斉藤和義の動画アップ騒動でレコード会社が右往左往する裏事情
#音楽 #ネット
ミュージシャンの斉藤和義による原発批判ソング「ずっとウソだった」の演奏動画がYouTube上にアップされた一件が波紋を広げている。所属のビクターエンタテインメントは、動画に映っているのが本人と認めた上で、「本人や弊社の許諾がなく動画投稿サイトに公開された。意図しない形でアーティストの映像が公にされたことは誠に遺憾」と表明しているが、実際のところはどうなのか。
「第三者が勝手に公開したというのは、ロード&スカイという老舗マネジメント事務所が付いている斉藤の場合、あり得ない話ですね。また事務所が知っていたとして、ビクター側に断りなく音源を公開した、というのも業界の慣行から見て考えにくい。斉藤はここ数年、ビクターの後押しもあって再ブレークした経緯があり、同社と事務所との関係も良好です。『公開後すぐに削除する』ことを前提に、ビクター側が一連の動きを黙認したものの、反響の大きさに慌てているというのが実情でしょう」(他の事務所関係者)
ビクターエンタテインメントといえば、ここ数年、何度も身売り説が出るなど経営難が指摘されているレコード会社。一時期パナソニックの持分法適用会社となったが、現在は外れており、政治的な思惑からミュージシャンに圧力をかける動機も乏しい。なぜ慌てているのか。
「ビクターの古い体質は業界内でも有名ですからね。一つは、ミュージシャンが政治活動を行って批判されるのを極端に恐れている。確かに、かつてRCサクセションが反原発ソングを発表しようとした際、東芝EMIの親会社だった東芝から販売中止圧力があったとされ、業界に苦い記憶として残っています。しかし、ほとんどのレコード会社が外資系か独立系となった現在、親会社の圧力は考えにくいのですが、恐怖心だけが独り歩きしている印象ですね。もう一つは、ミュージシャンが自分の判断でネット上に音源をアップすることに対する警戒心です」(レーベル関係者)
現在、Ustreamなどの動画配信サイトでは、多くの歌手やバンドが独自の番組を持ったり、音楽番組に出演したりしている。そこでレコード会社が神経質になっているのは、会社で原盤権を持つ楽曲がネット上で演奏されること。実際、プロモーション目的以外で、最近の曲がフル演奏されることはまれだ。
その点、今回の斉藤和義は昨年発表のシングル曲「ずっと好きだった」を替え歌の素材にしており、「この点にもビクターは神経をとがらせているはず」(前出のレーベル関係者)。今回の「ずっとウソだった」は、原発批判という内容以外にも多くの問題提起を含んだ楽曲発表と言えそうだ。
(文=外場林太郎)
「原子力はいらねえ!」
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