豪華声優陣が集結した初日舞台あいさつに歓声が爆発!!
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独特のテイストとクオリティーで一定の認知を得ているアニメーション制作会社ボンズ。最新作は昨年急逝した飯田馬之介監督の遺作となったSFバトルアクション『トワノクオン』である。協力監督にもりたけしが名を連ね、残されたスタッフが月に1作のペースで仕上げている。かつて、飯田監督が急逝した神田武幸監督の後を継いで『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』を作ったことにもつながるのか。遺志は受け継がれ、濃密な情報量、緻密な映像に、送り手の気合がとばしっている。
その『トワノクオン』の第1章「泡沫の花弁」が劇場公開の日を迎えた(新宿バルト9、梅田ブルク7、ワーナー・マイカル・シネマズ大高、T・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ札幌)。初日と2日目には東京、大阪、名古屋、福岡の各地で舞台あいさつを実施。新宿バルト9では6月18日朝、主人公クオン役の神谷浩史、イプシロン役の鳥海浩輔、ユリ役の白石涼子、ボンズの南雅彦社長が登壇した。
『トワノクオン』は劇場公開ののち、Blu-rayとDVDでパッケージを販売する約50分×全6話のシリーズ作品。これは最近増えてきた発表形態だが、『トワノクオン』の場合は毎月1話、6カ月連続のハイペースで供給される点が特徴。制作現場はてんてこ舞いのようで、南社長も「毎月2、3日寝られない日がある。それが6カ月続くと……。スタッフはいま2話を作っていますので、絵を描かない私が代表で来ました」と言うほどだ。
物語の舞台は近未来の東京。不安定な感情が引き金となり特殊な能力を暴走させる少年少女、その能力者を狩ろうとするサイボーグ部隊と、助けようとするアトラクターの抗争を軸に物語は進んでいく。クオンとユリはアトラクター、イプシロン(風見瞬)はサイボーグ部隊の主要人物。両陣営のメインキャストが舞台あいさつに顔を揃えたことになる。ただイプシロンは第1章の時点ではまだ活躍の場面がそれほど多くなく、しかし今後のことを話すとネタバレになるということで、鳥海浩輔も自重気味(「瞬(イプシロン)はエライことになるんで……」)、ボケ役に徹して神谷浩史のツッコミを待つのがこの日のスタイルだった。
難解なテクニカルタームが飛び交う複雑な設定の『トワノクオン』。その筋立てを紹介するのにも少々文字数が必要な作品だが、最初に白石が読んだ部分のセリフには、そうした類の専門用語は一切見当たらなかったのだという。
「まだ出演するかしないか分からない段階で企画書をいただいたんですが、すごく面白い、ぜひユリを演じたいと思って。マネジャーから『やってもらうことになっているよ』と聞いて、『やったー!』と思いましたね。セリフもいわゆる難しい専門用語が書いていなかったんですよ、その時は。普通の会話しかなかったんですよ、”こらクオン!”とか。私、難しいのが苦手だから、よかったと思って、正直(笑)。そうしたら、結構難しい世界観だったので、ちょっと思ってたのと違う……(笑い崩れ)。面白いのは変わっていないんですが」
そんな、難解な用語に四苦八苦という意味では一般観客目線に近い白石演じるユリは、ボンズ史上始まって以来という、お尻が画面のほとんどを占有するセクシーショットありのヒロイン。「貴重な尻のドアップということで、嫌でもこの大画面の8割お尻でしたよね? テレビとか劇場でも(試写で)一度見たんですけど、ドーンとお尻になるので、びっくりしましたね」と、演じている本人も戸惑い気味だ。
そのユリのアプローチにも微動だにしないクオンを演じる神谷は、長尺作品の収録現場の過酷さについて語った。
「アニメ2本分なんですよ。『トワノクオン』もアバン、Aパート、Bパートと分かれているんですが、アバンとAを一緒に録るんですよ。 20分強の映像を一気に録るんです。時間的には、30分(枠)のアニメーションを一気に録っているのと同じくらいなんです。尋常じゃない集中力が要求されるんですよね。ご覧いただいて分かると思うんですけど、バトルシーンとかはキャストの人たちが”いっせーのせ”で録るので、どこのマイクに入っているのかが混乱するんですが、その辺の交通整理も考えながら、どのマイクが空いているかを瞬時に察知して入って、声を入れていくという作業になってくる」
なお、サイボーグ部隊はバトルシーンでほとんど声を発しないが、「サイボーグ部隊も全力でやってらっしゃるんですよね?」と司会に問われた鳥海は、「全力ですよ。全力でしゃべらないんです! アドリブを入れている”気持ち”はあります」と、回答。第2章以降、活躍の場面がさらに増えることを祈りたい。
南社長は「ウチのキャラクターデザインの川元(利浩)と飯田監督が一緒に何かを作り出したいという話を聞いていまして。具体的にというか、この『クオン』の企画になってきたときに、飯田監督は同い年なんですけど、見てきたものや考え方に近いものがあって、具体的な内容というよりは、どういう作品を作りたい、ということがきっかけです。5年がかりで上映にこぎつけられてうれしいですね。飯田さんは昨年お亡くなりになられたんですが、この作品を作り上げるためにスタッフ一同頑張ってきたものがこういうことになり、大変うれしいです」と感慨深げ。
オリジナルアニメーションで、その作品が発するメッセージを世に問う機会はあまりない。『トワノクオン』がどういう反響を呼ぶか興味深い。Blu-rayとDVDの第1章発売は8月26日。
(取材・文・舞台あいさつ写真=後藤勝)
発売は当分先ですが……。
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