日本の事故処理に人民13億が疑念 中国で既成事実化する「日本核武装疑惑」
#中国 #原発
開いた口がふさがらなくなりそうな陰謀論が、中国で既成事実となりつつある。
「日本は福島第一原発に核兵器を隠している」
中国メディアでは、そんな福島原発に関する根も葉もないガセネタ報道が相次ぎ、まかり通っているのだ。
荒唐無稽な陰謀論に火を付けたのはネットメディアだった。例えば「spn睿商在線」は3月17日、「核開発推進の立場を取ってきた石原都知事などが中心となり、ひそかに核開発が進められていた。津波と地震は地下核実験の失敗によるもので、原発事故は漏れ出した放射能を隠ぺいする日本政府による自作自演」と報じている。
ただ、中国の有象無象のネットメディアでは、この程度のトバシ記事はご愛嬌ではある。
ところが4月15日になると、なんと共産党系の新聞「環球時報」までが、こうした陰謀論を報じ始めたのだ。
記事によると、「日本の著名ジャーナリスト、島津洋一氏が米ネットメディアで、日本が福島原発内で密かに核兵器を開発していた可能性を指摘する記事を発表し、国際世論を騒然とさせている」というのだ。
島津氏が著名ジャーナリストなのかどうかはさておき、そんな記事が国際世論を騒然とさせている気配はもちろんない。
しかしついには、共産党機関紙「人民日報」も4月26日、日本の核開発疑惑について取り上げている。
その内容は「日本政府が福島原発での放射能漏えいに関する説明会を北京で開いたが、出席した独立行政法人『原子力安全基盤機構』の佐藤達夫理事と日本大使館の山崎和之公使は、記者団の質問に答える形で日本の核開発疑惑を否定した」というものだ。
もはや「当たり前だろ!」とつっこむことさえ虚しいレベルだが、こうした根も葉もないガセネタ報道が既成事実化していることについて、ルポライターで『中華バカ事件簿』(扶桑社)の著者、奥窪優木氏はこう語る。
「中国のメディアも、今や売ってナンボ。人民の目を引くセンセーショナルなネタを競って飛ばしている。一方の人民は、共産党支配の下『政府はウソしかつかないものだ』という感覚が身にしみており、原発事故への日本政府ののらりくらりとした対応に、『なんか怪しい』と直感的に考えてしまう。そこに、メディアがこぞってこうした陰謀論を書き立てれば、『さもありなん』と思う人は少なくないでしょう」
今後、日本政府が原発の事故処理を速やかに行わなければ、中国メディアに食い物にされる一方ということか?
(文=高田信人)
トンデモ!
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