「しばらくは工夫が必要になる」震災でテレビバラエティー現場はどう変わるか
#テレビ #裏チャンネル #東日本大震災
3月11日に発生した東日本大震災から、もうすぐ20日が経過しようとしている。
緊急報道番組一色だったテレビも、15日夜あたりから民放キー局で徐々に通常番組が放送されるようになった。とは言え、3月末の時点で”お蔵入り”状態のままになっている番組も複数あり、計画停電も長期化する見通しとなっていることなどからも、今後の番組内容や放映スタイルなどにも影響が及ぶことは間違いない。
スタジオなど撮影現場での変化について、ある人気バラエティー番組を手掛ける放送作家は言う。
「震災後は、多くの現場で極力、照明を落として収録していますね。画面に映る範囲は明るさがなるべく落ちないようにしていますから、テレビを通して見ると変化はほとんどありませんが、スタジオ全体はやっぱり暗いですね。また、観覧者を入れずに収録したり、必要以上にあおったり盛り上げたりしないという方向で対応しています」
番組内容については、やはりしばらくの期間は内容を制限していく方向だという。
「まずは、災害をイメージさせないことが大前提ですね。基準は各局の判断によると思います。危機的状況からの奇跡の脱出劇の再現VTRなんかも、もしかしたら放送しづらくなるかもしれません。海沿いのオモシロ景色や動画も、ちょっとNGでしょうね」(同作家)
当面は、日本中に勇気を与えるもの、見て元気になるものが歓迎される傾向にあるとのことだ。
「この時期に予定されていなかった『はじめてのおつかい』(日本テレビ系)が放送されたのが象徴的ですよね。ただ、一口にネガティブといっても、勇気を与える方向のネガティブならOKなんです。17日に放送された『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の”中学の時イケてない芸人”の傑作選なんかは、”イケてない”と言いつつも、前向きということですよね」(同)
一方、お笑い界に及ぼす影響も少なくはない。あるお笑い業界関係者は言う。
「福島第1原発の事故の影響で、女性ピン芸人の赤いプルトニウムが、早い段階で芸名を『赤プル』に改名しました。また、冷水や熱湯風呂に落下するような罰ゲームはしばらく難しいでしょうね。ダチョウ倶楽部の、おぼれた竜ちゃんのお腹を押すと口から水がピュー、という定番のギャグも、絶対無理でしょう。食べ物で遊ぶ系や後輩芸人をいじめて笑いを取るみたいなものも、少しやりづらいくなる可能性はあります」
お笑いだけでなく、ドラマや映画の放送にも影響はある。あるテレビ関係者がこう言う。
「パニックものや災害もの、原発や原潜を扱ったものについては、当面は難しいですね。都市破壊シーンの多い怪獣映画なんかでも、災害を連想する人がいるかと思います。国民的ヒット作なのですが、『崖の上のポニョ』なんかも、クライマックスで街が海にのまれる場面が出てきますから、もしかしたらこういった作品の放送にも影響が出てくるかもしれません。大食いや、セレブの豪華な暮しぶりを紹介する番組なんかにも、しばらくは工夫が必要になりそうですね」
こういった状況では、ちょっとしたことでも「不謹慎だ」「自粛しろ」という声があがってしまう可能性もささやかれている。前出の放送作家が言う。
「ACのCMで、あそこまで反感の声があがったりしたわけですからね。不謹慎狩りみたいなことは少しは予想されます。ただ、ACの場合も、多くの人は抗議まではしない。ストレスのはけ口が少なくなっている分、よりテレビに意識がいっちゃうという傾向はあると思います。ただ、そこまで気にしていたらキリがありませんし、送り手側も、不謹慎なものをあえて作ろうという気持ちはまずありませんしね」
未曾有の災害の余波は、今後も長く続きそうだ。
(文=太田サトル/「サイゾー裏チャンネル」より)
ほどほどにお願いしたい。
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