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裏社会が群がる復興シノギ【1】

産廃処理から人身売買まで──ヤクザも訝しがる復興事業”儲けのカラクリ”

──震災復興のめどがなかなか立たない中で、山口組の迅速な復興支援が報道されるなど、実話誌などでは”復興ビジネス”に注目が集まった。暴対法の締めつけにより、なりふり構わないシノギに走る昨今の暴力団が狙う、復興ビジネスとは?

1109_fukko_n.jpg東日本大震災直後の荒廃した土地に、
突如として立てられた謎の看板。区画
整理もままならない現地では、こうし
た不法占拠が、時として認められてし
まうこともあるとか……。

 東日本大震災の発生から5カ月たち、いよいよ本格的な復興が始まろうとしている。そんな中、巨額の資金が動く復興計画に食い込んで甘い汁を吸おうと動きを見せているのが、「裏社会」の住民たちだ。総計で20兆円を超えるといわれる復興予算は、2008年に暴力団対策法(以下、暴対法)が改正されて以降、シノギが厳しくなっている暴力団にとって渡りに船。今後、被災地でどのような「復興利権」が発生し、裏社会の住民たちはどのように関与していくのだろうか?

 被災地では震災発生直後から、暴力団関係者の動きが確認されている。阪神・淡路大震災の際には、山口組が炊き出しなどを行ったことで話題になったが、今回も山口組のほか、住吉会や稲川会などの組織が、早い時期に被災者支援のため現地入りしたとの情報もある。これらの動きは一部メディアにより美談として伝えられたが、当然、裏社会ならではの「狙い」があると指摘する声は多い。

■閉鎖的な土地柄で裏社会も右往左往!?

 裏社会の現状に詳しいジャーナリストは「阪神大震災の経験も踏まえ、どのような利権が発生するか、暴力団関係者は熟知している。復興利権の本丸は都市計画に絡むインフラ事業だが、いまだに具体的な計画が決まっておらず、現状では、瓦礫の処理や炊き出し支援などで地ならしをしつつ静観している状況でしょう」と話す。6月には、宮城県石巻市の避難所で封筒に入った現金を配る人物が現れ、世間をにぎわせた。しかしこれも、暴力団が建設事業など今後発生する復興利権に関与するため、地元住民に取り入る活動だったという見方が出ている。

 そもそも、復興に至る大規模な都市整備に巨額の資金が投入されるということは、暴力団ではなくとも想像がつく。それを見越して地元の業者を懐柔し、下請けとして受注や労働者派遣を通して利益をむさぼろうという算段なのだ。

「行政としては地元産業の復興の名目もあるため、地元の企業に発注することが望ましいと考えている。しかし、震災前から東北地方の建設・土木業は疲弊していたこともあり、重機の準備もままならない。暴力団関係者はそこを狙い、資金の融資や重機の提供などを行い、取り入っていくのではないでしょうか」(前出・ジャーナリスト)

 一方、暴力団関係者にとって建設・土木業などには、そこまでうまみがないと分析する識者もいる。復興行政にかかわる専門家は、「国会が政争に明け暮れて復興計画の策定がまったく進まず、補正予算も萎んでいます。日銭を大きく稼いで上前をピンハネするのが基本の暴力団も、やりにくい状況でしょう。さらに、東北地方はもともと閉鎖的な土地柄で、地元の利権構造は、自治体や代議士も絡んで硬直的です。都市型の復興だった阪神大震災の時と比べて、シマを広げるのにコストばかりかかって、うまみが少ないとも言えます」。

 そんな中、新たな利権として浮上しているのが、被災地における貧困ビジネスである。国際犯罪学者の加藤久雄氏は「92年に暴対法が成立して以降、暴力団のシノギは恐喝やみかじめ料の徴収といった単純なものではなく、フロント企業などを駆使した複雑なものに変わってきている。そのひとつが貧困ビジネスです。被災地には肉親を亡くした生活困難者が多数いるため、そういった被災者の義援金などを狙って暴力団が貧困ビジネスを展開することは十分考えられます」と警鐘を鳴らす。

 では、被災地での「貧困ビジネス」とは、どういうものなのか?

最終更新:2011/08/28 17:34
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