【総選挙2位】大島優子 涙も、笑顔も、変顔も……すべては女優になるために
#アイドル #AKB48
AKB48評伝本『泣けるAKB48 メンバーヒストリー 少女たちの汗と涙の軌跡』発売を記念して、その一部を抜粋して紹介する。今回は、第3回選抜総選挙で2位になった大島優子。7歳から女優として経験を積み、”ラストチャンス”としてAKB48に加入し、センターまで登りつめた彼女の怒涛の半生をたどる。
第2回選抜総選挙で1位に輝き、第3回で2位にとなった大島優子。ダンススキルはAKB48でもトップクラスで、女優という確固たる夢を持ち、バラエティーセンスにも長けたハイスペックを誇る。50m走でもメンバー最速の脚力を持ち、時にメンバーにもガツンとモノを申すフィジカルとメンタル両面の強さを具有している。だが、それは彼女が自らを向上させるべく、たゆまぬ努力を続けてきた成果にほかならない。
大島は、7歳から子役として芸能界で活動し、すでに芸歴は15年目。ゴールデンタイムのドラマにも出演してきた。03年には、バラエティー番組『SDM発i』(フジテレビ系)の企画からTHE ALFEEの高見沢俊彦プロデュースによるアイドルユニット「Doll,s Vox」としてデビューするが、わずかシングル1枚で活動終了。
そこで、大島は当時所属していた事務所を一度辞め、芸能界からの引退を決意する。だが、大島は、夢をあきらめられず”ラストチャンス”として、AKB48の2期生オーディションに応募。docomoとのタイアップにより行われたテレビ電話オーディションに合格して、彼女の最後の夢の扉は開かれる。
その喜びも束の間に、コリオグラファー・夏まゆみ氏の厳しい指導により、レッスン漬けの日々が開始され、ついに06年4月1日にチームK(当初はKチームと呼称)としてAKB48劇場での公演がスタート。当初、AKB48は、メンバーを1軍と2軍に分け、昇格、降格を賭けたサバイバルを行う予定だったが、チームK発足前にその制度は反故となり、それぞれが独立したチームとなることが発表されていた。だが、チームKは、5カ月先に始動したチームAが行っていた『PARTYが始まるよ』公演のセットリスト11曲をそのまま引き継ぐことになる。事実上の”お下がり”の公演となったため、チームKは常にチームAと比較される憂き目に遭う。両者には5カ月の差があるために公演内容に差があるのは歴然で、時に客席からヤジが飛ぶようなあり様となり、「ヤジ禁止」という貼り紙が劇場に掲示されるまでの事態となった。
■センターは周囲によって”作られた”環境だった
そんな中、大島は当時すでに11年の芸能界のキャリアがあったこともあり、チームKのセンターポジションを任されていた。子役経験やDoll’s Voxの活動もあり、アイドルに目の肥えたファンには知られた存在で注目度も高かった分、「できて当たり前」と色眼鏡で見られることも多かった。さらにスタッフからも経験を積んでいるが故に、「伸びシロがない」と思われていたという。大島は当時を振り返り、次のように胸の内を明かしている。
「『伸びないだろう』と言われつつも、芸能界に入っていた経験があるから、とりあえず真ん中に立たせておこうみたいな感じではあったんですよ。公演の前に、夏先生に本を頂いたんです。『いつか本物になってください』って書かれていたんです。最初は意味がわからなくて。でも、公演が始まって、スタッフさんの話も聞いて、私は経験者だからセンターに立てられていたというのがわかって。作られていたというか、立てられていた。立てられていたじゃなくて、自分で立つ。それが『本物になる』ってことなんだって、わかったんですよね。そこからもっともっと、チームKの一員として、大島優子というポジションを確立しなきゃいけないって強く思うようになりました」(「Quick Japan」/一部略)
センターに立ったものの、それが実力で勝ち取ったものではなく、周囲によって”作られた”環境だと知り、絶望にも近いような心理状態に陥ったのは想像に難くない。だが、大島は自ら周囲に認められる”真のセンター”になるべく、研鑽を積んでいったのだった。チームAと比較されたからこそ、チームKは公演を向上させるためのミーティングを常に行い、後に「チームKのKは”絆”のK」と称される固い結束で結ばれていく。
(文=本城零次)
その後の、のどの手術を乗り越えた大島の克己心、『風の谷のナウシカ』への憧れに迫る――。続きは現在発売中のAKB48評伝本『泣けるAKB48 メンバーヒストリー 少女たちの汗と涙の軌跡』(サイゾー)に掲載。
■『泣けるAKB48メンバーヒストリー 少女たちの汗と涙の軌跡』
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