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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」(前編)
【第23回】小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談

須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」(前編)

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 モテない、金ない、華もない……負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第23回のゲストは、新刊『今日が残りの人生最初の日』(講談社)を上梓された須藤元気さんです!

[今回のお悩み]
「もう運命的な出会いが欲しい……」

――すいません、バレンタインなんて大切な日に、こんな意味の分からない女の相談に乗らせてしまって!(2011年2月14日収録) これ、お荷物にならなければ……(チョコを渡す)。


 わぁ! すいません、お気遣いを。

――いえいえ、とんでもない。私、女子高だったんですけど、クラスで須藤さんの人気、すごかったんですよ。「強いしかっこいい!」って。まさかこうしてチョコを手渡しできる日が来るとは……!

 いやいやいや……(困惑して)。

――なのに、須藤さんの本には「学生時代は全然モテなかった」とか「二次元の女性が好き」って書いてあって、そんなもん絶対ウソじゃないですか!

 全然、どうしようもなかったです……。女性とあまり話せなくて、初恋の子も、中1から3年間、一言も口を聞けないまま卒業の時に告白して撃沈したっていう。そりゃ一言も話さなかったら無理ですよね。

――コンタクトゼロで告白は、むしろ勇気ありますね……。須藤さんは確か高校時代も3年間同じ女性に片思いしてフラれちゃったみたいですけど、著書によると、その後は有名になってタレントさんやモデルさんともお付き合いされてたわけじゃないですか。そういう華やかな方々とのお付き合いはどうでしたか?

 楽しかったですね(笑)。それまでは、「モテたい!」と思って学生時代にナンパとかコンパもしましたけど、全然ダメでしたから(笑)。

――割とアクティブに活動したのにダメって、何もせずにダメなことよりキツいですね?

 そうなんですよ、やっぱり、空気が読めないからでしょうね。今もそんなには変わらないんですけど。本当にモテなかった反動で、「まず付き合おう!」ってなってしまって……有名になれば来る人も多いじゃないですか? それを拒まずにいたら、痛い目にもたくさん遭って(笑)。

――お付き合いしても、フラられたことの方が多いとも書かれていましたけど、なぜなんでしょう? お世辞じゃなく、そんなふうには見えないんですが……。

 そうですね、基本的に、僕オカシイですからね。う~ん、自分でも思うんですけど、頭オカシイですね。お付き合いすると分かると思います。

――アハハ(じゃあ付き合ってくれと、のどまで出かかる)。私も基本フラれる側で、しかもその理由が「バカすぎる」とかなんですよ。

 そうなんですか? でも、バカだったらライターは出来ませんから(笑)。

――いや、正直、グラビアアイドルでデビューして、さっぱり売れませんで。流れ流れて現状なんで、そのアイドル的な冠がなかったらライターだってそうとう厳しいもんで……もう、日々ぐるぐる葛藤してますよ。

 大丈夫ですよ。アイドルだけだとたくさんいますけど、そこでライターとして文章が書けるのは、それで差別化されているわけですから。

――でも、それは完全な逃げじゃないですか……アイドルでやっていけないからライターやって、ライターでも厳しいからアイドルを捨てない、みたいな……。

 逃げというか、ひとつの手法です。アイドルという主軸があるからライターとしても特殊なポジションにいる。頭が良いですよね。

――頭が良いなんて……太字にして載せたいくらいですよ! 須藤さんは新刊の『今日が残りの人生最初の日』もそうですけど、今までもユリ・ゲラー氏と対談されてたり、『バシャール スドウゲンキ』(知的生命体バシャールとのテレパシーでの交信記録)だったり、そういう迷いから解き放たれている、崇高な印象です。

 いえいえ! 僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ(笑)! でも、人間の魅力は振り幅ですからね。僕も現役時代に本を出して、「格闘家なのに本を出した」っていう振り幅があって。まず本を出せたのも、格闘技という主軸があったからやれてたんですよ。引退してからも書いてますけどね(笑)。

――須藤さんの本って、もっと難しい精神論が書かれてるのかと思ってたんですけれど、意外と分かりやすくてびっくりしました。私の姉も一時期スピリチュアルにハマってかなり啓蒙されたんですけれど、「ギルツとタルキムスが……」とか、とにかく用語が難解すぎて「姉が違う星の生物になった……」って感じでしたもん。このくらい分かりやすく説明してくれたら、もう少し分かり合えただろうに……。

 いやいや。小明さんもそういうことに興味はあるんですか?

――私はそんなにガッツリではないんですけど、”言霊”みたいなものはあると思っていて。私はすごくネガティブな性格で、いつも、「もうダメだー!」みたいなことを思ったり口に出したりしてしまうんです。そうすると本当にどんどんダメになっちゃって、精神的にキテる時は、ある人が憎すぎて「アイツを呪い殺したい……!」と日々悶々としてたら、「あの人、入院したらしいよ」って人づてに聞いて……。偶然だとは思いつつ、「すごい! 呪いが効いた!」と喜んでいたら、そのすぐ後に自分にも悪いことが起きて……。「人を呪わば穴二つ」とは言いますが、やっぱり自分の投げたボールは返ってくるんだな、と。いつか自分の邪気で自分が死にそうで、なんかもう怖いです。

 ……そうなんですか(引き気味に)。

――そこで須藤さんの本を読んだら、「人の悪口を言いたくなったら、その真逆の褒め言葉に変えてみる」っていうのがあって、なるほどな、と。「お前を一生呪ってやる!」だったら、「お前を一生祝ってやる!」でしょ? これは愉快ですよね。

 言葉を変えるのは良いですね。思考のエネルギーより言語のエネルギーの方が強いので、言葉を変えることによって思考パターンが変わりますから。言葉にするとき、一回溜める。思考というのはずっと垂れ流しで考えていますけど、言葉っていうのは一回ワンクッション置けるんですよ。その言葉を言うべきか言わないか、いったん考える訓練をすると、自然に考えてから言えるようになってきて。言葉をコントロールしていくと、思考は変わります。

――今の私の活動は、Ustreamとかニコニコ動画とか、ネットを使ったものが多いんです。そうすると、ネットの書き込みってストレートなんですよね、いいことも、悪いことも。私はネガティブな性格上、悪いことばっかり気になっちゃうんです。須藤さんも、ネットの掲示板の書き込みに一喜一憂していた時期があるんですよね。

 デビューして10年たちますけど、当時はまだネットがそこまで普及していなかったので、一つ一つの書き込みが重かったんですよね。今は誰でも書いてますから、100人いれば100人の考え方が違うので、それをすべて受け取る必要はないですよ。それに小明さんの場合は、それも愛情表現じゃないですか?

――そうなのかなぁ、もっと甘いお菓子を与えるとかの愛情表現がいいなぁ。

 アハハ(笑)。関心を持たれるっていうのは、そういうことですから。書いている人に小明さんという存在が引っ掛かっているから書き込みをするのであって、引っ掛からない人の方が多いですからね。

――ああ、そういえばデビュー当時、「2ちゃんねるというものがあって、芸能人はそこにいろんなことが書かれているらしい」って知って、「最近デビューした小明って子、いいよね」とか書いてないかなぁ、と甘い期待をして検索してみたら、自分のスレッドすらなかったっていう悲しい出来事がありました。あのころと比べてみれば、マシなんですね、現状は。

 良かれ悪しかれ、こういった仕事っていうのはネットに書かれるうちが花だと思った方が。それでネガティブなものは、その人の投影なので、結局は発言者自身の心の叫びなんですよ。満たされないから人を批判して、それで満たされると思っても、結局は満たされない。書き込む人が一番嫌いなのは、自分自身なんですよね、実は。
後編につづく/取材・構成=小明)

●すどう・げんき
1978年、東京都生まれ。拓殖短期大学卒業後に格闘家としてデビュー。02年から06年まで「K-1」を主戦場に活躍。現在、拓殖大学でレスリング部の監督を務
める傍ら、作家・タレント・ミュージシャンなどとして幅広い活動を続けている。09年にはダンスパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」を立ち上げ、そのPVは海外からも注目を集めている。(http://www.youtube.com/user/crnaviofficial

●あかり
1985年栃木県生まれ。02年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中

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最終更新:2018/12/19 15:01
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