【サッカー女子W杯】「とても恵まれていた」元東電の2選手が”なでしこジャパン”で奮闘中
#サッカー #東電
ドイツで行われているサッカー女子ワールドカップで初のベスト4入りを果たした”なでしこジャパン”(女子日本代表)。そのチームで、東日本大震災に伴う福島第一原発の事故を受け活動を休止した東京電力女子サッカー部に所属していた2人の選手が奮闘している。
絶対不利が予想された開催国ドイツとの準々決勝。延長にまでもつれた一戦を決するゴールを沈めたのは、後半開始から途中出場したスーパーサブのFW丸山桂里奈だった。
「タイミングよく、いいボールがきた。あそこしか空いてなかったし、(右足を)思い切り振り抜こうと思った」
角度はなかったが、キャプテン澤穂希からのキラーパスを見事ゴールネットに突き刺した。
28歳の丸山は2005年に東京電力に入社し、福島を拠点とする東京電力女子サッカー部「マリーゼ」で09年までプレー。「東京電力の社員として午前中は仕事に専念し、午後2時間ぐらい練習する感じでした」(丸山)。その後は、米国女子リーグに挑戦し、昨年9月にジェフユナイテッド市原・千葉レディースに移籍。今年5月、08年北京五輪以来久しぶりの代表復帰を果たした。
マリーゼの本拠、Jヴィレッジ(福島県楢葉町)は、日本サッカー協会が東電からの130億円の助成金(福島県内に原子力発電所を含む多くの施設を所有していた東京電力が、地元への貢献として地域振興施設として寄贈した)で97年に作った国内最大のナショナルトレーニングセンターで、「練習環境や経済面などは、女子リーグの中ではとても恵まれていた」(丸山)という。
ドイツ戦当日、スタジアムへ向かう前にホテルで行われた日本代表の全体ミーティングでは、東日本大震災の被災地の映像を見て、それをエネルギーに変えたという。
「みんな泣いて、私も号泣してしまった。日本が本当に苦しい中、サッカー選手として一生懸命頑張っている姿を見せるしかない」(丸山)
原発事故発生後には、自身のブログでの発言がきっかけでブログが炎上してしまったこともあったが、震災で苦しむかつての同僚や知人、被災地で今も不十分な暮らしを強いられている人たちへの想いをプレーで表現。強豪ドイツを相手に奪った決勝弾は地元紙で「天才的」と称賛されたが、それは懸命のプレーから生まれた「気持ち」で奪った1点だった。
そしてもう一人が、左サイドバックとして全4試合にフル出場している鮫島彩。06年からマリーゼでプレーしていたものの、東電の活動休止を受け、W杯直前に米国ボストン・ブレイカーズへの移籍が決まったばかり。
「大会前に移籍先が決まって個人的には落ち着いた感じでW杯に参加できていますが、まだサッカーができてない子(元マリーゼのチームメート)もいるので、その子たちへの感謝、責任を持って戦いたい」と必死のプレーで最終ラインからチームを支えている。
なでしこジャパン快進撃の裏にある元東電2人の奮闘。彼女たちは、与えられた責務をしっかりとこなしている。
(文=栗原正夫)
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