“空手ガール”武田梨奈が忍者に変身! アクション時代劇『女忍 KUNOICHI』
#映画 #インタビュー #邦画
スクリーンの中で見せるハードなアクションとは裏腹に、普段はふんわりした笑顔を見せる”リナティー”こと武田梨奈。『ハイキック・ガール!』(09)で主演デビューを飾り、今年2月に主演第2作『KG カラテガール』が公開されたばかりの大注目のアクション女優なのだ。主演第3作となる『女忍 KUNOICHI』は初のアクション時代劇。キックボクサーとして鳴らした虎牙光揮を相手にスピード感溢れる忍者バトルを繰り広げる。実は取材当日、交通機関が運行しておらず、リナティーは自宅から取材を行なったソニー・ミュージックアーティスツまで3時間かけて辿り着いたのだ。疲れたそぶりをちっとも見せずに、いつも通りの明るい笑顔を振りまくリナティーに、もう日刊サイゾー取材班のハートはキュンキュンです。
──平成生まれの19歳! 時代劇って観てましたか?
武田 正直、勉強不足で恥ずかしいんですが、時代劇はあまり観たことがありませんでした。”忍者”のイメージもつかめず、すぐにインターネットなどで調べました。今までと全然違う役ということもあり、戸惑いもありました。でも初めての時代劇で「自分にとって新しい挑戦だ」と思い、とても楽しみでもありました。
くできたのは、共演の虎牙光揮さんや
アクションコーディネイターの園村健
介さんのお陰です」。
──チャレンジすることに燃えるタイプなんだ。
武田 そうですね。『ハイキック・ガール!』『KG カラテガール』と、これまでは私の得意な空手をベースにしたアクションが多かったので、今回はアクションの幅を広げるいいチャンスだなって。私、ヌンチャクは扱えるんですけど、今回のような刀を使った殺陣は初めて。勉強になりました。
──『ハイキック・ガール!』『KG』『女忍』のアクションポイントをそれぞれ簡潔に解説すると、どんな感じ?
武田 『ハイキック・ガール!』のテーマは、”当てる”だったんです。きれいなアクションでなくてもいいから、”痛い”リアルなアクションを目指しました。『KG カラテガール』は相手の背中に乗ってのキックなど、より魅せるアクションに挑戦しました。この2作は空手をベースにした”一撃必殺”だったんですが、今回の『女忍』は時代劇ということもあり、アクションのテンポも間合いもまるで違って難しかったですね。技の手数がとても多く、テンポも速く、覚えるのが大変でした(苦笑)。最終的には殺陣の手数を覚えるというよりも、1対1で戦う虎牙さんと呼吸を合わせることに意識を集中させましたね。『女忍』はスピード感を見てほしいです。
──今回の敵役は、ボクシング、キックボクシング、ブラジリアン柔術まで経験しているコワモテ男優・虎牙光揮!
武田 虎牙さんは格闘技をいろいろ経験されていることもあって、アクションの動きのことをすごく理解されていて、撮影期間中もその日の撮影が終わった後に2時間くらい私の稽古に付き合ってくれ、昼食中や撮影の空き時間にも、いろいろアドバイスしていただきました。虎牙さんは普段から体を鍛えている方なので、「本番中に当たっても気にしないで」と言ってくださったので、存分にやることができましたね。逆に虎牙さんが私のお腹を2発蹴るシーンは、寸止めじゃなくて本当に当ててもらいました。かなり痛かったです(笑)。
「まず、危ない場所には近寄らないようにしま
す。護身術は最後の手段」とクレバーな返答。
──痛かったです(笑)って……。格闘技を経験した者同士の信頼関係があってのハードアクションだったんスね。クライマックスの洞窟での激闘シーンは、足元が小石まじりの砂利でコケたらヤバかったでしょ?
武田 はい、足元が滑りやすくて危なかったですね。走るシーンでは、滑ってずいぶん擦り剥いちゃいました(笑)。あれでも小石はかなり拾ったんですが、石を使った殺陣もあるので、あまり石がないのも変なので、わざと石はそのままにしてあったんです。大ケガだけはしないように、気を引き締めてやりました。でも私の擦り傷よりも、朝方まで撮影が続いたのでスタッフの方は寒くて大変だったと思います。
──『女忍』の千葉誠治監督、『ハイキック・ガール!』の西冬彦監督と演出スタイルはかなり違った?
武田 違いましたね。西さんはアクションシーンをじっくり長回しで撮るんですが、千葉監督はものすごくカット数が多いんです。「えっ、こんなに多くのカット数を撮るの?」と思ったんですけど、完成した作品を観たらスピード感があってとてもカッコよかった。どちらも違った面白さがありますね。すごく勉強になりました。
■19歳の乙女の密かな心配事とは……?
──17歳のときに『ハイキック・ガール!』でいきなり主演デビューを果たしたわけだけど、アクションの師匠である西監督とはどんな形での出会いだったの?
を塗り替えるか? 武田梨奈が初となるソー
ドアクションに挑んだ『女忍 KUNOICHI』。
武田 もともと小3くらいから、役者さんの仕事がやりたくてオーディションを受けていました。空手は10歳から始めたんですが、空手の全国大会で優勝したことなどもあって、私のブログを西さんが注目してくれたんです。それで『ハイキック・ガール!』のオーディションを受けてみないかと声を掛けてくださった。それが高1のときですね。自分のやりたかったお芝居と特技の空手を活かせるので、「このオーディションは2度とないチャンスだ! と思いました。まさか主演に選ばれるとは思ってなかったので、ビックリ(笑)。
──”映画に出てみない?”という誘い、怪しいとは思わなかった?
武田 はい、最初は正直いって怪しいと思いました(笑)。私のブログに「映画に興味ありませんか?」とメールが突然届いたので、「あっ、変なメールが来た」と(笑)。1週間くらいシカトしてたんです。でも、やっぱり気になったので父から連絡してもらいました。連絡して良かった(笑)。あのときシカトしたままだったら、今の武田梨奈はいなかったわけですよね。
──メールをくれた西さんがまっとうな映画人でよかったですね。憧れの人が、ジャッキー・チェンと武田鉄矢ということだけど、もしかして年上の男性がタイプ?
武田 いやー、どうなんでしょうか(笑)。ジャッキー・チェンさんはアクションスターとして昔から憧れの存在です。武田鉄矢さんは『3年B組金八先生』(TBS系)の大ファンだったんです。後から『刑事物語』シリーズ(82~87)を観て、「金八先生ってアクションもやるのね!」と驚きました。『刑事物語』の頃の武田鉄矢さん、ちょっとジャッキー・チェンさんっぽくていいですね。
忍者・霜月(虎牙光揮)。虎牙は『あしたの
ジョー』ではウルフ金串を演じるなどアクション
映画に欠かせない存在。
──いつか片山刑事のハンガーヌンチャクと競演を果たしてくださいよ。
武田 いいですね。『金八先生』に出演するのが長年の夢だったんですが、終わってしまって残念だなぁって思ってたんです。『刑事物語』の新作が作られる際は、ぜひ武田さんのハンガーと私のヌンチャクで競演したいですね。でも、ハンガーをあそこまで自在に操る武田さんはすごい。私も今度、ハンガーヌンチャクに挑戦してみようと思います(笑)。
──19歳の年ごろの女の子に聞くのも何だけど、カバンにいつもヌンチャクを入れてるの?
武田 毎日じゃないですけど、アクションの稽古がある日や空き時間ができそうなときは、ヌンチャクを持ち歩いてます。公園や自宅の前でも、よくヌンチャクを振り回してます(笑)。ひとつ心配なことがあって、お巡りさんに「カバンの中を見せてください」って言われたら、どうしようかなって。ヌンチャクを持ち歩いていたら、捕まっちゃいますか?
──大丈夫。もうすぐ、”武田梨奈=アクション女優”として世間が認知するようになりますよ。『マッハ!!!!!!!』(03)、『チョコレート・ファイター』(08)のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督はわざわざタイから来日して、西道場での練習を見学したとか。
武田 はい、『KG カラテガール』のクランクイン前の練習を観ていただきました。『KG カラテガール』用のスタントの練習の他に、ピンゲーオ監督の希望で空手の基本の型もお見せしました。ピンゲーオ監督からは「いつか一緒にお仕事できるといいですね」と言葉を掛けてもらえたので、実現させることを目標にしています。『チョコレート・ファイター』でヒロインを演じたジージャさんとも格闘雑誌の企画で対談する機会があったので、ぜひジージャさんと競演してみたいです。
──タイのアクション映画は、まじでガチンコですよね。『チョコレート・ファイター』ではジージャの顔面を突きや蹴りが直撃してましたが……。
甲賀忍者の如月(武田梨奈)。「私は男を殴る
のが大好きさ」なんてサディスティックな台詞が!
武田 『ハイキック・ガール!』を撮影する前に、西さんから『チョコレート・ファイター』のジージャを目指せと言われたんですが、さすがにあのレベルのスタントは当時の私には難しく感じました。でも、その後『KG カラテガール』などで経験を重ねることで、少しずつですがあのレベルに近づけていると思うんです。周りからも「同じ女性だから、できるよ」と励まされているので、自分で「できない」と思わずに、「そうだ、やれる!」と思うようにしています。
──そのポジティブ思考から、超絶ハイキックが繰り出されるんスね。最後に日刊サイゾーのユーザーにメッセージをお願いします!
武田 『ハイキック・ガール!』『KG カラテガール』と『女忍』はまったく違った作品になっているので、前2作を観ていただいた方でも新しい面白さがあると思います。前2作とはテンポも雰囲気も違った時代劇アクションに、男性の方はコーフンできるはずです(笑)。キャッチコピーに”男ども。なめるなよ。”とあるんですが、女性の方がご覧になってもすっきりするアクション時代劇になっていると思います。虐げられた女性が逆襲するストーリーなので、ぜひ女性のみなさんにも観ていただきたいですね。
劇中ではリナティー扮する女忍者・如月が「私は男を殴るのが大好きさ」と口にするシーンがあり、普段のふんわかしか雰囲気とのギャップがたまりません。スクリーンいっぱいに元気のオーラを振りまくアクション女優・武田梨奈に、目はもうクギづけです。
(取材・文=長野辰次/メイク=門間導子/スタイリスト=山本真里江/オランジェ)
●『女忍 KUNOICHI』
監督・脚本・編集/千葉誠治 アクションコーディネイター/園村健介 出演/武田梨奈、虎牙光揮、三元雅芸、佐藤雄一、小野村麻郁、藤澤志帆、琴乃、島津健太郎 配給/日本出版販売 3月19日(土)よりシアターN渋谷ほか全国順次公開 <http://kunoichi-movie.com>
●たけだ・りな
1991年神奈川県横浜市出身。10歳から空手を始め、全日本チャンピオンにも輝く。現在琉球少林流空手道月心会の黒帯。西冬彦監督の『ハイキック・ガール!』(09)の主演に抜擢されたのに続き、主演第2弾『KG カラテガール』が2月に公開されたばかり。その他の出演作に『少女戦士伝シオン』(10)、テレビドラマ『古代少女隊ドグーンV』(毎日放送)など。6月には青春スポーツ映画『アベックパンチ』が公開予定。
<http://ameblo.jp/rina615>
おみごと!
【関連記事】
日本では上映不可の問題作が解禁!バイヤーが語る洋画買い付け裏事情
日本映画界期待の新鋭・石井裕也監督「今の時代は、面白いだけじゃダメ」
6,000円で映画を作る方法を教えます!斬新な”純愛ゾンビ映画”『コリン』
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事