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上半期公開作ベストワン!? ポートマンが華麗に舞う『ブラック・スワン』

swan01.jpg(c)2010 Twentieth Century Fox

 今週は、ハリウッドのスター女優の輝きを銀幕で堪能できる珠玉の映画2作品を紹介したい。まず1本目の『ブラック・スワン』(公開中、R15+)は、ナタリー・ポートマンが第83回米アカデミー賞で主演女優賞を獲得し、早くも今年上半期公開作ベストワンの声さえ聞かれる超話題作だ。

 ニューヨークのバレエ団に所属するニナ(ポートマン)は、元ダンサーの母とアパートで暮らしながら、バレエ一筋で遊びや恋愛とは無縁の人生を送っていた。そんなニナに、長年の念願だった「白鳥の湖」の主役を踊るチャンスが訪れる。だが、演出家の高い要求とハードな練習、奔放な新人バレリーナ・リリー(ミラ・クニス)へのライバル意識と疑念、過干渉な母親との確執が重なって大きなプレッシャーに。やがてニナは、現実と妄想の境界を見失い、心の闇にとらわれていく。

 少女時代にバレエを学び、撮影前の10カ月間に連日5時間の猛特訓をこなしたポートマンは、見事な舞踊シーンを披露。痛々しいほどの緊張感に満ちた稽古場面から、悪魔が乗り移ったかのような鬼気迫る「黒鳥」の舞まで、表情と身体表現が一体となった鮮烈なパフォーマンスはもはや芸術の域。端正な顔立ちが不安や苦悩に揺れ動くさまや、いくつかの官能的なシーンも含め、全身全霊で打ち込んだポートマンの存在感は見る者の脳裏に忘れ難い残像を残すことだろう。

 監督のダーレン・アロノフスキーは、『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)で薬物依存により精神のバランスを失う人々を、『レスラー』(08)で肉体を唯一の武器として闘い自らを破滅へ追い込む男を描いてきた。同監督が過去に扱ってきたこれらのテーマの集大成という面もある今作は、単に美しいだけのバレエ映画では決してない。CGを駆使したホラー風味の演出も印象的で、そうした部分も含めじっくり味わっていただきたい。

 2本目は趣を変えて、アマンダ・セイフライド主演の明るくさわやかな恋愛ドラマ『ジュリエットからの手紙』(5月14日公開)。結婚を控えた記者志望のアメリカ人女性ソフィは、シェイクスピア作「ロミオとジュリエット」の舞台となったイタリア・ヴェローナを訪問し、ジュリエットに恋愛アドバイスを求める手紙に返信するボランティアグループと出会う。そこでソフィが偶然見つけた50年前の手紙に返信すると、手紙の主の老婦人クレアと孫のチャーリーがやって来る。ソフィとチャーリーは、クレアの初恋の男性を探す旅に同行するのだが……。

 メリル・ストリープと共演した『マンマ・ミーア!』(08)の大ヒットで若手スターの筆頭格に躍り出たセイフライドは、ほかにも出演作の『クロエ』(5月28日公開)、『赤ずきん』(6月10日公開)が相次いで封切られるなど、まさに今が旬の女優。金髪に小顔、コンパクトにまとまった愛らしい目鼻立ちの彼女は、恋愛と仕事に悩みながらもポジティブに行動するソフィ役にぴったり。モデル出身でスタイル抜群、健康的な魅力を放つたたずまいが、イタリアの古風な街や美しい農村部の風景によく映える。

 クレアが昔の恋人を見つけられるどうか、若い二人の恋の行方は、といった物語への興味もさることながら、手紙と言葉の持つ「力」を再認識させてくれる本作は、メール世代の若者には新鮮に、それ以上の世代には懐かしく受け止められるはず。優しさと切なさ、示唆と教訓に富むハートウォーミングな感動作だ。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)

「ブラック・スワン」作品情報
<http://eiga.com/movie/55751/>

「ジュリエットからの手紙」作品情報
<http://eiga.com/movie/55523/>

マンマ・ミーア!

ミーア!

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最終更新:2013/09/13 16:50
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