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木嶋のりこのアイドル的アイドル思考法 第8回

“初めての撮影”という魔法にかかった「川崎裕菜の《素》」

kijima012001.jpg撮影/尾藤能暢

アイドルたちは、ほかのアイドルをどう見ているんだろう…? そんな疑問にお答えする連載「アイドル的アイドル思考法」。自他共に認める業界一の「アイドル通アイドル」木嶋のりこが、アイドルの魅力のすべてを語り尽くします!

 想像してみてください。

 あなたは高校生で、今日はクラスの憧れの女の子が自分の家に遊びに来ています。あなたの目の前でその子が無邪気にはしゃいでいる……。

 私は彼女のDVDを初めて見たとき、そんな感覚になったのです。

 彼女の存在は以前から知っていました。彼女のファーストDVD『Cookie』は、私の所属事務所の社長である梶野竜太郎さんが監督している作品だからです。

 私が司会を務めるイベント「東京アイドルパーク」で彼女をゲストとして迎えたとき、初めて彼女のDVDを見ました。

 アイドルのファーストDVDは今までに何度か見たことがありました。

 慣れないながらも一生懸命、グラビアアイドルとしての自分を演じようとする子。もう既に自分の世界を持っている子。さまざまなタイプの子がいると思います。

kijima012002.jpg

 そんな中で彼女のように、終始、《素》に近い状態でいられるアイドルは初めて見ました。いや……今まで《素》を見せていたアイドルたちとは、一味違ったので、そう感じたのかもしれません。

 グラビアの経験を積んできたアイドルが、慣れてきたからこそ見せることができる《素》というのはあると思います。

 そして、まだそこまで経験を積んでいないアイドルが、緊張から見せてしまう《素》もあると思います。

 しかし、彼女からは、その緊張が見られません。

 ファーストDVDで、緊張を見せずに《素》を見せるというのは、グラビアアイドルとしての自分を演じるよりも、緊張する行為だと私は思うのです。

 東京アイドルパークのときは確かに、「めちゃくちゃ緊張した」と話していたDVDのはずなのに、まるで同級生の女の子が家に遊びに来たところを撮影したかのような、余裕さえ感じられる、彼女が見せる《素》……。

 無理に飾ろうとせず、その時の感情をそのまま見せてくれるので、見ているこっちは、思わず笑みがこぼれてしまったり、突っ込みたくなってしまったり……。私は中にいる彼女と、会話ができそうな感覚になってしまったくらいでした。

 スカートの中を見せる、といったシーンでも、今まで私が見たアイドルの表現は、恥ずかしそうに照れてみたり、いじわるそうに覗き込んだり、無邪気に笑ってみたり……。感情が読み取れるものがほとんどでした。

4130swiymfL.jpg『Cookie 川崎裕菜』

 しかし、彼女の凄いところは、そのシーンの感情が読み取りにくく、こちら側の想像力を掻き立てるところです。

 きっと緊張や恥ずかしさがあったでしょうに、それを見せないので、その姿が強がりにも見えて、見ているこちら側は余計にドキドキするのです。そうかと思えば、少し笑ってみせて、今までそんな風に想像していた気持ちを、今度は彼女に見透かされたような気分になります。

 そして、そんな飾らない彼女だからこそ、ふいに見つめたり、子犬のような笑顔を向けた瞬間、思わずドキッとしてしまいます。

 きっと、家に遊びに来た同級生と、無邪気に遊び、彼女の心の中を探っている瞬間にそんな目を向けられたら、心臓がいくつあっても足りないでしょう。

 私は、《ファースト》とは、《魔法》だと思っています。

 初めての瞬間は、その時にしか訪れない……。だからこそ、未完成な部分も、その時にしか出せない貴重な瞬間で、その女の子の本当の部分が見えるのではないでしょうか。

 今年の春、高校を卒業するという彼女。

 無邪気さに、大人の魅力も加わり、《素》の部分でもこんなにもドキドキさせてくれる彼女が、《自分を演出》したらどのように変わるのか……。

 今から楽しみで仕方がありません。
(文=木嶋のりこ)

●きじま・のりこkijimanoriko_senzai.jpg

1988年、長野県生まれ。05年「制コレ」7テイルズ獲得。女優として『片腕マシンガール』(07)、『ピョコタン・プロファイル』(08=主演)。舞台『月葬(げっそう)』(09)。
ブログ「木嶋のりこのハッピーオムライス」
http://ameblo.jp/noriko-kijima/
公式HP「木嶋食堂」
http://mentaiman.com/attraction/kijima/index.html

Cookie 川崎裕菜

はにかみ系。

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最終更新:2012/04/08 23:23
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