大のオトナのマジ工作。ゴム銃作家たちが作った名品の数々『ゴム銃大図鑑』
#本 #サブカルチャー
なぜ人はゴムを見ると飛ばしたくなるのか。それはゴムがよくしなるからだろう。最初は指で弾いているだけだったが、やがて人はそれを銃の形態にまで進化させた。それがゴム銃である。指で弾くより正確に標的をとらえ、射程もはるかに上回る。割りばしなどを用いて作ったことがある人も多いのではないだろうか。
誰でも簡単に作れるゴム銃だが、なかなか奥深い世界であるようだ。市井には多くのゴム銃愛好家がおり、日本ゴム銃射撃協会には2,348人(2011年5月現在)ものメンバーが所属している。『ゴム銃大図鑑』(社会評論社)は、日本ゴム銃射撃協会のメンバーが作った246挺の名作ゴム銃を掲載した本だ。掲載された銃はすべてオリジナル・ハンドメイドで、製作者の名前や製作年なども記載されている。日本ゴム銃射撃協会理事長の中村光児氏が監修を務める、なんともゴム銃愛にあふれた一冊だ。
ゴム銃といっても、大人が本気で作るそれはチャチなものではない。秀逸なフォルムに多彩なギミック、ユーモアたっぷりの逸品ぞろいだ。割りばしで作ったオーソドックスなもの、アルミやヒノキを使った重厚なもの、ワルサーやモーゼルなど名銃を模したものなど種類はさまざま。装弾も単発式、連発式、散弾銃に、なんと200発を連射できる機関銃まで存在する。孫の手を銃身に用いた「アルサー ゴトハンド」や、ヒノキをカメレオンの形状に掘り出した「カメレオニック2002」なんて珍品も。仕事から帰ってきたオトウサンが、日々熱心にゴム銃を作っている姿を想像すると、なんだかかわいらしく思える。
週に一度の休みも、ただゴロゴロ過ごしているだけじゃ味気ない。日曜日を持て余している方は、この『ゴム銃大図鑑』片手に、ゴム銃作りにチャレンジしてみてはいかがだろうか。きっと、子どものころに抱いたモノヅクリの喜びを思い出させてくれることだろう。
(文=平野遼)
・なかむら・こうじ
1959(昭和34)年、東京生まれ。東京都狛江市在住。大阪芸術大学映像計画学科卒業。会社員。2000年日本ゴム銃射撃協会設立。理事長兼東京都支部長。日本ゴム銃射撃協会公式ホームページを含むインターネットサイト、ゴム銃のページを運営。ゴム銃でテレビ・ラジオ出演、新聞・雑誌掲載多数。講演、ゴム銃製作教室、イベント参加も豊富。趣味、ゴム銃・釣り・狩猟・キャンプ。
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