「もっと避難所を映せ!」サンドウィッチマン伊達の”提言”は震災報道を変えたか
#お笑い #サンドウィッチマン #東日本大震災
宮城県・気仙沼でのロケ中に被災したお笑いコンビ「サンドウィッチマン」の2人が、生放送中の番組でテレビ批判をして話題を呼んでいる。15日、日本テレビ系の情報番組に出演したサンドウィッチマンの伊達みきおは、「津波の凄い映像とかもういいから! 避難所を映してほしいんです。全局で同じことやってる事態じゃないですよ今」と提案。
2人とも仙台市出身とあって故郷を思う気持ちは強く、「救援物資が1個も届かないというのが、僕のブログのコメントにも入ってて、僕らに伝えてくれって頼まれた」(伊達)と必死の感情が伝わってきた。
これに芸人・なだぎ武がブログで、「それから日テレでの映像が変わった……メディアの流れを変えた」と賛美。実際、この時期からテレビで被災者の声を伝える趣向が強くなったことが伺えた。これが事実なら革命的な提案だったことになるが、当の局側からは”やむにやまれぬ事情があった”という声も聞かれる。
「提案は素晴らしいことだと思いますし、至らない部分は申し訳ないと思います」と、ある日本テレビディレクターは前置きした上で、「もともと被災者の声を届ける予定だったが、現場には現場の事情があった」と明かす。
「まず、震災直後はまだ取材スタッフが現地入りできていない状況で、ほとんど現地の支局から入る映像頼み。支局がない茨城県の映像が少なかったのも、そのせいです。支局のスタッフも家や家族を失った人がいて混乱する中、地域ごとの被害状況もハッキリ分からず、交通手段もない手探りの状況でした。取材材料に乏しい中では同じ映像を何度も流すしかなかった部分はあります」(同)
ようやく撮影機材を持ち込めても、そこはとても取材どころではない状況だったという。
「当初は負傷して血だらけの人や、家族を失い錯乱する人がいて、そこですぐに撮影を、というわけにもいかず、仕事を中断して現場の手伝いをしたスタッフも少なくなかったんです。避難所は一時的にも生活空間になっていて、無断で撮影はできないので、行政側の責任者と調整も必要でした。これは阪神大震災のときも同じで、当時も被災者情報は流しましたが、今回は場所が都市部でなかったので時間がかかったのです」(同)
また、伊達が「この局は安否確認、この局は原発、と役割を」と局ごとに分担して放送すべきといった意見には、「それができればこっちもスタッフを減らすことができますが、それは全系列の局が見られる中央にいる人の意見。チャンネルの少ない地方では、局ごとに分担すれば一部の情報しか入らない地域が出てきます。悩ましいところなんです」と前出ディレクター。「ただ、伊達さんのあの発言が私たち現場のテレビマンの背中を押してくれたことは間違いないですよ」と付け加えた。
未曾有の大災害を受けて、改めてテレビ局という大メディアの存在意義が見直される昨今、現場には志の高いテレビマンも決して少なくないようだ。
応援してるよ!
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