ビターな味わいが広がるスイーツムービー『洋菓子店コアンドル』
#映画 #邦画
2月14日のバレンタインデーから3月14日のホワイトデーに至る期間は、女子・男子ともに年間を通じて”スイーツ感度”が最も高くなる1カ月。江口洋介と蒼井優が初共演の映画『洋菓子店コアンドル』(アスミック・エース配給、2月11日公開)は、この時期にぴったりの”目で味わうご馳走”だ。
鹿児島のケーキ屋の娘・なつめ(蒼井)は恋人を追って上京し、有名洋菓子店「パティスリー・コアンドル」を訪ねる。恋人は辞めた後だったが、なつめはオーナーでシェフパティシエの依子(戸田恵子)に頼み込み、店で働くことに。一方、コアンドルに時折現れる元天才パティシエ・十村(江口)は、過去のある事件のせいでケーキを作れなくなっていた。
依子ら店のパティシエたちからケーキ作りを学びながら、十村や常連客との出会いを通じて、自分の生き方や夢を見つめ直していくなつめ。十村もまた、何事にもまっすぐな気持ちをぶつけるなつめに、心を揺さぶられていく。そんな折、晩さん会のデザートを作る契約を取った依子が倒れて大けがを負ってしまい、コアンドルは最大のピンチを迎える。
実際に名店のシェフパティシエが提供したという優美なスイーツの数々が、瑞々しくつややかな映像で映し出され、出来たてのケーキから漂う甘い香りや、口の中に広がる繊細な風味までもがスクリーンから伝わってくるかのよう。
一方で、なつめや十村が経験する人生は決して甘くない。失恋に挫折、取り返しのつかない過ち。それでも、そうしたビターな味わいがあるからこそ、苦悩と努力を経て手にする「幸せ」が一層甘美なものになるのかも。
メガホンを取ったのは若手実力派の深川栄洋監督。堀北真希が悪女を演じたサスペンス『白夜行』(公開中)がベルリン国際映画祭のパノラマ部門に出品されることが決まったほか、櫻井翔・宮崎あおい共演の医療ヒューマンドラマ『神様のカルテ』も8月公開が予定されるなど、タイプの異なる話題作が目白押しだ。
エンディングに流れる主題歌「明日、キミと手をつなぐよ」でメジャーデビューを果たしたのは、福岡在住のシンガーソングライター、ももちひろこ。フレッシュなさわやかさと素材の良さを感じさせる歌声は本作との相性も抜群。最後までしっかり”美味しい感動”を味わっていただきたい。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
「洋菓子店コアンドル」作品情報
<http://eiga.com/movie/55511/>
激甘。
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