個性豊かな演技派俳優陣のアンサンブル 『陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル』
#映画
今週は、自らの運命や過去の過ちに苦悩しながらも、困難に立ち向かう主人公を描く2本の映画を紹介したい。
スティーブン・スピルバーグ率いるドリームワークスの最新作『アイ・アム・ナンバー4』(7月8日公開)は、マイケル・ベイが製作を務めたSFアクション。故郷の星を滅ぼされ、地球で正体を隠して暮らす9人の若き戦士たち。強大なパワーを秘め守護者とともに各地を転々とする彼らだが、宿敵のエイリアン集団によってナンバー1からナンバー3までが抹殺される。危険を察知したナンバー4(アレックス・ペティファー)は、新たに移り住んだオハイオ州の田舎町でジョンと名乗り、高校生として普通の生活を始める。同級生のサラ(ダイアナ・アグロン)と恋に落ち、若者らしい暮らしを望むジョンだったが、やがてパワーが覚醒し、敵との壮絶な戦いに身を投じることになる……。
監督は『イーグル・アイ』(08)のD・J・カルーソで、派手なアクションを軸にしたスリリングな展開はお手のもの。「自分はどこか変わっている、他人とは違う」という若者特有の自意識と疎外感が入り混じった感覚をメタファーとして盛り込んだ本作は、非人間の主人公と女子高生の恋という点で『トワイライト』シリーズに通じる要素もあり、『ハリポタ』や『ロード・オブ・ザ・リング』などの人気シリーズを見て育った若い世代向けのファンタジーといった趣もある。日本ではテレビドラマ『glee』の勝ち気なチアリーダー・クイン役でお馴染みのダイアナ・アグロンが、本作では同級生から孤立し、ジョンと孤独な心を理解し合うヒロインの繊細な演技で新たな魅力を放つ。新進の若手俳優たちの共演と、視覚効果を駆使した超絶アクションをバランスよく楽しめる娯楽作だ。
もう1本の『陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル』(7月9日公開)は、9・11テロ後のニューヨークを舞台にしたクライム・サスペンス・アクション。2002年、治安悪化が著しいクイーンズ地区に配属された警官ジョナサン(チャニング・テイタム)。彼は少年時代、生まれ育ったこの町で誤って殺人を犯していたが、父親の相棒だったベテラン刑事スタンフォード(アル・パチーノ)の助けによりその事実は隠されてきた。しかし、ジョナサンがクイーンズに戻った途端、何者かから過去の殺人をほのめかす脅迫状が届く。地元紙には事件の隠匿を告発する手紙が掲載され、ジョナサンは厳しい立場に追い込まれるが、さらに警察を揺るがす大事件が起きる……。
主演のチャニング・テイタムをはじめ、アル・パチーノ、ジュリエット・ビノシュ、レイ・リオッタ、ケイティ・ホームズら豪華キャストによる共演が大きな見どころだ。若手からベテランまで個性豊かな演技派俳優陣のアンサンブルを引き出したのは、ミュージシャン、画家としても多彩な活動を続けるディート・モンティエル監督。緊迫したシリアスなドラマと先の読めないストーリーをじっくり味わいたい作品だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
「アイ・アム・ナンバー4」作品情報
<http://eiga.com/movie/55908/>
「陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル」作品情報
<http://eiga.com/movie/56507/>
衝撃の別エンディングも収録。
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