速報は「ファンから運営へのダメ出し!?」AKB48評論家・本城零次が総選挙速報を斬る
#アイドル #AKB48
6月8日午後3時まで投票が行われ、翌9日に結果発表を控えるAKB48第3回選抜総選挙。その同日、AKB48の真相とメンバーの成長と苦悩を検証した評伝本『泣けるAKB48』(サイゾー)を刊行するAKB48評論家・本城零次氏が、5月25日朝に順位予想記事を掲載した(記事参照)。同日夜、AKB48劇場で発表された速報で、21位となったSKE48・高柳明音を当てるなど、選抜メンバー21人の人選は完全的中する格好となった。
そこであらためて本城氏に予想と速報の分析、および最終結果に向けた展望を聞いた。
【AKB48 選抜総選挙2011 ベスト40予想と速報結果】
◎=予想と的中、◇=予想と誤差3位以内、▼=予想と誤差3位以上、■=予想外
1位~12位 メディア選抜メンバー
◇:速報1位:予想2位:大島優子(チームK:09年2位、10年1位)
◇:速報2位:予想1位:前田敦子(チームA:09年1位、10年2位)
◇:速報3位:予想6位:柏木由紀(チームB:09年9位、10年8位)
◇:速報4位:予想7位:高橋みなみ(チームA:09年5位、10年6位)
◇:速報5位:予想4位:渡辺麻友(チームB:09年4位、10年5位)
◇:速報6位:予想5位:篠田麻里子(チームA:09年3位、10年3位)
▼:速報7位:予想12位:指原莉乃(チームA:09年27位、10年19位)
▼:速報8位:予想3位:板野友美(チームK:09年7位、10年4位)
◎:速報9位:予想9位:松井玲奈(SKE48チームS:09年29位、10年11位)
◇:速報10位:予想8位:小嶋陽菜(チームA:09年6位、10年7位)
◇:速報11位:予想10位:宮澤佐江(チームK:09年14位、10年9位)
▼:速報12位:予想16位:高城亜樹(チームA:09年23位、10年13位)
13位~21位 選抜メンバー(選抜だが、一部メディア出演を制限される)
◇:速報13位:予想15位:峯岸みなみ(チームK:09年16位、10年14位)
◇:速報14位:予想13位:北原里英(チームB:09年13位、10年16位)
◇:速報15位:予想14位:河西智美(チームB:09年10位、10年12位)
▼:速報16位:予想11位:松井珠理奈(SKE48チームS:09年19位、10年10位)
◇:速報17位:予想20位:横山由依(チームK:09年未加入、10年圏外)
◇:速報18位:予想19位:佐藤亜美菜(チームB:09年8位、10年18位)
◇:速報19位:予想17位:増田有華(チームB:09年25位、10年25位)
◇:速報20位:予想18位:倉持明日香(チームA:09年21位、10年23位)
◎:速報21位:予想21位:高柳明音(SKE48チームKII:09年圏外、10年35位)
22位~40位 アンダーガールズ
▼:速報22位:予想26位:仲川遥香(チームA:09年圏外、10年20位)
◎:速報23位:予想23位:秋元才加(チームK:09年12位、10年17位)
▼:速報24位:予想33位:平嶋夏海(チームB:09年26位、10年26位)
■:速報25位:予想外:山本彩(NMB48チームN:09年未加入、10年未加入)
■:速報26位:予想外:梅田彩佳(チームK:09年圏外、10年32位)
▼:速報27位:予想35位:宮崎美穂(チームB:09年18位、10年21位)
■:速報28位:予想外:須田亜香里(SKE48チームS:09年未加入、10年圏外)
▼:速報29位:予想24位:多田愛佳(チームA:09年20位、10年22位)
■:速報30位:予想外:秦佐和子(SKE48チームKII:09年未加入、10年圏外)
■:速報31位:予想外:木崎ゆりあ(SKE48チームS:09年未加入、10年圏外)
■:速報32位:予想外:大家志津香(チームA:09年圏外、10年圏外)
◇:速報33位:予想31位:大矢真那(SKE48チームS:09年圏外、10年24位)
◇:速報34位:予想37位:渡辺美優紀(NMB48チームN:09年未加入、10年未加入)
▼:速報35位:予想29位:佐藤すみれ(チームB:09年圏外、10年31位)
◇:速報36位:予想34位:松井咲子(チームK:09年圏外、10年圏外)
▼:速報37位:予想30位:大場美奈(研究生:09年未加入、10年圏外)
▼:速報38位:予想27位:小森美果(チームB:09年圏外、10年30位)
■:速報39位:予想外:矢神久美(SKE48チームS:09年圏外、10年38位)
▼:速報40位:予想36位:藤江れいな(チームK:09年圏外、10年33位)
――選抜メンバーの人選は的中!! ということで、おめでとうございます。まずは速報の感想を。
本城零次氏(以下、本城) 猛省であります。速報は、まさに”ファンから運営へのカウンターパンチ”ですよ。推されているメンバーが下がって、実力がありながら評価の低いメンバーが上がった。ソロデビュー組の前田敦子、板野友美がいい例。前田は1位に返り咲きの下馬評が高く、私もそう予想する中、大島優子のファンがそれを阻止せんと票を積んだ。大島は昨年1位なのに、「桜の木になろう」のジャケットでメインなのはType-Aが前田、Type-Bが板野。「Everyday、カチューシャ」のType-Aのジャケットは前田と板野ツーショットで、大島のファンは面白くなかったんでしょう。速報の票には「報われていないからこそ、総選挙でより上位に立たせてあげたい」というファンの祈りにも似た思いが込められています。柏木由紀、高橋みなみ、増田有華、高柳明音らの上昇も同様ですね。
――柏木さんの3位は大躍進ですね。
本城 柏木は2008年後半から”現場人気最強”と呼ばれ、握手会の列の長さはメンバートップクラス。最近の劇場盤握手券が売り切れる早さも大島優子と同率1位となるなど飛躍が予見されていました。グラビア映えする容姿はもちろんのこと、この1年は特に彼女の歌の良さがようやく世間に浸透したと思います。劇場公演ではソロ曲「夜風の仕業」を担当し、ユニットのフレンチ・キスとしてもシングルごとに柏木のソロバラードがカップリングに収録され、特に「沈黙」は名曲で、歌とダンスへのこだわりは揺るぎないものがあります。また、柏木はどんな仕事を任せても完遂するのでスタッフからの評価も高い。例えば深夜ラジオ『リッスン?』(文化放送)では火曜日の2時間生放送をAKB48のメンバーが月交代で行っていますが、柏木だけがすでに4回担当しており圧倒的。基本的に聡明でボキャブラリーもあるので話も面白いし、時に暴走してハロー!プロジェクトを語り出したり、人間としての多面性がある。そうやって与えられた仕事をまじめにこなしてきたことが、評価につながったと思います。そしてやっぱり……。
――やっぱり?
本城 柏木は「たとえ365日追いかけられても、写真誌にスキャンダルを撮られることはない」(日刊スポーツ)と豪語しており、彼女自身がアイドルの理想像であることを自ら体現し、それを楽しんでいる点もファンからすると安心して応援できるんですよ。秋元康総合プロデューサーもそれらの点を評価しており、『AKB48総選挙公式ガイドブック2011』(講談社)では、「いつも本当に丁寧な仕事をしてくれている。野球で言えば、監督が確実に安心できる選手が彼女です」と評しており、そこがチームBキャプテンたるゆえん。実は柏木は、加入当初は選抜に入れなかった時期もあるので、苦労と挫折も経験している。そのようなメンバーたちの努力の軌跡は拙著『泣けるAKB48』で掲載しているので、ご拝読いただければ分かると思います。
■速報での板野友美8位、指原莉乃7位の理由
――板野さんの8位はいかがでしょうか?
本城 これも衝撃でしたね。速報は、CDの発売翌日に発表されたので、コアなファンがついているメンバーほど結託して、「速報だけでも上位にしたい」と票をブッコんだんですよ。指原莉乃はおそらくそのパターンでしょう。一方、板野は中高生の女性ファンも多く、ファン層が広いので、そこまで速報にこだわっていないはず。そのため、最終結果ではさらに上位に行くと思われます。
――指原VS板野の”神の7人”争いですか。
本城 その表現、個人的には嫌いなんですけど(笑)。実は、板野は指原に劇場盤の握手券が売り切れる早さでも負けていて、(記事参照 https://www.cyzo.com/2011/04/post_7077.html)、実はこの握手会人気と今回の速報にかなりの類似が見られます。でも、板野はもっと上に”いってみヨーカドー”ですよ。最終結果は、速報から大いに変動した順位になるはずです。
■SKE48が狙う”名古屋一揆”と総選挙がファンを魅了する理由
――さて、アンダーガールズはいかがでしょうか?
本城 握手人気を考慮して予想した菊地あやか、市川美織の名前がなかったのは、予想外でした。SKE48の須田亜香里、秦佐和子、木崎ゆりあが入ったのは、少なくとも速報だけでも推しメンの名前をランキングボードに刻みつけようと努めたファンの力。昨年も石田安奈が速報で31位に入り、以降は圏外となった例がある。SKE48は、ファン同士の連携が強く、まさにコンサートタイトルにもなった”名古屋一揆”を狙っています。SKE48は才媛が多いのでブログの表現も自由闊達で興味深い。特に、毎日23時51分に長文ブログを更新する秦は、速報が発表されたその日、本文には特に総選挙に触れずに、タイトルに「ありがとうございます」とだけ記した。普段、タイトルは「総括」とだけ書くのが彼女の流儀なのに、そのルールを破ってタイトルにだけ思いを忍ばせた……。そんな奥ゆかしさがまた謙虚な秦らしく、そういう姿にファンは投票したくなるんですよ。昨年の名スピーチで名を馳せた大矢真那のように、SKE48の躍進は期待していいと思います。
――では今回の総選挙は、最終的にどのような結果になると思いますか?
本城 最終結果予想は、前回のままにします。そもそも総選挙を語る上でまず、マーケティングに「エンゲージメント・リング」という発想があります。これは人々の心を揺り動かし、物事を「自分ごと化」するというもの。総選挙というイベントでメンバーがそれぞれの心情を吐露し、ファンが自らの投票によってメンバーの序列を決定できるのは、まさに総選挙が「自分ごと化」されているこの発想によるもの。”総選挙”だけに政治家の言葉を引用すれば、CD購入で複数投票も可能なため、田中角栄氏の「政治は数であり、数は力、力は金だ」という”数の論理”が当てはまってしまうのも事実。でも、その根底には、ファンがメンバーの努力に報いたいという切なる思いがあるのもまた事実。それぞれの夢を追うAKB48メンバーにとっては、順位以上に「夢がある者には、他人と争ってる暇などない」(エイブラハム・リンカーン)というのが本音だと思います。
* * *
独自の観察眼でAKB48の総選挙を分析した本城氏。本人いわく「記事にはしていないが第1回は前田敦子だと予想していた」とのことなので、3年連続1位を当てることができるのか? 今回、ほえ面をかくことになるのか? 私生活を放擲して”見巧者”の道を極めんと欲する彼の生きざまに注目だ。
(取材・文=若山ケンヂ)
●ほんじょう・れいじ
フリーライター・編集者。作家。キャラ芸人。大手出版社2社を経て、フリー活動へ。AKB48を黎明期から目撃し、劇場公演を900回以上(『AKB48 LIVE!! ON DEMAND』含む)見続けている”AKB48評論家”。自ら”嫌われる勇気”を持ってウェブサイト・日刊サイゾーでAKB48へのハートフルで、ピースフルな分析記事を執筆。第2回選抜総選挙でマスコミで唯一、大島優子1位を予想し、的中させた記事や、AKB48を初めて「国民的アイドル」と表現したことでも知られる。「AKB48はなぜ売れたのか?」「AKB48転売対策に奮闘」などYahoo!トップニュース掲載記事多数。6月9日に初の単著『泣けるAKB48』(サイゾー)を刊行。ブログ<http://ameblo.jp/iiwake-lazy/>
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