中国のマフィアとグルメに詳しい賢人が語る「誰も知らない”チャイナタウン”裏ガイド」
#プレミアサイゾー
──先日錦糸町で起きた傷害事件により、中国残留孤児2・3世グループ「怒羅権」の名を耳にした人も多いだろう。事件現場となったのは、人気中華料理店「天安門」。まるで任侠映画のワンシーンのようなこのシチュエーションは、いまだ健在ということだろうか。ここでは読者の皆様を、ちょっと危険な中華料理店へと誘いたい。
もにぎわいを見せる歌舞伎町。ここから
1歩踏み入れたところに、李小牧氏の「湖
南菜館」も軒を連ねる。
今年6月、警視庁組織犯罪対策2課は、指定暴力団住吉会系組員と口論になり、近くの中華料理店から持ち出した包丁で相手の耳を切り落とすなどの重傷を負わせたとして、「怒羅権(ドラゴン)」のメンバーを逮捕した。「怒羅権」とは中国残留孤児2・3世らを中心として80年代末に結成された、裏社会に精通するグループのこと。この残忍な手口で初対面の暴力団組員を襲撃した事件は、記憶に新しいところだろう。ちなみに、メンバーが包丁を持ち出した錦糸町の中華料理店「天安門」は怒羅権のリーダーの親族が経営しており、警察当局の家宅捜索を受けるなど、「中国マフィアの拠点か?」という観測も乱れ飛んでいる。中華料理店が裏社会の拠点──そんな映画のような設定が、現実にもあるのだろうか?
本誌は、さっそく中国マフィアが暗躍する(?)裏社会に取材を敢行。歌舞伎町案内人の李小牧(リー・シャム)氏、そして東京アンダーグラウンドシーンの取材を精力的にこなす李策(リ・チェク)氏に、”中国マフィアと飲食店の、切っても切れない関係”について話を聞いた。
「中華料理店と中国人ワル、不良のつながりは、もちろんあるよ。彼らが会食でよく使うのは、中華料理店だからね。うちの店(湖南菜館/当特集【2】参照)にも某グループのドンが来たことがあるし。ただ、『マフィア』となると話は別かな。中国マフィアが歌舞伎町などを闊歩していたのは90年代の初めから2003年ぐらいまで。今はせいぜい、『不良グループ』といったところ。しかも、彼らが直接経営しているというお店は、今はあんまりないよね」(李小牧氏)
中国マフィアは、もういない? かつては血で血を洗う抗争が、歌舞伎町を震撼させたというが……?
「歌舞伎町で抗争を繰り広げていたのは北京グループと上海グループですが、最近はまったく話を聞くことはないですね。以前は、中国人が経営する飲食店にいると、なんかおじさんが入ってきたな~と思った瞬間に、従業員に緊張が走り、店の空気が一変する、つまりグループの顔役が登場するなんてことも、しょっちゅうありました」(李策氏)
「かつて、中国、韓国、東南アジアの犯罪者たちにとって、入国審査の楽な日本は黄金郷だった」と策氏は振り返る。往時は、薬物や盗品、犯罪の密議などが中華料理店を舞台に行われていたのだろうか?
「確かに昔はあったね。Kという、盗品をさばくために使われる料理店もあった。どうしてもその名残を調べたいなら、中国人グループの出身地域に関連した料理店を調べてみたらいいよ。なんでも食べる日本人と違って、中国人は食にはすごく頑固。食べ慣れた出身地の料理しか食べない。いくら美味しいと言われても、違う地域の料理を好きになることはあり得ないから」(李小牧氏)
確かに、中国マフィアは出身地ごとに綿密に区分けされ、個々に対抗しながら勢力を伸ばしてきた。そしてどうやら、その勃興には中華料理店が密接にかかわってきたともいえるようだ。ここでは、李小牧氏、李策氏のナビにより、歌舞伎町の中国マフィア興亡史を紐解いてみよう。
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