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【元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第101回】

元・名物編集長がエール「山本太郎よ、日本のジョージ・クルーニーを目指せ」

motoki_110725.jpg「週刊現代」8月6日号 中吊り広告より

第1位
「俳優・山本太郎『原発マネーに汚染されたテレビと芸能界へ』」(「週刊現代」8月6日号)


「坂本龍一 私はなぜ『脱原発』を訴えるのか」(「週刊文春」7月28日号)

第2位
「福島第一原発”最高幹部”が語るフクシマの真実 番外編『放射性物質が200万分の1に減った』はウソ」(「週刊朝日」8月5日号)

第3位
「藤原紀香『外資系イケメンアナリストと電撃再婚へ!』」(「フライデー」8月5日号)

 北欧ノルウェーで起きた、右翼と見られる32歳の男による爆弾テロと銃乱射事件は100人近い死者を出した。その動機は、ノルウェー政府がイスラム系移民の受け入れに寛容な政策をとっていることに抗議するためだと見られているようだ。

 一見、平和で豊かに見える北欧の街で起きた惨劇だけに、世界へ与えた衝撃は大きい。こうした問題を抱える国は他にも多くある。移民敵視、宗教的対立、多様な文化を受け入れない偏狭な人間ひとり(複数犯行説もあるようだが)が爆弾と銃を持てば、簡単に100人くらいの人間を殺せるのだ。ヨーロッパの大きな潮流となっているネオナチズムやアメリカの右翼運動「ティーパーティー」など、キナ臭い嫌なにおいが立ちこめ始めている。

 中国浙江省で23日に起きた高速鉄道路線での事故にも驚いた。私も乗ったことがあるから、ネット中を探し回って情報を貪るように読んだ。

 日本の新幹線がこれだけ長い間事故を起こしていないのは、優秀な技術と人間に支えられているからだが、運もあるのは間違いない。昔取材したとき、いま一歩で大事故に結びつく故障や線路へ置かれた妨害物などが発見されたが、寸でのところでことなきを得たことが何度かあると、JR関係者から聞いたことがある。

 原発と同じである。チェルノブイリのような事故は日本では起こらないと、技術を過信していた日本の原発が、このていたらくである。JRにも、今回の事故を他山の石としてもらいたいものだ。

 14年前、渋谷・円山町のアパートで殺された東京電力のOL事件が、新たな展開を見せてきた。彼女を殺害したとして逮捕され、最高裁で無期懲役が確定したネパール人・ゴビンダ受刑者は、いまでも無罪だと主張し再審請求しているが、またもDNA鑑定で新事実が出てきたのである。

 被害者の膣内から採取された精液が、ゴビンダ受刑者とは別人のものだと判明したのだ。しかも、当時の捜査員はこの精液鑑定を、無関係だろうという先入観から、これまで鑑定に出していなかったことまでが判明した。

 ノンフィクション・ライターの佐野眞一は著書『東電OL殺人事件』(新潮社)で、ゴビンダは冤罪だと主張してきたが、今週の「朝日」で、有罪判決を出した二審の裁判長(一審では無罪)を痛烈に批判している。

 私も事件当時、「週刊現代」でゴビンダ容疑者(当時)を有罪と決め付けるには証拠が乏しいと批判したことがある。今回も新たなDNA鑑定が、再審の扉をこじ開けてくれるのを期待したい。

 話はがらっと変わる。読者にはどうでもいいことだが、私の女性の好みの変遷について述べてみたい。私は由緒正しい吉永小百合ファン(生まれ年が同じで、向こうが8カ月お姉さん)で、いまでもシャープのCMを録画したり、駅に貼ってある「大人の休日」のポスターをデジカメで隠し撮りして、ひとり悦に入っている。

 一時、松坂慶子に惹かれたり、藤原紀香にボーッとした時期もあるが、ほぼ一貫してサユリストである。だが最近、綾瀬はるかの蠱惑的な瞳によろめいている(古いね!)自分に、腹が立っている。と縷々書き連ねたのは、今週の「フライデー」に「藤原紀香電撃再婚スクープ撮」の見出しを見つけ、買いに走ったことを言いたかったからである。

 代官山のゴルフショップで二人が買い物をしているショットが扉写真だが、紀香はもちろんだが、この新恋人、確かにいい男である。

 USB証券の証券アナリスト・乾牧夫氏で、彼女より3つぐらい年上。六本木ヒルズに住みフェラーリ612スカリエッティ(市場価格3,600万円以上)を所有し、年収は4,000万円ほどだという。

 買い物を終えた二人が向かったのが、渋谷・東急ハンズの先の露地にあるホルモン屋というのが微笑ましい。4時間も飲みかつ食べた二人は、紀香の住む高級マンションへと消えていった。

 藤原紀香もいまは四十路である。お笑い芸人・陣内智則との離婚から2年4カ月経ち、周囲も「乾氏を完全に再婚相手と見ています」と話している。今度は「格差婚」とは言われないだろう。

 今週の第2位は、「朝日」の「福島第一原発”最高幹部”が語るフクシマの真実 番外編」。この連載は3週連続ランクインになるが、この欄で初めての”快挙”である。

 今回は、7月19日に政府と東電が発表した「新工程表」が、国民の目をごまかす辻褄合わせでしかないと批判している。

 私も読んだとき、あれと首を傾げた「3年間で燃料プールから核燃料を取り出す作業を始め、廃炉に向けた準備を進める」という箇所である。最高幹部はこう語っている。

「この数字が入ったのは、それこそ『政治主導』ではないでしょうか。経産省、つまり『官僚主導』かもしれない。まだ原子炉を安定的に冷却することもできていない状況で、『3年』と断言するのは到底、無理な話です。また、この新工程表では、外部への放射性物質の放出量が、事故後に比べて『200万分の1』(6月末時点)になったとしています。しかし、爆発時に出た本当の放射線量は、はっきりとしないというのが事実です。一体何を基準にして、この数字が出てきたのかよくわかりません」

 彼はまた、政府が避難地域の縮小・解除を前倒しで実現したいとしている点にも危惧を感じている。

「解除すれば大人だけではなく、子どもたちもその地域に住むことになる。子どもへの影響を考えれば、そう簡単にはできません。私自身としてはむしろ、現在、放射線が高いとされながら、何の手も打たれていない福島市や郡山市など中通り周辺の地域について、見直したほうがいいのではないかという思いがある。(中略)本当に住民たちの健康のことを考えれば、いま一度、原点に戻って考え直してはどうかというのが正直なところです」

 現在、免震棟の前にある街灯の電源は、太陽光パネルでまかなっているという。「正直なところ、これまで内心では、『しょせん、太陽光なんて』と思っていました。でも、いざこうして実際に世話になってみると、その性能の良さ、パワフルさに感動しつつ複雑な気分です」と話す。

 いまのまま新しい原発をつくらなければ、2050年には原発はなくなっているそうだ。脱原発を進め、再生可能エネルギーへの移行を大胆に進めれば、20年も経たずに原発依存から脱却できる。その間をどう凌いでいくのか、日本人の智恵が試されるときだ。

 第1位は2本。有名な音楽家である坂本龍一と俳優の山本太郎が、反原発について発言している記事である。

 坂本は、原発直後から「すぐに健康上の問題はない」と言い続けてきた枝野官房長官は全然信じていないが、脱原発の方向に転換した菅総理には、自然エネルギー普及の原動力を生み出すまで頑張ってほしいとエールを送る。

 彼は、チェルノブイリ原発事故の恐ろしさを友人から聞いて、肌で感じるようになった。「核燃料処理工場からは、通常の原発が三百六十五日で排出する放射性廃棄物が、わずか一日で排出される」という文章を読んで「ストップ・六ヶ所村(青森県六ヶ所村・日本原燃が所有する核燃料の再処理工場がある=筆者)」というプロジェクトを立ち上げた。

 坂本は、最近のものいわぬ静かな日本人への疑問も吐露している。

「今は、危機の時代なんですから、国民がそんなにおとなしくしていていいはずがない。何しろ自分たちの命がかかっているんです。母親や子どもたちの命がかかっているんです。何十年も甘い汁を吸ってきた原子力村の人たちにハッキリ『ノー』を突き付ける最大の機会です。国民みんなで声を上げれば、日本のエネルギー政策を大きく変えることは絶対できます」

 山本太郎は4月9日のTwitterで「テロ国家日本の片棒担げぬ」と発言し、反原発の意思を表明した。

 以来、反原発活動を続けているが、案の定、7、8月に予定されていたドラマから降ろされてしまった。

 反原発の立場を明らかにするかどうか悩み抜いた末、事務所にも迷惑を掛けるからと、そこを辞め、明日から仕事がなくなるかもしれないという恐怖とも闘っている。

 彼はいま、原発から30km圏外のため、避難勧告がでていない福島県内の母子の避難・疎開を支援する「オペレーション・コドモタチ」というプロジェクトにかかわっている。

 北海道に移住した母親が、朝、放射能を気にせずに窓を開け、洗濯物を干せる幸せを語ってくれ、うれしかったと話す。

 反原発のデモの先頭にも立つ。原発の安全神話に乗っかってきた自分が許せなかったからだ。

 反原発を明確にすると芸能界からもテレビからも閉め出されてしまう現実を、俳優自らが発信する勇気に拍手を送りたい。以前書いたが、「ニューズウィーク日本版」で、俳優のジョージ・クルーニーが語っていた言葉を送りたい。

「『ここ(スーダン)に暮らし、妻子が虐殺されることを恐れている男の訴えを世界に届けることが俺の仕事だ』と、クルーニーはセレブの役割について熱く語る。『彼は山の上で叫びたいだろうが、彼には大きなメガホンもなく、高い山もない。俺にはメガホンもあれば、山もある。彼に自分の代わりに叫んでくれないかと頼まれたら、一も二もなく答えるさ。いいとも、俺が代わりに叫ぶよ、と』」

 俳優としてはまだまだの山本だが、日本のクルーニーを目指してほしいものだ。
(文=元木昌彦)

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

母ちゃんごめん普通に生きられなくて

そのまま突き進んでください。

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最終更新:2013/09/12 11:35
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