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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 山路徹さんの至言「バラエティーが怖いようでは戦場に行けないですよ」(前編)
【第27回】小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談

山路徹さんの至言「バラエティーが怖いようでは戦場に行けないですよ」(前編)

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 モテない、金ない、華もない……負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第27回のゲストは、福島第一原発周辺で「犬猫救出プロジェクト」活動を行っている戦場ジャーナリスト・山路徹さんです!

[今回のお悩み]
「もう私も保護してください……」

――初めまして! Twitterで『原発20キロ圏内 犬猫救出プロジェクト』を見させていただいてます! 私の家にも犬と猫がいるので、残された犬や猫のことはずっと気になっていたんですけれど、知識も経験もないのでボランティアに行っても邪魔になるだろうと、ただ余震に震えるばかりで……山路さんの行動力には本当に頭が下がります!

山路徹氏(以下、山路) だいたいみんな、いろいろ考えて「どうしよう、どうしよう」って言ってるうちに事態が変わっていっちゃうからね。

――そうなんですよ。で、「私、結局募金くらいしかしなかったな……」って自己嫌悪が……。

山路 そうなっちゃうわけですよね。でも、それも十分立派なことですよ。

――でも、山路さんは専門的な知識もないのに行かれたじゃないですか。しかも原発から20キロ圏内に。

山路 目的が分かっていれば、知識とかは関係ないもんね。自分にできないことは人にやってもらえばいいわけだし。

――専門家の方も山路さんのTwitterを見て来てくれたんですよね! そしてまず「犬猫と仲良くなるにはどうしたらいいんですか?」と聞いたという……。専門家の方も「え? そこから!?」って驚いてましたよね(笑)!

山路 いやぁ、怖い柴犬がいてさ、僕も自分なりに考えて、ムツゴロウさんみたいにゴローンって寝転がってお腹を出してみたりしたんだけど、ダメだねぇ。餌は食いに来るけど、そのご家庭の事情もあったりして、なかなか保護が出来ない。浪江町の20キロ圏内の誰もいないところで、僕たちはひたすら”ムツゴロウさん作戦”をやってるわけですよ。

――な、なかなかシュールな絵面ですね……。山路さんの救出チームが書かれた『ゴン太ごめんね、もう大丈夫だよ!』(光文社)を読んだんですけど、やっぱり怪我をしながらも残された牛と鶏を守っていた犬のゴン太には、涙が止まりませんでした。うちにもゴールデンレトリバーがいるんですけど、すごく優しくておとなしくて……。ある晩、家に泥棒が入って、偶然トイレに起きた私が部屋のドアをガラッと開けたらちょうど廊下で泥棒とご対面っていうことがあって……。

山路 ……え? あなたが? 犬は?

――おとなしく寝てました……。なので、こういう感動的な犬の話を読むたびに、「うちのは駄目だ……!」って思います。だから、より一層守らねば、と、こういう災害時は極端なくらい気にしてしまっています。

山路 ははは! でも本当にね、ちっちゃな命を救えない社会が、なんで人間を救えるんだって話だよね。僕らは、社会が真価を問われていると思ってますから。自分たちで行動を起こすことで、「社会は大丈夫だ」ってアピールしなきゃいけない。3月11日から、もうずいぶん時間も経ってるでしょ? そうすると、これから起きる事態は人災ですよ。人間の責任としてやらなきゃいけない。現地の犬や猫たちは当然お腹が空いてるわけですよ。だから餌を出すんだけど、すぐには餌に行かないんだよね。まずは人恋しいから僕らから離れない。「分かったから、食え食え!」って言って、やっと食べて、不安そうな顔でこっちを見て、車に乗せてあげると、みんな安心して眠っちゃうの。イビキなんかかいたりして。

――おお……先日、同じく日刊サイゾーの企画で、作家の町田康さんにお話をうかがう機会があったんですけど、あの方も保護団体から猫をたくさん預かって、総勢10匹の猫と暮らしてるんですって。山路さんもこんな怯えただけの女でなく、町田さんと対談にすれば良かったのに、こんな女で申し訳ないですよ……! 山路さんも、保護された猫ちゃんと暮らしてるんですよね。

山路 うちの猫ちゃんかわいいよ! ホラ、これがとら。南相馬から連れてきて、医者にも「今日明日の命です」って言われて、朦朧として真っ直ぐ歩けない状態だったから、いま元気になったことも信じられない。けど、それを僕がTwitterでつぶやいてたら、皆が見守ってくれて、応援してくれて、とても力になりましたよ。こっちが神奈川で保護された捨て猫のマロ。毎日写真をTwitterにアップしててね、うふふ……。

――ギャー! かわいい!!

山路 そう! もう食べちゃいたいの! これがピアノの上に載ってるマロで、これはいたずらを怒られて反省中の……(略)。

――溺愛しまくりじゃないですか! いいですね、なんか、私も山路さんに保護されたいですよ……。

山路 えー? 何を言ってんのよ(笑)!

――やっぱりモテる理由が分かるっていうか……。なんというか、山路さんは愛が多そうですよね。

山路 そんなことないですよ! 例えばどのへん?

――麻木久仁子さんと大桃美代子さんの際の会見で、どちらも傷付けず、後々どちらの言い分にも合わせられるように気を使って、いろいろ黙っているように見えたもので。

山路 まぁそうですよ、会見の時もお互いの言ってることが180度違ったからね(笑)。あれは僕が受け止めないと。だって、最初の記者会見もその反論も、僕はテレビでじーっと見てたんですよ。「あー、こんなことまで言い出した。これはモメるなぁ……」って。次は俺のところに来るっていうのは目に見えてたから、逃げずに全て吸収して、皆なんとなく納得したような、しないような……。

――でも本当にすごかったですよ! どちらの女性も系統が全く違うじゃないですか!

山路 君、するどいね! 「同じようなタイプ」ってよく言われるけど、ぜんぜん違うの!

――ですよね! 私はどっちかと言うと、メンタルが弱めの大桃さんタイプで……。

山路 さびしんぼうなのねー。

――次の結婚をしてることを言わないのは山路さんの優しさなんだけど、それが逆に残酷で……あんな形で知ったらTwitterでうっかり狼狽するのも仕方ないですよー!

山路 ねー、うふふふ。まあね、でもね、うん……。

――でも、それもミャンマーで拘束さえされなければ分からなかったんですよね。

山路 そうなんだよなー、なんであれで出ちゃったかねー?

――Twitterって、怖いですよね……。

山路 怖いねー……。

――……でもそのTwitterのおかげで犬猫救出も本当に広まったというか、えーと! ね!

山路 ね! やっぱりね、そういう新しいツールを、どうやって生かすかですよね! ははは!
後編につづく/取材・文=小明)

●やまじ・とおる
1961年、東京都生まれ。ジャーナリスト。テレビ番組制作会社を経て、92年に独立系通信社「APF通信」を設立し、同代表取締役に就任。世界各国の紛争地域を中心に精力的に取材している。近年はワイドショー、バラエティー番組にも多数出演中。

●あかり
1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中

ゴン太ごめんね、もう大丈夫だよ!

小さな命も大事な命。

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最終更新:2018/12/19 15:00
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