『宝塚記念』を100倍楽しむための、元調教師だからわかる「勝ち馬選びのコツ」
いよいよ、6月26日には『宝塚記念』(GI・芝・阪神競馬場2200M)が行われる。今年は例年になく豪華なメンバー構成で、馬券が当たれば間違いなく自慢できるハイレベルな一戦だ。そんな大一番をどうせ見るなら楽しく、馬券まで的中させてしまおうというわけでご登場いただいたのが、”関西競馬界の重鎮”中尾正・元調教師。競馬新聞には載らない、現場で競馬に接してきた元調教師だからこそわかる情報を聞いてみた。
『宝塚記念』といえば、2011年の前半戦を締めくくるレース。ファン投票で選ばれたスターホースを中心に、賞金順位上位の馬たちが出走してくる、夏前のクライマックスである。
実は昨年のクラシックレースを戦ってきた4歳馬たちは、”史上最強世代”と呼ばれるほど実力馬揃い。今年3月、賞金世界一の最高峰レース『ドバイワールドカップ』(GI)を優勝したヴィクトワールピサ(宝塚記念は不出走予定)をはじめ、今年5月の『天皇賞・春』を制したヒルノダムール(同)、昨年の『ジャパンカップ』(GI)を勝ったローズキングダム、さらには復活の兆しを見せる『日本ダービー』馬エイシンフラッシュなど、ワクワクするようなメンバーばかり。そんな彼らが、GI5勝の”女王”ブエナビスタと対決するとあって、競馬ファンのボルテージは高まっている。
とはいえ、日頃から競馬に馴染みのない人にとってはわからないことが多いのも事実。そこで今回は、初心者にもわかりやすく宝塚記念が楽しめるように「馬のことならなんでもお任せ」という元調教師・中尾正氏にご登場いただいた。調教師引退からわずか2年。現役と変わらない眼を持つ中尾先生なら、レースの見どころと的中ポイントも知っているはずだ。
さて先生、まず宝塚記念というのは、どんなレースなのでしょうか?
「年末の大一番が有馬記念で、夏前の大一番が宝塚記念です。どちらもファン投票によって出走馬が選ばれるグランプリ競走ですが、宝塚記念は前半戦の最後に位置するGI競走だから、後半戦を見込んで馬が早めの夏休みに入ってしまったりでメンバーが揃わないこともあるんですよ」
ところが、今年はかなり豪華なメンバーが揃います。
「そうなんです。今年の4歳世代は実力もあって、さらにどの馬も元気。ケガで戦線離脱する馬も少なくて、非常にメンバーが濃いんです。先日行われた長距離の天皇賞・春でも4歳馬ヒルノダムールが勝ちましたが、今度は2200メートルの中距離。再びどの馬にもチャンスが生まれますからね。なかなか見られないですよ、このレベルのレースは」
そしていよいよ、最強世代とブエナビスタとの対決が見られます。これは先生も楽しみではないでしょうか?
「もちろんです。ブエナビスタは今春のヴィクトリアマイルでアパパネの2着になりましたが、それでも負けて強しの内容でした。この馬は距離が長くなっても、そして牡馬に混ざっても決して大敗をしない女王的存在ですから、いいレースをするのは間違いない。昨年のこのレースでは2着だったから、今年はその借りも返したいはずです」
■暑さゆえの波乱あり!? 有力馬にも落とし穴が……
さて、宝塚記念の概要がわかったところで、馬券的な必勝ポイントを教えてもらおう。先生、競馬新聞には載らない、調教師しか知らないような情報ってあるんですか?
「いや、調教師というのは自分の馬のことはわかっても、ほかの厩舎の馬まではなかなか目が行かない。逆に、私も引退してからのほうが冷静に競馬全体を見られるようになったので、正確な分析ができるようになりましたね(笑)。馬券の参考になる、プロが馬を見るポイントをいくつかお教えすることはできますよ」
それをぜひ、お願いします。
「宝塚記念は夏前の開催ですから、レース直前から当日にかけて、とても暑くなるケースがあります。当然、暑さで調子を落とす馬もいるわけで、それを見抜くことがまず大事です。もちろん陣営はそういった対策をしてきますが、やはり馬だって生き物ですので、急に体調が変化することがある。夏競馬では、パドックで馬の様子を見ておくことをオススメしたいです」
具体的にいうと、どのように見ればよいのでしょうか?
「まず第一に、暑いのに汗をかいてない馬。これはよくない。意外に思われるかもしれませんが、汗をかいている馬より、汗が出ていないほうが深刻なんです。新陳代謝が悪くなっているということですからね。もちろん、必要以上にボタボタと汗をかいている馬もよくない。適度に汗をかいている馬が一番いいわけです。そして2つ目に、呼吸が荒すぎる馬はよくない。鼻腔(びくう)、つまり鼻の穴を膨らませすぎて呼吸の荒い馬は、レースでいい結果を残すのは難しいといえます。そしてもうひとつ、牡の場合は暑さで睾丸が腫れるように大きくなっている馬も能力を発揮できないでしょうね。今申し上げたのは、どれも夏バテの兆候ですので、このクラスになると、夏バテを抱えたまま勝てるほど甘くはないんです。体重増減でいえば、プラスマイナス10キロまで。それを超えてきた馬は、少々疑ってかかったほうがいいでしょう」
競馬の常識としては、昔から「夏競馬では牡馬より牝馬のほうが有利」が定説。だが、それ以外にもチェックポイントはあるということがよくわかった。今年の宝塚記念当日、天気が良くて暑くなるようならば、パドックで中尾氏直伝のポイントをチェックしてみてはいかがだろうか。もし人気馬がそんな夏バテ状態だったら、思わぬ穴馬券を手中にできるかもしれない。
さて来月は、再び中尾氏から、最高配当2億円になる新馬券『WIN5』の必勝作戦について聞き出してみようと思う。お楽しみに!
思い出の『宝塚記念』から学べるポイント
◆馬も車酔いする!? 走らせる側の心理を読め!!
中尾氏が現役の調教師だった頃、一番思い出深い宝塚記念はいつだったかを聞いたところ、氏は「93年ですね」と即座に答えてくれた。93年の優勝はメジロマックイーン。その時、中尾氏は管理馬オースミロッチを出走させ、出走11頭中10番人気という低評価ながらも3着に好走させている。実はそのレースのウラには、緻密かつ大胆な戦略が隠されていたという。
記念」も優勝したオースミロッチ。
「オースミロッチという馬は、京都競馬場だけで8勝もしていた馬でした。でもこれは京都コースが得意だったわけじゃなくて、極度に車酔いに弱かったんです(笑)。栗東トレセン(滋賀)から遠い競馬場だと車酔いでまったく実力が発揮できない馬でしたね。強いけど輸送には弱い。宝塚記念の行われる阪神競馬場でも輸送距離的にはギリギリ。だから勝負にいく必要があったんです。あの時は良馬場という発表でしたが、降っていた雨の影響が、かなりありました。幸いオースミロッチは1枠1番。それを利用して一か八かの賭けに出たわけです。当時乗っていた松本達也騎手に”とにかく馬場のいい内側だけを回ってこい”と指示しました。雨が降って馬場が悪化しても、コースの内側は1頭分だけ馬場がいいままのことがある。もしこのコースが取れなかったら、ぐちゃぐちゃの悪路を走ることになるから、大きな賭けでしたね。でもあのレースはこの作戦が見事にハマって、3着になることができました。競馬というのはときに、そんな走らせる側の心理まで影響するんです。馬券を的中させるにはそこまで読まないといけないことだってある、ということですね(笑)」
競馬の結果には、走らせる側の心理や戦略まで影響する。そんなことを知ると、今年の中尾氏の予想まで聞きたくなってしまう記者であった。さて、宝塚記念の結果やいかに?
●中尾正(なかお・ただし)
1938年生まれ。58年に厩務員として競馬キャリアをスタートさせたのち、78年に調教師免許を取得し、滋賀・栗東トレーニングセンター内に中尾正厩舎を開業。管理馬の中から、イブキマイカグラ(90年、阪神3歳ステークス優勝)、ビッグテースト(03年、中山グランドジャンプ優勝)、ビッグウルフ(03年、ジャパンダートダービー優勝)といったGIレース優勝馬を輩出している。父の中尾嘉蔵氏、兄の中尾謙太郎氏・中尾銑治氏も元調教師。さらに子息・中尾秀正氏は現役調教師という競馬一族。
■競馬情報サイト『競馬MAX 』
http://keibamax.jp/
中尾正氏をはじめ多数の関係者が馬券的中をサポート
宝塚記念(G1)6月26日(日)ほか、関係者が勝ち馬に指名した『激走情報馬』無料配信! 情報入手方法は、「regist@keibamax.jp」に空メールを送信し、折り返し届くメール内のURLをクリックするだけ。
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