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天才から天才へと受け継がれるハリウッドの映画作り『SUPER 8 スーパーエイト』

D-02832R.jpg(C) 2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 巨匠スティーブン・スピルバーグが製作、『スター・トレック』(2009)のJ・J・エイブラムスが監督を務めた話題の超大作、『SUPER 8 スーパーエイト』がいよいよ6月24日から日本公開となる。『未知との遭遇』(1977)『E.T.』(82)といったスピルバーグの名作SFにエイブラムスがオマージュを捧げ、謎をめぐるスリリングな展開、衝撃の映像、仲間や家族とのヒューマンドラマなど、たっぷりと魅力が詰まったぜいたくな娯楽作に仕上がっている。
 

 79年夏、オハイオ州の小さな町。製鋼所の事故で母を亡くし、保安官の父と暮らす少年ジョーはある夜、仲間たち5人と8ミリ映画の撮影に出掛ける。その撮影中に米軍の貨物列車の大事故に遭遇し、貨車で運ばれていた”何か”をカメラが偶然撮影してしまう。事故現場に残された8ミリフィルムの空き箱を発見した米軍は、秘密の漏洩を防ぐためか、大掛かりな捜索を開始する。そのころ町では犬が一斉に消え、9人が行方不明になるなど、不可解な出来事が相次いで発生。映写したフィルムで”何か”を目撃した少年たちは、仲間のため、真実を求める危険な冒険を決断する……。

 映画初出演となるジョー役のジョエル・コートニーをはじめ、映画作りに熱中する少年たちのいきいきとした表情と、大まじめなのにユーモラスな撮影現場でのやりとりがとてもいい。作品のリアリティーを高めると称して、列車事故の現場や捜索中の家など兵士たちが大勢いる場所を背景にロケを敢行する場面では、軍に見つかって拘束されるのではとハラハラしながらも、無邪気で大胆な行動に思わず笑ってしまう。ちなみに彼らが作っているのはゾンビ映画で、エイブラムス監督らは子役たちのアイデアから生まれたストーリーを採用したという。

 この映画仲間に”女優”として参加するアリスを演じるのは、ダコタ・ファニングの妹エル・ファニング。現在13歳のエルは、今年4月に日本公開された『SOMEWHERE』に出演したころよりも少し大人びた表情を見せ、泥だらけの顔やゾンビメイクにも果敢に挑戦。彼女をめぐるボーイ・ミーツ・ガールの要素に加え、ジョーとアリスが共に父親との関係で問題を抱えており、そうした家族関係の変化も見どころだ。

 少年たちが遭遇する列車事故や、後半の数々のアクションシーンは、実写とCGが巧みに組み合わされ、スケール感・リアリティー・衝撃度いずれも見応え十分。放り出された列車や自動車、破壊された街並みのほか、スリーマイル島原発事故のニュースなど「3.11」後の私たち日本人がおのずと被災地を想起してしまうシーンも含まれるが、困難や悲劇を乗り越えて成長する人々の姿がしっかり描かれており、勇気と感動を与えてくれる作品でもある。

 エイブラムス監督は少年時代にスピルバーグ作品に刺激され、8ミリカメラで映画を作った実体験を基に脚本を書き、スピルバーグから助言を得ながら本作を完成させた。ハリウッドの映画作りの伝統が、天才から天才へと受け継がれる製作過程の空気感をも醸し出す『SUPER 8 スーパーエイト』は、映画好きを自認する人なら必見。そうでない場合も、ワクワクしながら気軽に楽しめる娯楽作として、幅広い世代にオススメしたい。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)

「SUPER 8 スーパーエイト」作品情報
<http://eiga.com/movie/55564/>

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最終更新:2013/09/12 17:34
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