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日刊サイゾー トップ > 社会  > 省エネを高く評価された東京電力 2月に受賞決定の「第20回地球環境大賞」を辞退へ

省エネを高く評価された東京電力 2月に受賞決定の「第20回地球環境大賞」を辞退へ

chikyukankyo.jpg「地球環境大賞」公式サイトより

 瞬時に東北地方の太平洋側を壊滅状態に陥れた東日本大震災。こうした未曾有の災害時こそ、取材記者を大量に動員できる大手新聞・テレビの真価が問われるところだが、そんな中、ひそかに「しまった!」と首脳陣が頭を抱えているメディアグループがある。

「『地球環境大賞』を主催しているフジサンケイグループです。20回目となる記念すべき今年の大賞受賞者になんと東京電力を選んでしまい、対応に大わらわのようです」(大手紙幹部)

 「地球環境大賞」とは、1992年に産業界を主な対象にフジサンケイグループが立ち上げだ顕彰制度。秋篠宮殿下が名誉総裁を務める財団法人「世界自然保護基金ジャパン」の特別協力も得ており、ホームページによれば「環境に関する顕彰制度として日本でもっとも権威と格式をもつ」のだそうだ。

「審査員には、有馬朗人・元東大学長のほか権威をズラリとそろえていて、なるほど、”格式”ある賞の体裁を取っています。しかし産業界を主な対象にしているだけあり、大企業が順繰りで受賞している仲間内の催しという感じ。東電にしてみたら、20年目にしてようやくめぐってきた栄冠でした」(同前出)

 受賞決定は、今年2月のこと。受賞者には財界を代表する企業がズラリと居並び、そのトップに東電が輝いた。その受賞理由は、こう説明された。

「川崎火力発電所(川崎市川崎区)に隣接する工場を新設の配管で結び、発電時に発生した蒸気を各工場に供給、熱源として再利用できる仕組みを構築し大幅な省エネを実現した。審査委員からは『既存のシステムを変えて省エネを図るものであり、大変効果的だ』(合志陽一・筑波大学監事)、『企業の境界線を超えた面的な省エネ活動の好事例』(椋田哲史・日本経団連常務理事)など、周辺地域を視野に入れた取り組みが高く評価された」

 要するに、「省エネ」「CO2(二酸化炭素)削減」を金科玉条のようにうたい、この物差しにかなう取り組みこそ優良企業の証しだと言わんばかりなのだ。

 しかし、今となっては悪いジョークでしかないだろう。受賞決定翌月の3月、東電は原発事故を引き起こし、放射性物質をまき散らしているのだ。

 この状況に「環境大賞」はあまりにも不釣り合いだろう。目に付きやすい小手先の「省エネ」事業に取り組み、企業イメージをアピールしようと腐心するあまり、結果的には自然環境そのものを破滅へと導く形になってしまっている。

 今回の震災と福島第一原発事故を受けて、フジ側は4月5日に予定されていた授賞式を延期すると同時に、東電の受賞を取り消すかどうか判断を迷っていたようだ。

 13日になって、東電・清水社長が会見で、この受賞について「辞退する方向で調整したい」とし、主催のフジ側も、東電側から辞退の意向があることを認めた上で「今後、顕彰制度の趣旨に照らし合わせて、審査委員会ならびに顕彰制度委員会に諮り、正式決定する」とコメントしている。

 審査委員長の有馬氏は、今回の受賞決定に際して「環境問題の解決に向けた各社の活動は年々深化しており、温暖化防止に向けたCO2の削減はもとより、生物多様性の保全など取り組みにも幅が出てきた」と語ったが、その見識こそ、あらためて問われることになるだろう。

不都合な日本の真実

不都合なことばかり。

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最終更新:2013/09/13 19:47
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