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辞典は読んでも面白い!? 知らない日本語がいろいろ『広辞苑の中の掘り出し日本語』

koujien.jpg『広辞苑の中の掘り出し日本語』
(バジリコ)

 どうも。「抱籠」を抱いて、「じゅんのび」なうです。わたし今「寝臭い」かも……。ちょっと前まで「ステッキガール」をしていたんですが、「無気根者」なので、最近は「ぬめり歩い」てます。「へへやか」過ぎて、このまま「ほたえ死に」しちゃいそう。
 
 上の文章は、『広辞苑』(岩波書店)に載っている言葉で作ったもの。

 といっても、『広辞苑』を引いたわけではない。言葉を使うことを生業としてきたライターの永江朗氏が『広辞苑』を読んでいて見つけた、知らなかった言葉や誤解していた言葉、グッときた言葉を集めたという『広辞苑の中の掘り出し日本語』(バジリコ)の中に出ててくる言葉を組み合わせてみたのだ。 

 冒頭の部分を普段使う言葉で言い換えると、「竹を編んで造った円筒形の籠(夏の夜、寝るときに抱えて涼を納める)を抱いて、(新潟県で)くつろいでいます。私、今寝過ぎて出るにおいがするかも。少し前まで、男性に(ステッキのように)同伴して散歩することでお金を稼いでたんだけど、根気がないんで、最近は遊び歩いています。のんびりしすぎて、このまま遊び暮らして死んじゃいそう」

 カギカッコ内の言語はどれも耳慣れないものばかりだけれども、使ってみると、ギャルのブログ風の文章のようで、意外とハマる。

 一口に馴染みのない言葉といっても、「抱籠」のように今や言葉だけではなく、その存在自体にもなかなかお目にかかれなくなったもの、「ぬめり歩く」や「へへやか」など感覚としてすんなり理解できるもの、「寝臭い」のように「寝過ぎて出るにおいってどんなにおい?」と想像すら難しいものや、「じゅんのび」のように「なぜ新潟県限定?」と謎の深まるものなど、種類はいろいろ。

 本書では、そんな言葉の背景や使われ方について著者が思いをはせたコラムが、一つひとつの言葉に添えられている。ひとつの言葉につき1ページ、原稿用紙1枚と少しくらいの文章量で、サラっと読めてしまうくらいのボリュームだ。

 内容も「ためになる」というようなお堅いものではなく、本書に載っている言葉で言えば「すずろ」(なんとなく心がひかれるさま。「すずろ歩き」のような「あてどもなく、あそこここと散歩すること」という意味がぴったり)にライトに書かれている。
 
 書籍や家具、雑貨、洋服などのアンティークショップや古物市を眺めるのは面白いものだけれど、本書はその言葉版。使われていた当時の様子に思いを巡らせたり、時には実際に自分で使ってみたりして、掘り出しものを満喫してみよう。
(文=萌えしゃン)

広辞苑の中の掘り出し日本語

奥深い。

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最終更新:2013/09/11 16:15
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