「亀田戦は技術的に最低な試合」ジョー小泉氏に激怒の亀田父とJBCの弱腰仲裁
#ボクシング #亀田三兄弟 #亀田史郎
昨年末に亀田興毅が3階級制覇、大毅が2度目の防衛を果たした亀田陣営。そんな彼らが、ボクシングのマッチメーカーであると同時に評論家としても世界的に著名なジョー小泉氏が兄弟の試合について書いた記事に激怒し、「民事刑事を問わず必要な法的措置を講ずる」などと通告する物騒な場外バトルを起こしている。さらに取材を続けると、現在、この争いにはJBC(日本ボクシングコミッション)が仲裁に入っており、今月末からほかの世界戦が続くので、「あまり騒ぎを大きくするな」などと両者に自粛を求めたことで”一時休戦状態”であることが判明した。
亀田に関しては、試合後にさまざまなトラブルが起こるのは”お約束”と言えるが、今回はファイティング原田氏らと並んで「世界ボクシング殿堂」にも入っている業界の大御所を「訴える」というのだから穏やかな話ではない。
ことの発端は、昨年12月26日にウエイトをバンタム級に上げた興毅がアレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ)とのWBA同級王座決定戦で判定勝ちし、日本人初の3階級制覇を達成した試合と、大毅がWBAフライ級の防衛戦でシルビオ・オルティアーヌ(ルーマニア)に判定勝ちした試合について、世界的に人気の格闘技サイト「FightNews.com」に小泉氏が寄稿した記事で痛烈に批判したことだった。
小泉氏は興毅について、試合そのものがバンタム級でほとんど実績のないもの同士で突如組まれた”異例な試合”だと指摘した上で、過去に2階級制覇を成し遂げた日本人選手の名前を連ねて書き、読者に対して、興毅がそうした歴代の王者よりも「優れていると思わないようお願いする」となどと皮肉っている。
大毅の試合についてはさらに痛烈だ。まず、2-1で大毅の勝利とした審判たちの判定に疑問を呈した上で、その試合が、小泉氏がこれまで見てきたあまたの世界戦のなかでも「技術的に最低な試合だった」などと酷評。さらにWBAの本部に対して、この試合の判定などが適切であったか「ビデオを見て検証、議論すべきだ」となど訴え、最後は大毅を王者とすることによって「プロボクシングのステータス(権威)をこれ以上貶めないでほしい」とまで書いている。
これに対して亀田陣営が激怒したとみられ、1月23日に日本の一部ボクシング専門サイトに「亀田プロ×ジョー小泉バトル勃発」と題された驚きの記事が掲載されたのだが、なぜか数時間で削除されてしまった。
その内容は、亀田陣営がジムのマネジャーである嶋聡氏の名前で小泉氏に対して内容証明付の「通告書」を送付したというもの。小泉氏の記事が大毅の「名誉を著しく毀損し、侮辱するもの」とし、記事の削除や関係者への謝罪などを求めており、それが受け入れられない場合は、JBCに提訴した上で「民事刑事を問わず必要な法的措置を講じる」と訴えていたという。
さらに同記事では、亀田側の攻撃に小泉氏が「言論の自由に反する脅迫」だと反撃しており、今月28日までに亀田側が通告書を取り下げない場合、内外のメディアやWBA、WBCに通告書の詳細と反論を公表する、と訴えていたという。
この両者に関しては、兄弟が大阪から東京の協栄ジムに移籍した当初は関係が良好で、亀田は兄弟のマッチメークを小泉氏に依頼もしていた。だが、途中でなんらかのトラブルがあったとみられ、最近の小泉氏は亀田の試合のたびに批判的な記事を書き続けていた。このため今回、亀田側の堪忍袋の緒が切れたということなのだろうか。
筆者の取材のなかで、ある業界関係者が、こう証言する。
「今回のことについて史郎氏とも仲のいいジムの会長が、『小泉氏はあまりにも亀田に厳しいことを書き過ぎだ。亀田はこれまでも小泉氏からいろいろと妨害されていたし、史郎さんは激怒している』などと話していた」
小泉氏に取材を申し込んだが、小泉氏は「その件に関しては、JBCからこれから世界戦が続くので騒ぎを大きくしないようにと通達を受けている。なので何もお話できません。向こう(亀田側)もそういうことです」とだけ話した。
小泉氏がJBCから要求されたのは、1月31日、2月5日、11日と国内で世界戦が続くなか、もしも亀田に絡む場外バトルが報道合戦にでもなってしまうと、メディアの世界戦の扱いが小さくなってしまうなどして、ほかの業界関係者に迷惑になる。だから、それは避けろということだと見られる。
だが、日本のボクシング界では、昨年春に興毅が試合に負けた後、父親の史郎氏が控え室で大暴れして大騒ぎとなった際も、東日本ボクシング協会などが、ほかの世界戦が続くので「騒ぎをこれ以上大きくするな」と関係者にかん口令を敷いたうえで、史郎氏らの処分も先送りにして時間を置き事態の沈静化を図った前例がある。
このため、中堅ジムの会長は今回についても、「ボクシングサイトの記事が削除された理由は知らないが、JBCは関係者に自制を求めて時間を作り、その間に事態の沈静化を図るつもりなのかもしれない」とみている。
果たして、このまま両者の争いは収束へと向かうのか?
老舗ジムの関係者が、こう推測する。
「そもそもJBCに亀田をコントロールする力があるのならば、たびたびこんな騒動は起こらない。それに小泉さんも業界の実力者で一癖ある人。今は亀田から一方的に殴られたような状況で、このまま何も反撃しないで大人しくしていることもないだろう」
今でさえ古巣の協栄ジムや出版社との法廷闘争を抱えている亀田陣営なのだが、2月半ばを過ぎると、こちらも”3階級制覇”を目指して動くのだろうか…。
(文=フリージャーナリスト原田翔)
彼も立派なボクサーです。
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