対価は犠牲者40名の人命!? 安全を犠牲に2,000億円を不正蓄財した鉄道部高官
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中国浙江省温州市で発生した高速鉄道事故の賠償交渉で、当局は、40人とされる犠牲者ひとりあたりに約1,100万円の賠償金を提示した。
これは当初提示された賠償額より大幅に増額されたもので、中国では死亡事故の賠償金としては異例の高額だ。事実、多くの遺族がこの金額で合意しつつある。1,100万円といえば、中国の平均年収のおよそ23倍。これがこの国の命の値段というわけなのだろう。
ところが、鉄道部高官が乗客の安全を引き換えに肥やした私腹と比べれば、この金額はあまりにも安い。
香港紙「東方日報」は、汚職などの容疑で今年3月に停職処分を受けている前鉄道部運輸局長の張曙光が、米国やスイスに2,000億円の不正蓄財を行っていたこと伝えた。
「中国高速鉄道の礎を築いた人物」とも評された張前運輸局長は、前鉄道部部長、劉志軍の右腕として、1999年以降、国内外のメーカーから多額の賄賂を受け取っていという。
劉前部長は、新幹線の技術を提供した川崎重工の「高速化を急ぎすぎてはいけない」との忠告を無視し「最高時速の大幅な引き上げが必要」と強引に開発を進めた人物だ。ちなみに劉前部長も、入札に際して業者から約260億円の賄賂を受け取った容疑で、今年2月に逮捕されている。
つまり、彼らが鉄道部の運営能力に見合わない技術や運行スピードを次々と導入すればするほど、彼らは肥える仕組みになっていたのだ。そして彼らが残した負の遺産は、40名の人命によって清算されることとなったのだ。
乗客の安全を犠牲に2,000億円蓄財した鉄道部高官がいる一方、そのことによって起きたとも言える事故の犠牲者40人分の賠償額を合わせても4億4,000万円という矛盾。この国が抱えるひずみを如実に表す数字である。
(文=高田信人)
結局、カネかよ。
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