型遮音壁」や、照明が近隣の住民の迷惑にならぬよう、紫外線を当てて標識を光らせる「紫外線照射標識システム」、地域の生態系にあった植栽を植える「地域性苗木」の生育、イノシシやシカなど野生動物が通るための「けもの道の設置」など、NEXCO中日本は自然環境と調和する「エコロード」作りを推進しているのだという。
われわれが普段何気なく走っている高速道路であるが、その裏側には驚くべき技術やサービスが施されている。退屈な長時間の運転も、高速道路にまつわるetc.を知っておけば楽しく走れるに違いない。『東名高速をゆく』、ハイウェイに乗る前に読んでおきたい一冊だ。
(文=平野遼)
旅のお供に。
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