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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第48回

愛の三日間には何があった!? レイプか愛の逃避行か 世間を騒がす女の半生

雪に隠れた岩山のように、正面からは見えてこない。でも、映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる。超大国の真の姿をお届け。

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『タブロイド』
1977年にイギリスで起こった「モルモン教徒男性誘拐手錠レイプ事件」の容疑者であるジョイス・マッキニーのインタビューと、当時の資料映像によって構成されたドキュメンタリー。彼女の劇的な半生を、ドキュメンタリー監督エロール・モリスが追った。
監督/エロール・モリス 出演/ジョイス・マッキニーほか 日本での公開は未定

 2008年、韓国のバイオテック企業、RNLバイオ社がクローン犬を作って話題になった。依頼人のバーナン・マッキニーは、凶暴な犬に襲われて瀕死の重傷を負った。その時、ブーガーという彼女の愛犬が、身を挺して彼女を守った。その忠犬ブーガーがガンで余命わずかと宣告されたので、彼女はブーガーのクローンを作ろうとしたのだ。

 ブーガーの細胞から、ブーガーと同じ遺伝子の5匹の子犬が生まれた。子犬を抱いて喜ぶマッキニーの写真は世界を揺るがせた。つまり、人間のクローンも技術的に可能な時代になったのだ。これは神の領域を冒したのでは? クローンの人権はどうなる? 法律による規制の必要は?

 だが、イギリスでの反応は違った。

「このマッキニーという女性、見覚えがある」

 その大きなタレ目と大きな口は忘れられなかった。彼女は77年にイギリスのタブロイド紙の一面を毎週のように飾った「モルモン教徒男性誘拐手錠レイプ事件」の「犯人」、ジョイス・マッキニーだったのだ。

 ベトナム戦争を”デッチ上げた”マクナマラ国防長官のインタビューを記録した映画『フォッグ・オブ・ウォー』でアカデミー賞に輝いたドキュメンタリー映画作家エロール・モリスの新作『タブロイド』は、このジョイス・マッキニーという奇妙な女性の生涯を追った作品だ。

 77年、イギリスで布教活動をしていた19歳のモルモン教徒カーク・アンダーソンが行方不明になり、4日後に戻ってきた。彼は警察にこう語った。

「私はジョイス・マッキニーという女性に拳銃を突きつけられて誘拐され、田舎のコテージに監禁され、ベッドに手錠で両腕を固定され、3日間にわたりレイプされ続けていた」

 彼はモルモン教の教えから、結婚まで童貞を守るつもりだったという。

 警察が逮捕したジョイスを見て、イギリス人は驚いた。ジョイスは、ブロンドのキュートでセクシーな女性だった。ミスコンの常連で、ミス・ワイオミングになったこともある。

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最終更新:2011/09/12 15:30
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