幾原邦彦監督新作からももクロZ、angelaのライブまで! 「SPARK!」緊急レポ
#アイドル #アニメ #声優 #ももいろクローバーZ
5月17日、音楽/アニメレーベルのスターチャイルドが東京都内でコンベンション「SPARK!~STARCHILD PERFECT ANIMATION WORK!~」を開催した。夏期のテレビシリーズ新番組・劇場用作品・所属アーティストを一挙に紹介するもので、3時間の長丁場となった。
注目を集めたのは完全オリジナル新作テレビシリーズ『輪(まわ)るピングドラム』。あの『少女革命ウテナ』で一世を風靡した幾原邦彦監督の復活作だが、ストーリーは現段階では謎に包まれている。原案・シリーズ構成を担当する幾原監督は「久しぶりにテレビアニメーションをつくれることになり、緊張と興奮をしております」と、滔々と語りだした。
「ぼくらと、このドラマに登場する10代の少年少女とは断絶があるような気がする。その断絶をつなげる輪を作品化したい」
「ギャップが売りなのかなと思っています。表面的には土日の朝に放送するタイプの作品に見えるのかもしれませんが、完成した作品を見るとある種の毒がある。いまの日本のこの状態で、そんなに毒があるものをつくっていいのかなと、正直ためらいました。いささか葛藤はあったのですが、スタッフの中から”だからこそやるべきだ”という意見もあり、その言葉を胸にやらなければいけないと思いました。あまり軽いことは言えないですが、ある種のコメディー、ある種類のシリアスの中で、断絶してしまった何かを、ある種のキャラクターで、それをメタファーとしてつなげて表現できればと思います。誰しもが分かってくれることではないと思うんですが、数少ない人に届けることができれば、ぼくとしては本望かなと思っています。スタッフもそういう思いで制作しています」
また、ヒロインの高倉陽毬(たかくらひまり)は新人の荒川美穂が演ずることも発表され、幸運にも大役を射止めた意気込みを「作品とともに私自身も成長していきたい」と語った。
夏期の原作付きタイトルは『まよチキ!』『C3(シーキューブ)』の2作品。
『まよチキ!』は同名のライトノベル(あさのハジメ著、MF文庫J/メディアファクトリー刊)が原作。学園執事ラブコメと銘打つこの作品を、執事もの『ハヤテのごとく!』で指揮を執った川口敬一郎監督に任せるあたり周到な用意ができている印象がある。シリーズ構成は『けいおん!』の吉田玲子、アニメーション制作は『ヨスガノソラ』のfeel.が担っており、美少女キャラクターの萌えを前面に押し出すことになりそうだ。
『C3(シーキューブ)』はやはり同名のライトノベル(水瀬葉月著、電撃文庫/アスキー・メディアワークス刊)が原作。その著者である水瀬葉月は「基本、原作はシリアスとコメディーの両立で書かれています。それをアニメでもやってくださると。昨今厳しいエロとグロの2つをどう料理してくれるか楽しみです」と期待していた。
このほか、短編でおなじみDLE制作の『かよえ!チュー学』『ごはんかいじゅうパップ』の放映開始も発表されている。
劇場用作品は3タイトルを発表。ネット配信+パッケージ+劇場公開で同時展開する『APPLESEED XIII(アップルシード サーティーン)』は、6月3日のネット配信(マイシアター・ニコニコ動画・バンダイチャンネルほか)で口火を切る。Blu-rayとDVDは7月6日から全13話が順次発売されるが、この内容を前後編の2作にリミックスし、劇場公開する。
CGの描画は過去に映画化された『アップルシード』関連作に比較してトゥーン寄りの表現となり、士郎正宗の原作画への接近を試みているところが特徴だ。
昨年第1部『圧縮』が公開された『マルドゥック・スクランブル』は第2部『燃焼』が9月3日に公開決定。初期段階での公開館が11館+αと、前作に比べて増えた。
これに先立ち8月24日には『圧縮』のBlu-rayとDVDが発売される。収録されているのは完全版本編だ。アニメ業界初と言われる「R18+」指定を受け、劇場公開時には「PG12」に収まるよう整えた経緯があるだけに、貴重なパッケージ化となる。なおBlu-rayには劇場公開ver.も収録される。
8月27日には『魔法先生ネギま! ANIME FINAL』が公開されるが、なんと『ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』と併映。講談社原作と小学館原作が同一の映画館でフュージョンするわけである。両作品に出演する白石涼子は「ラッキー! どちらの作品も観てもらえる、と楽しみにしていましたし、同時上映ということが一般に公開されたときにお客さんもびっくりするだろうなと、その反応をすごく楽しみにしています」とコメント。両作品のキャラクターソングカバーを収録したアルバムの発売もあり、『ネギま!』と『ハヤテ』のクロスオーバーは相当に計算し尽くされたもののようだ。
アーティストを紹介するセクションでは、キャラソンではなくこのたびアーティストとしてデビューする喜多村英梨、シングル「PRESENTER」の発売を控えた堀江由衣、蜷川実花の手になるジャケットアートが話題のデビュー20周年ベスト盤『VINTAGE White』を6月にリリースする林原めぐみがビデオメッセージで出演した。
林原めぐみはベスト盤に収録する新曲について「(東日本大震災で)被災した人たちにも頑張ってほしいという気持ちはありますが、そのためには元気で無事だった私たちが頑張って何かしなきゃいけないよという思いでつくった曲です。それが5年後10年後になって聴いたときに、いまの日本の悲しいことだけではなく、自分の身の回りの誰かを思っていられる自分になっているための曲にもなってくれたらいいなと、長い目で、長い思いでこの曲の詞を書きました」と背景を語った。
ラストを締めたのは、ももいろクローバーZとangelaのライブパフォーマンス。
ももクロZは、彼女らのライブを知らない、または知っていても立場上はしゃげない、そんな客席からの反応がない状態に苦笑しつつも、いつも通りの自己紹介MCを敢行。高城れには「流浪のアイドルだった私たちがスターチャイルドさんに拾っていただき……」という自虐的なMCで笑いを誘った。楽曲は、1stアルバム収録予定の新曲で正統派純アイドル色が強いナンバーの「コノウタ」、7月6日発売のワンコインシングルで新生Z宣言とも言える「Z伝説 ~終わりなき革命~」の2曲を熱唱。いずれも14日仙台でのフリーライブで発表されたばかりだ。キレのある躍動感でバランスのいい踊りを見るかぎり、新曲を得たももクロZの滑り出しは好調のようだ。
一方、貫禄のangelaは「私たちが年末ヒロイン! angelaでーす!」とあいさつ。ももクロZの後の共演者がみな影響を受けてしまうのはお約束なのか? 楽しげなMCを繰り出しつつ、劇場版『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』の主題歌「蒼穹」を熱演した。1年9カ月ぶりのニューアルバム『mirror☆ge』にも収録されるシアトリカルなこの壮大なナンバーは圧巻の一言。レーベル自体の意気込みを示すかのように大作の雰囲気を醸し出しコンベンションは終了した。
(取材・文・写真=後藤勝)
まだまだ脱皮。
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