天才子役ダコタちゃんが悩殺パフォーマンス! 『ランナウェイズ』
#映画 #洋画
アカデミー賞受賞作や候補作に話題が集中しがちなこの時期。とは言え、もちろんそれ以外にも隠れた名作はたくさんある。今週紹介する新作2本は、いずれも実在のアーティストを題材にした音楽映画。ふんだんに挿入される楽曲そのものの魅力を味わいつつ、作り手であるアーティストの生きざまと時代の空気に触れられる佳作だ。
3月12日に封切られる『ランナウェイズ』は、1970年代に日本を含め世界中でセンセーションを巻き起こした元祖ガールズロックバンドの軌跡と、10代のメンバーたちの青春を描いた作品。女性ロックスターを夢見てギターを弾き始めたジョーン・ジェット(クリステン・スチュワート)は、地元ロサンゼルスで敏腕プロデューサーのキムに見いだされた美少女、シェリー・カーリー(ダコタ・ファニング)と共に「ザ・ランナウェイズ」を結成。女性だけのロックバンドという物珍しさと、セクシーで過激な歌詞や衣装が話題になり、メジャーデビュー、海外ツアーへと躍進。だが、家庭に問題を抱えるシェリーと、音楽よりもシェリーのルックスばかり注目されることにいら立つメンバーとの関係は次第に悪化する……。
サエない現実から抜け出すため夢に賭け、仲間と出会い、時に傷つけ合いながら成長していく。大人になるまでに誰もが経験する、そうした青春時代の高揚感や切なさが、往年のロックナンバーと共に綴られる。かつての天才子役、ダコタ・ファニングも本作の撮影時で16歳。利発な美少女という従来の役のイメージから打って変わり、下着同然のステージ衣装をまとい悩殺パフォーマンスを披露する。黒髪に革ジャンという外見でマニッシュな魅力を放つクリステン・スチュワート(『トワイライト』シリーズ)は、ボーカルとギターを猛特訓して劇中使用12曲を完全マスター。製作総指揮のジョーン・ジェットを驚かせたという貫禄の演奏ぶりも必見、必聴だ。
一方、現在公開中の『ショパン 愛と哀しみの旋律』は、「ピアノの詩人」とも呼ばれる名作曲家フレデリック・ショパンの激動の半生を描く。19世紀、若き作曲家ショパンは、帝政ロシアの支配下にあったポーランドを離れ、自由な芸術活動を求めてフランス・パリへ。当代随一の人気作曲家フランツ・リストによる計らいで、念願のパリ社交界デビューを果たす。美しい旋律と情感豊かなピアノ演奏で名声を高めるショパンに、恋多き女性作家ジョルジュ・サンドが情熱的にアプローチ。やがて2人の愛が始まる。
創作活動に情熱を注ぎ珠玉の旋律を紡ぎ出していくショパンと、そんな彼を愛し葛藤するサンド、そして2人の関係に深刻な影響を受けるサンドの子どもたち。彼らが織りなす人生のドラマが、時に繊細で、また時に荘重な音楽と共に描かれる。チェロのヨーヨー・マ、『戦場のピアニスト』の演奏で知られるピアノのヤーヌシュ・オレイニチャク、日本を代表する若手ピアニストの横山幸雄など、演奏家の顔ぶれも豪華。ショパンの人生が刻まれた名曲の数々を、当時の欧州の街並みや華麗な室内装飾等とともに、心ゆくまで楽しんでいただきたい。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
「ランナウェイズ」作品情報
<http://eiga.com/movie/55821/>
「ショパン 愛と哀しみの旋律」作品情報
<http://eiga.com/movie/55833/>
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