探偵・大泉洋と相棒・松田龍平のコミカルな掛け合いに注目!『探偵はBARにいる』
#映画
今週は、定番のジャンル映画に新鮮なひねりを加えた魅力的な邦画2本を紹介したい。
9月10日公開の『探偵はBARにいる』は、北海道出身の小説家・東直己の「ススキノ探偵シリーズ」の第2作『バーにかかってきた電話』(早川書房)が原作。探偵の”俺”は、札幌の歓楽街ススキノを拠点に活動し、仕事の依頼はバー「ケラーオオハタ」への電話で受けるのが常。助手の高田はグータラだが空手の達人で、イザという時は頼りになる。ある日、コンドウキョウコと名乗るナゾの美女から「ある男に会い、ひとつ質問してほしい」という依頼を引き受けた”俺”は、危険な連中から命を狙われ、不可解な事件と裏社会の陰謀に巻き込まれていく。
ハードボイルドだが少々コミカルな探偵を、北海道出身の大泉洋が熱演。助手役の松田龍平との軽妙な掛け合いが、サスペンスフルな展開の中でほどよく和ませてくれる。共演も小雪、西田敏行、田口トモロヲ、竹下景子など豪華な顔ぶれ。純朴で懐が深く、ハートが温かいという、北海道そのもののようなイメージの大泉に、この探偵はまさにハマリ役。続編も大いに期待される好作だ。
9月17日公開の『ラビット・ホラー3D』は、Jホラー界の代表格で『呪怨』のハリウッドリメイク版も自ら手がけた清水崇監督が、『戦慄迷宮3D』(2009年)に続いて放つ3Dファンタジー・ホラー。幼い頃のトラウマから口がきけなくなったキリコ(満島ひかり)は、後妻を失って以来絵本創作に逃避している父(香川照之)と、弟の大悟と3人で暮らしている。3D映画を観賞していたキリコと大悟が、スクリーンから飛び出してきたウサギのぬいぐるみを手にしたことで、昔の遊園地のような異世界に迷い込む。弟を必死で探して遊園地や廃虚の病院をさまよううち、キリコに忌まわしい過去の記憶がよみがえる。
幅広い役柄をこなす演技派若手女優の満島ひかりが、次第に幻想と狂気の世界に飲み込まれていくキリコを繊細に表現。香川照之のほか、大森南朋、緒川たまきとのアンサンブルも見どころだ。姉弟が劇場で見る映画は清水監督の前作『戦慄迷宮3D』で、ウサギのぬいぐるみ、舞台の遊園地など、2作品をつなぐいくつかの接点もある。空中を浮遊する水滴や、赤い手すりのらせん階段など、印象的な3D描写も引き継がれており、前作を見ていれば一層楽しめるはず。撮影監督に起用されたクリストファー・ドイルは、『恋する惑星』(94)などウォン・カーウァイ監督作品のほか、『レディ・イン・ザ・ウォーター』(06)『リミッツ・オブ・コントロール』(09)といったハリウッド映画でも活躍しており、そのスタイリッシュな構図や色彩構成が本作の作品世界に深みを加えている。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
「探偵はBARにいる」作品情報
<http://eiga.com/movie/55983/>
「ラビット・ホラー3D」作品情報
<http://eiga.com/movie/55729/>
ちりりりりーん。
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