「ついに死亡者も……」事故続発の東京ドームシティ 営業再開は困難か
#事故
またか、と思わざるを得ない。1月30日、東京ドームシティアトラクションズ(以下TDCA)にある4人乗りの小型ジェットコースター「スピニングコースター舞姫」に乗車した34歳の男性が、走行中に投げ出され転落、死亡した。
現在、業務上過失致死の疑いで捜査を進めている警視庁による現場検証が行われているが、命綱となる安全バーの確認について、TDCA側が「開きがある場合は、押しながら確認します」としたものを、実際には係員女性が、目視のみで手で押しての確認していなかったことが判明している。
「舞姫」は地上約10mの高さに上昇し、座席を360度回転させながら約300mのコースを最高時速40kmで進むという。事故は出発から4分の1程度の約30秒後に起こった。
売りは遠心力だった。急カーブで乗客の体が大きく傾くことで恐怖を感じる、いわゆる絶叫マシーン。
TDCA側の宣伝では「乗る人数(=総体重)で、その都度、マシンの挙動が変化!」とされており、公式ホームページでも係員が顔写真付きで過激な紹介文を掲載(現在は削除)。そこにも「総体重で挙動が変わるため、わざと体重バランスを悪くして乗ると回転しまくるのがミソ」とあった。
何度も乗車経験のある常連客によると「予測できない動きで急発進、急旋回、急落下するので、見た目以上の迫力。乗った後に体が痛くなるほど負荷がかかる」という。
こうしたことから見れば体重や乗り方で負荷が強まることが分かるのだが、今回の被害者は身長185センチ、体重130キロ以上の大柄。TDCA側も「特に大柄のお客様については、手で確認するようにと指導していた」というが、それは実践されなかった。乗車条件を見ても「身長制限120センチ以上」とあるものの、体格の上限規定はなかった。
絶叫どころか命を奪われる悲惨な結末となったが、思い出すのは2007年5月に大阪の遊園地「エキスポランド」にあるジェットコースター「風神雷神2」での死亡事故だ。
これを受けて一昨年に設置されたのが、エレベーターも含めた乗車機器の事故防止を対策する初の調査機関「昇降機等事故調査部会」だった。TDCAでは近年、指を切断するなどの事故が多発していたが、それが生かされなかったのはなぜか。専門家はこう指摘する。
「その部会は、国交省の審議会の下部機関にすぎず、立ち入り調査などができる法的権限を持っていなかったんです。事故を調査して強い立場で対策を指導する組織体系がないままで以前と何も変わっていませんでした。ただ、その指導があるないに関わらず、命を預かる遊園地側の安全管理が足りなかったことも問題です」(遊具評論家)
現在、TDCAは緊急閉園しているが、地元・文京区では自治体から「事件が落着しても開園には反対」という声も上がっているが、これは当のTDCA関係者も「再開は困難」と漏らす。
というのも運営する株式会社東京ドームは、業績の大幅下方修正を行なったばかりで、今後の利益計画が見直されている最中。今回の事故で株価は急落しており「東京ドームホテルの売却案も浮上しているほど苦しい中で、社内でも遊園地の継続はプラスにならないという意見が多い」(関係者)という。
尊い人命が失われた悲惨な事故。会社側を”命拾い”させるわけにはいかない。
もはや信用できない。
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