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軍の暴走か? 習近平体制へ向けた組織強化か? 中国海軍が人事刷新で組織の若返りへ

asdfl.jpg中国にとって初の空母となったワリャーグ。
その性能に疑問符をつける専門家は少なくな
いが、日本の国防・外交に影響を及ぼすこと
は間違いない。(画像はWikipediaより)

 中国初の空母「ワリャーグ」の試験航行を8月10日に実施した中国人民解放軍。中央日報は16日付けで「中国空母時代の開幕を宣布した」と大々的に報じた。

 実はそれより少し早い時期に、中国海軍で幹部を中心にした人事の刷新が行われ、大幅な若返りが図られたていたという。人民解放軍の幹部と関係が近い日本人A氏が次のように言う。

「まだ中国でも報じられていないようですが(8月17日現在)、7月下旬か8月初旬に海軍の上層部、特に大将クラスの人間が一気に刷新され、大幅な若返りが図られたようです。副主席である習近平氏が2012年には国家主席になることが確実視されていますが、今回の人事はその準備の一環と見ていいかもしれません」

 人民解放軍の人事といえば今年1月、いわゆる「四大総本部」と呼ばれる「総参謀部」「総政治部」「総装備部」「総後勤部」で大規模な人事異動が行われたと報じられた。中でも習副主席に近いとみられている劉源氏が総後勤部の政治委員に昇進したことが、習体制へ向けた布石として注目された。今回の海軍人事はその流れの中にあるとA氏は言う。

「高速列車事故の原因を見ても分かるとおり、ずさんな工事や安全対策の裏には、長老の幹部たちが利権にまみれて腐敗しきっているという実態があります。実は軍も全く同じで、能力がない人間が高い役職について私腹を肥やし、組織力の弱体化が懸念されています。これに危機感を抱いていた習副主席が、先を見据えて若く優秀な人材を着々と配下に置いていると考えられます」

 一方、軍事ジャーナリストの清谷信一氏は、今回の人事について未確認との前提のもと、「可能性としては十分考えられる」としながらもやや別の見方をする。

「今年1月にアメリカのゲーツ国防長官が訪中した際に、中国側がステルス戦闘機『J20』の試作機のデモ飛行を行いましたが、これを共産党のトップらが把握していなかったことが話題になりました。これが意味するところは、『党の軍隊』であるはずの人民解放軍を共産党が掌握できていない、人民解放軍が党の言うことを聞かなくなってきているということで、北朝鮮の『先軍政治』のようになる可能性も考えられます。来年政権につく習氏がこうした事態に危機感を持つのは当然ですが、逆に言えば現時点で習氏が軍を十分にコントロールできていないとみることもでき、今回の人事も習氏の意思がどれだけ反映されているかは不透明です。むしろ、軍の独断に近い形で行われた可能性も否定できないでしょう」

 ところで、胡錦濤国家主席の後継者である習近平副主席とはいかなる政治家なのか。80年代に中国民主化運動に携わり、07年に日本に帰化した評論家の石平氏は、かつて筆者の取材に対して習氏の印象を次のように語っている。

「習副主席はリベラル派と評されることも多く、政権を担うまでは自分の色を強くは出さないでしょうが、もともと江沢民派が推した人物ですから、対日政策は胡錦濤より強硬に出る可能性は高いと考えられます。特に、彼にとって今の課題は権力基盤の強化ですから、軍の支持を全面的に取りつけるためには対日政策は強く出たい。今後も尖閣諸島のような事件が繰り返される可能性は高いでしょう。なにしろ中国は、尖閣や沖縄、将来的にはグアム近辺までを支配したいと考えている国です。日本人はその本質と向き合いながら警戒心を持たないと大変なことになりますよ」

 これについてはA氏も同意見だ。

「先の尖閣諸島沖での漁船衝突事件も、軍との信頼関係を構築するために習近平氏が裏で絵を描いたミッションだとも言われています。今回の人事刷新の主導権がどこにあるにせよ、人民解放軍の組織力強化の延長線上には日本に対する強硬姿勢があるわけですから、日本はそこにもっと危機感を持つべきです」

 数年先を見越した権力強化を着々と進め、そのためには他国の領海すら意図的に侵犯させる中国の指導者。かたやその中国に抗議も制裁もできない日本の首相。両国の外交力に圧倒的な差が露呈している今、今回の人事刷新が意味するものが何なのかを注視していく必要があるだろう。
(文=浮島さとし)

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最終更新:2013/09/11 19:25
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