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再起のチャンスを生かせるか!? 犯罪アクションムービー『ザ・タウン』

TOWNmain0204.jpg(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES

 スリリングで骨太な犯罪アクションとエモーショナルで繊細な人間ドラマが絶妙に絡み合い、先に公開された米国で批評家やメディアから大絶賛された話題作が、いよいよ日本の映画館を襲撃する。ベン・アフレックが監督・脚本・主演を務めた『ザ・タウン』だ(ワーナー・ブラザース映画配給、2月5日公開)。

 全米一銀行強盗発生率の高い街、ボストン北東部のチャールズタウン。通称”タウン”で生まれ育ったダグ(アフレック)は、当然のように強盗を生業としてきた。ダグが率いる強盗一味は、裏社会の黒幕を介して内部情報を入手し、綿密な計画を立て、犯行現場に一切の痕跡を残さない完璧なプロ集団だ。


 彼らがある銀行を襲撃した際、予定外に支店長クレアを人質に取る。無傷で解放したクレアに何か見られたかどうかを探るため、素顔を知られていないダグがさりげなく近づく。ダグは正体を隠したまま、またクレアも相手が強盗犯だと気づかぬまま、互いに惹かれ合い、愛し合う仲に。

 街を出てクレアとの新しい人生を切望するダグは、仲間や裏社会とのしがらみを断ち切るための最後の仕事として、タウン史上最大の犯罪となるレッドソックススタジアム襲撃に臨む。

 監督としては『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(07年、日本未公開)に続いて2作目となる本作で、アフレックが徹底的にこだわったのは「本物のリアル」。地元住人や現職警官に加え、元銀行強盗や服役囚も撮影に参加。FBIや警察の協力も得たことで、強盗団とパトカーの激しいカーチェイスや、犯人一味と包囲した警察官らとの銃撃戦に真実味が増し、迫力満点のシーンの数々に思わず手に汗握ってしまうはず。

 スピーディーに展開するアクションシーンと好対照なのが、ダグとクレアの関係を軸とした人間模様の丁寧な描写。ダグの父親、幼馴染みの強盗仲間、元恋人らとのやり取りを通じて、ダグがかつて夢に破れ、タウンという環境の中で犯罪に染まっていったことが明かされる。やがてクレアへの純粋な想いと、人生のセカンドチャンスに賭ける意志を知る頃には、多くの観客が主人公に感情移入し、絶体絶命の危機をどうにか乗り切ってほしいと願わずにはいられないだろう。

 演技派で固めた共演陣のアンサンブルも見どころだ。強盗仲間でキレやすい激情タイプのジェム役には、『ハート・ロッカー』の主演で脚光を浴びたジェレミー・レナー。『それでも恋するバルセロナ』でスカーレット・ヨハンソンやペネロペ・クルスと共演したレベッカ・ホールは、クレア役でキャリアウーマンの知性と恋する女の純粋さを巧みに表現。1月に惜しまれつつ他界した英国出身の名バイプレーヤー、ピート・ポスルスウェイトも、穏やかだが凄みのあるタウンの黒幕ファーギーを怪演。

 人生は往々にして理不尽で、思うようにいかないもの。それを宿命として受け入れ諦めるのか、それとも、希望を失わず再起のチャンスに賭けるのか。現状に悩み迷っている人ならきっと、本作のメッセージに「一歩を踏み出す勇気」をもらえることだろう。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)

「ザ・タウン」作品情報
<http://eiga.com/movie/55398/>

ゴーン・ベイビー・ゴーン

アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞ノミネート作品です。

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最終更新:2011/02/04 11:00
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