事故ひとつで高額賠償も? 停電で激増のにわか自転車通勤者がはらむ危険と解決策
#東日本大震災
今週は、自転車の交通事故がうなぎ昇りなのではないだろうか。
計画停電で不遇に置かれているのが、都内に通勤する人々だ。震災に加えて原発事故は先行きが見えないにも関わらず、会社は通常通り営業中。行きは、いつも以上に酷いラッシュに四苦八苦、帰りも帰りで電車は、まともにやってこない。
そこで急に増えているのが、にわか自転車通勤者たち。試しに、筆者も早起きして自転車でオフィス街へ走ってみたが、そこかしこに自転車、それもママチャリの姿が目立っている。
しかし、にわか自転車通勤者たちの自転車の交通マナーは、かなり悪質だ。もっとも目立つのは、歩道を猛スピードで疾走する人々。歩行者の間を、すり抜けて走る様子を見ていると、いつ衝突事故を起こしてもおかしくはなさそうだ。
かと思えば、歩行者を避けて路側帯を走っている自転車もいるのだが、両耳にイヤホンをはめたまま我が物顔で走っている若者、一歩でも会社に近づこうと信号待ちの車の間を、必死ですり抜けているママチャリのおじさんなどなど、いつ接触事故が起こるか見ているほうがハラハラしてしまう。
都内のタクシー運転手に聞いたところ「路上駐車している車があると、それに沿って自転車も隣の車線にはみ出してくるので、特に危ない。いつもよりも、運転には気を使っている」という。
突然の自転車通勤者の増加が、道路事情を悪化させているのは間違いない。
●歩行者との事故で高額賠償も
恐ろしいのは、自動車よりも歩行者との接触事故だ。自転車が絡む交通事故は09年のデーターで15万6,373件と交通事故全体の21.2%を絞めている(警察庁調べ)。うち、自転車の過失が大きいと認められた事故は2万4,627件。多くは、無謀な自転車が歩行者に衝突し負傷させたものなのだが、そうした場合、高額な賠償が迫られる。中には、訴訟となり5,000万円超の高額賠償を命じられたケースもある。道路交通法で自転車は「車両」とされており車道走行が原則。歩道を走行している時点で、どんなに歩行者に非があっても自転車側の過失の割合が高くなってしまうのだ。
近年ブームに乗って増加してきた自転車通勤だが、事故を防ぐためにもヘルメット、グローブの着用は必須。ところが、にわか自転車通勤者たちは「たかが数日のこと」と思っているのか、自分の身を守ることも不十分だ。都内の自転車専門店に聞いてみたが「ヘルメットやグローブの売り上げには、さほど変化はない」とのこと。ママチャリでは仰々しく見えてしまうかも知れないが、万が一のためにヘルメットは着用しておきたいものだ。
にわかに急増したことで、ちょっと混乱を引き起こしている自転車通勤者だが、彼らばかりに非があるわけではない。日本では、自転車専用レーンを設置する道路は少なく、自転車はこれまでも自動車と歩行者の狭間で不便を強いられてきた。自転車が電車を乗り継ぐよりも便利な移動手段であることは間違いない。これを好機として、自転車通勤者が増加し、インフラが整備されることも期待したい。
ただ、我が身を守るのは必要最低限の行為、歩道走行をせず、ヘルメット等を着用すると共に、日本サイクリング協会等の自転車保険に加入することはしておきたい。
恥ずかしがらずにかぶりましょう。
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