GoogleTVにアプリが載る日、世界各国の産業構造が変わる!?
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われそうな、全く新しいテレビ像である。
ワープロからパソコンへ、ガラパゴスケータイからスマートフォンへというように、テレビも進化する日が近そうだ。アプリ搭載型テレビの登場は、各企業のビジネスモデルのみならず、各国の産業政策をいやおうなしに変化させるだろう──。
GoogleTVという製品が2010年話題になったことがあった。これは、グーグルがソニーやインテル、PC周辺機器メーカーのロジテックなどと組んで発売したテレビ受像機だ。「番組とウェブの動画を同時に検索できる」といった機能が喧伝されているが、この機器は、実はテレビの世界を一変させる可能性を秘めている。
それは何かといえば、テレビ受像機にアプリがインストールできるようになるという可能性だ。現時点ではこの機能はまだだが、おそらく遠くない将来に実装され、そしてここを突破口に、アプリ化の波がテレビに押し寄せてくるのではないかと私は予測している。
ガラケーとスマートフォンの最大の違いは、このオープンなアプリケーションのプラットフォームとなっているかどうかだ。ガラケーは、キャリアが用意したアプリを使うことができるだけ。iモードなどでは外部アプリが利用可能にはなっているが、スマートフォンと比べると自由度は非常に低い。
プレインストールされたアプリから、入れ替え自由でオープンなアプリのプラットフォームへの転換。これはかつてワープロ専用機がパソコンに駆逐されていったのと同じ変化である。80年代に隆盛を誇ったワープロ専用機は、あらかじめワープロや表計算、カレンダーなどのアプリが用意されていたが、それほど使いやすいものではなかったし、機能が気に食わなくても入れ替えることができなかった。だから90年代に入ってパソコンが低価格になり、Windowsの普及によって使いやすさも高まってくると、消費者は一斉にパソコンへと移っていった。当然の流れである。そして今起きつつあるガラケーからスマートフォンへの移行も、同じ方向へと進むのは当然といえる。
そしてこの波が、今度はテレビにやって来るのではないかと私は考えている。現在のテレビ受像機は、完全に機能が固定化されていて入れ替えられない。これがアプリケーションが自由に入れ替えられるようになると、テレビ受像機の役割は劇的に多様化し、インテリジェント化していくことになる。つまりパソコンと同等の機器になっていくわけで、これこそが本当の「通信と放送の融合」ではないかと思うのだ。
そしてこのアプリ化は、テレビの垂直統合ビジネスを最終的に終わらせる引き金となる可能性を秘めている。
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