東芝、日立、地方ゼネコン……東電以上の”癒着企業”はどこだ!?
#トヨタ #自民党 #プレミアサイゾー #東電
自民党とは違う、オープンな政治をうたい政権交代を果たした民主党。だが、福島原発の事故で東電との蜜月が取りざたされている。企業と政治のつながりは今に始まったことではないが、今いちど注目すべき政権とのつながりの深い”癒着企業”を調査した。
東京電力と経済産業省との癒着が、明らかになっている。自民党政権下の62年、石原武夫元通産省次官の東電取締役就任以降、経産省OBの天下りが続き、原発の耐震基準設定の甘さや、検査逃れが見逃されてきたという。
4月には民主党・枝野幸男内閣官房長官が、電力大手への”再就職”に自粛を求める事態へと発展。経産省OBの石田徹顧問を辞任させている。そんな中、「旧自民党政権下で、政治家や官僚が享受してきた癒着構造は、変わる様子はない」と証言するのは、『トヨタの正体』(金曜日)の著者、横田一氏だ。
「民主党の某議員は、『選挙で電力会社の労組から応援を受けているので、今回のような事故が起きても”脱原発を”とは言いにくい』とこぼしており、仙谷由人内閣官房副長官などは、以前から自民党と同じように”原子力輸出”の必要性を説いていた。今回の事故について、政府全体として東電への追求が甘いことには、そうした背景があります」(横田氏)
原発廃止論や、発電と送電の分離論が浮上する中、各電力会社や原発利権にかかわる原子力プラントメーカーは、これまでの癒着関係を総動員して、東電の現行体制(地域独占)温存のため動いているという。
「電力会社ばかりに注目が集まりがちですが、原子力プラントメーカーの動きも見逃せません。例えば、日立GEニュークリア・エナジー(日立製作所の連結子会社)なども、政治力を発揮できる立場にいる。現国土交通大臣の大畠章宏氏は日立製作所出身で、かつて原子力プラントの設計・建設に従事。同社の労働組合執行役員も務めていた。政治家は、出身企業の利益に反する動きはなかなかできないもの。国民が求める脱原発、電力の自由化(発電と送電の分離)は、やすやすとは実現しないでしょう」(同)
さらに、日本最大の原子力プラントメーカー東芝の子会社であり、コンピュータソフトの開発を行う「東芝ソリューション」にも、時の政権との癒着の疑いがあったようだ。数々の企業スキャンダルを追及し続けてきた、ジャーナリストの山岡俊介氏は、次のように証言する。
「06年11月に行われた特許庁の基幹システムへの入札で、おかしな動きがありました。特許庁のデータ処理には複数のコンピュータシステムを使っており、現在、この基幹システムの統合作業が行われています。その入札で、東芝ソリューションが最低落札額の100億円を下回る、94億5000万円で受注したんです」
さらに、東芝ソリューションはシステム開発の技術力に乏しく、当初、08年春に終了予定だった統合作業が、3年以上も遅れているという。
「これには、05年10月から06年9月まで経産大臣を務めた、自民党の二階俊博衆議院議員がかかわっていたとみられます。在任中、二階氏の秘書と東芝の関係者が、銀座のクラブで頻繁に会っていたという情報があり、特許庁が設置した外部調査委員会の報告でも、4名の職員が飲食代やタクシー代の利益供与を受けたことが明らかになっています」(同)
この特許庁を舞台にした疑惑は、さらに根深い問題をはらんでいる。
「二階氏は経産大臣を二度も経験した、族議員のボス。そして、原発行政も経産省に属します。その関係性から考えると、そもそもは原発関連の癒着から、特許庁の件に発展したという見方もできます」(同)
■利権を追い求める飢えた政治家たち
前述した仙谷氏も負けてはいない。原発利権に食い込みながら、10年は尖閣諸島沖中国漁船衝突事件への不適切な対応で問責されるなど、政権内での影響力が低下しているとみられるが、”黒い噂”は絶たないという。
「今年1月、官房長官辞任の時に、仙谷氏は内閣官房に『医療イノベーション推進室』を設置しました。厚生労働省とかかわりなく医療を扱うのは異例で、官房長官を辞めたら医療関連の利権をあさろうとしたのでは、と噂されています」(週刊誌記者)
例えば、レーシック手術などで有名な「神奈川クリニック」(10年5月に破たん後、事業母体を変えて現在も営業)との癒着があったことは、業界では有名な話だという。
「08年に、神奈川クリニックが仙谷氏の資金管理団体に寄付を行い、翌09年にライバル病院の品川クリニックが、保健所から立ち入り検査を受けています。これは、仙谷氏が厚労省に圧力をかけたと考えられています。さらに、地元徳島の大塚製薬との蜜月も噂されており、利権に絡もうとする意欲がうかがえます」(同)
一方、前出の山岡氏は、利権を追い求めるのに露骨な政治家として、自民党・久間章生元防衛庁長官を挙げ、「癒着関係がハッキリと見えるのに、逮捕されず、それほど糾弾もされないのが、妙にスゴイ」という。
特に、大証2部上場の建設会社「東邦グローバルアソシエイツ」(現クレアホールディングス)との癒着疑惑は、今後話題に上るかもしれない。
「同社の年商はたった10億円ほど。ところが、14年にロシア・ソチ市で開催される冬季五輪に合わせ、同市の人工島建設に参入予定と発表し、08年2月に株価が急騰。久間がこの件に絡み、同社の社長一行とソチ市を訪ねたり、ロシアの要人と記者会見を行い”東邦は受注する資格のある立派な企業だ”と語るなど、デタラメな行動を取っています」
さらに、タイ専門の投資ファンド「APF」との関係も、山岡氏はキャッチしているという。
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