巨匠クロード・シャブロルの遺作! 恋愛サスペンス『引き裂かれた女』
#映画 #洋画
ゴダールやトリュフォーらと共にヌーベルバーグを代表する監督として活躍し、2010年に惜しまれつつ他界した巨匠クロード・シャブロル。同監督が最晩年期に手がけた恋愛サスペンス『引き裂かれた女』が4月9日より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開後、全国順次公開される。
テレビ局でお天気キャスターを務めるガブリエルは、快楽主義者の著名作家シャルルと出会い、肉体関係を持つようになる。一方、親の遺産を相続し遊び暮らす美青年のポールも、ガブリエルを見初めて言い寄るが、食事を共にする程度の仲から進展しない。
シャルルから快楽の手ほどきを受け、愛にのめり込むガブリエル。だが、シャルルに距離を置かれ落ち込んでいるところへ、ポールから旅行に誘われたガブリエルは、旅先でポールの求婚を受けてしまう……。
2人の男に愛され、引き裂かれるような恋愛に苦悩するヒロインを演じるのは、フランソワ・オゾン監督の『スイミング・プール』(03)で大胆なヌードとセックスシーンを披露したリュディヴィーヌ・サニエ。本作での性的な描写は上品で間接的なものにとどまるが、美しい顔立ちの中にも少女のようなあどけなさが残る彼女の魅力を存分に堪能できることには変わりない。
シャルル役には、『トランスポーター』シリーズのトボけた警部役でおなじみのフランソワ・ベルレアン。ポールを演じるのは、ミヒャエル・ハネケ監督『ピアニスト』(01)でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞したブノワ・マジメル。
物語は、20世紀初頭のアメリカで実際に起きたスキャンダラスな事件をもとに、主要人物3人の関係と出来事を現代のフランスを舞台に再構築したもの。ただし、愛憎入り乱れる三角関係の結末は知らない方が、”フランスのヒッチコック”の異名を持つシャブロル監督の意表を突く演出をより一層楽しめるだろう。あまりの唐突さにぼう然となるラストシーンには、タイトルにつながるユーモアが込められていて、哀しさとおかしさが相半ばする複雑な感慨が後に残る。
恋をしているときは誰でも不安定になり、2人の異性の間で気持ちが揺れ動くというのもよくあること。その点で、ヒロインの心情に女性のみならず男性も大いに共感できる物語であり、心を狂わせる愛の魔力をあらためて思い知らせてくれる作品でもある。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
『引き裂かれた女』作品情報
<http://eiga.com/movie/55935/>
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