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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 男性の生涯未婚率”驚異の16%!” その裏にあるのは「年収600万円の壁」と「一夫多妻制」!?
『平成幸福論ノート』著者・水無田気流氏に聞いた

男性の生涯未婚率”驚異の16%!” その裏にあるのは「年収600万円の壁」と「一夫多妻制」!?

――経済的な問題というのは?

水無田 経済的な問題としては、ここ10年の間に30代の男性の年収は、「最も多い層」で見ると500万円台から300万円台へと移行しています。一方、女性はと言えば、いまだに結婚相手の男性の年収にこだわります。よく参考にする山田昌弘先生(社会学者、中央大学文学部教授)の調査結果によると、都内の20代半ばから30代半ばの未婚女性の4割が「年収600万円以上の男性」との結婚を望んでいますが、該当する同年代の未婚男性は3.5%しかいません。

――かなり高条件の男性を求めていると思いますが、それはどうしてでしょうか?

水無田 年収が600万円程度ないと、女性は安心して子どもを産めないのです。女性は出産して育児をしながら仕事を続けることが難しいので、その期間無職になる可能性が高い。そのため、一般に「自分の年収の倍」ぐらい稼ぎのある男性を求めます。ちなみに「民間給与実態統計調査」を見ても、年間を通じて給与所得のある女性でも7割は年収300万円以下です

――共働きをすることも考えられると思うのですが。

水無田 実はすでにサラリーマン世帯であっても、専業主婦のいる世帯よりも共働き世帯のほうが多数派です。現実的にも、男性一人の稼ぎには頼りきれなくなってきている。でも、一方で20代など若年女性ほど専業主婦志向が強まっています。景気低迷や少子高齢化など諸々の条件を鑑みれば、今後パートナーとなる若年男性の昇給なども鈍化は避けられないでしょう。はっきり言えば、男性に家計負担を完全に依存した人生設計を行うのは、リスクが高いのです。女性はこの点をきちんと認識すべきです。ただ、社会環境の未整備の問題も大きいですね。今後は「共に働き、共に育てる」というのが理想的で一番リスクも低いライフスタイルなのですが、今なお女性は仕事と出産・育児がなかなか両立できません。ご存じのように、子どもを産んでからも十全に働くためには保育所の確保が必須ですが、現在、待機児童は約4万8,000人おり、潜在需要は80万人を超えるとも言われています。言い換えれば、実質的にそれだけの女性が就労できずにいるということです。さらに、育児環境はまだまだ専業主婦前提のため、仕事と育児を両立させようと思うと、苦労もストレスもきわめて大きい。若年女性が上の世代の苦労を目の当たりにして、そんなことはしたくないと考えるのも当然かもしれません(笑)。だから、女性の意識と社会環境、両方変えていく必要があります。また女性は現在、全従業員のうち過半数が非正規雇用です。正規雇用の女性でさえ、育休や産休は取りづらい状況ですが、非正規雇用は最初からそんなもの取得できません。すると子どもを望む場合は、身分が保証されていて年収が高い男性でないと、女性は安心して結婚には踏み切れない場合が多いんです。

――そうなると男性の未婚率も当然上昇しますよね?

水無田 男性の生涯未婚率(50歳時で一度も結婚をしたことがない人の割合)は、近年ものすごい勢いで上がっています。1970年で1%台だった生涯未婚率が、90年代に5%台になり、2005年には約16%にまで上がっています。これはおおよそ女性の倍です。この男性と女性の未婚率の格差はなんだろうと考えると、この予感は外れてほしいのですが、実質的な一夫多妻制のようになっている。つまり、一度も結婚できない男性がいる一方、十分な収入など高い「モテ資源」があり、生涯に何度も結婚できる男性がいるということです。事実、再婚率は女性より男性のほうがずっと高くなっています。

■経済力、魅力、コミュニケーション能力……どれかがゼロでもダメ

――本書の中で、結婚力点数は、「経済力×魅力×コミュニケーション能力」と書かれていますが。

水無田 それは、私が次に書く予定の女性の保守化の問題について取材する中で出た結論です。

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