「評価されすぎ!?」副知事辞任で見えた河村名古屋市長の実像と虚像
#雑誌 #出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
●第76回(1月18日~1月24日発売号より)
注目記事1
「ダルビッシュ『古閑美保と裏切りの連泊愛』撮った!」(「フライデー」2月4日号)
注目記事2
「新芥川賞作家西村賢太『ダメな自分とどう付き合うか』」(「週刊現代」2月5日号)
注目記事3
「河村たかし『庶民革命』の正体」(「週刊文春」1月27日号)
いきなりだが、沢尻エリカ(24)という女優はしたたかな女である。23日都内で、夫の高城剛氏(46)との離婚に合意したことを涙ながらに明かしたと、ワイドショーが騒いでいた。
この程度の女優に振り回される芸能マスコミが情けない。離婚も芸能界復帰もどうぞ御勝手にと、無視すればいいのだ。報道で見る限り、ワガママで、マスコミを振り回すことで自分は人気者なんだと錯覚しているおめでたいだけの女が、女優として大成できるとはとても思えない。
と、まあ、腹の立つことの多い毎日、そうした鬱憤を晴らしてくれるのが週刊誌のはずだが、相も変わらず小沢一郎騒動ばかりで、ますます腹が立ってきた。
「朝日」の小沢熱烈擁護記事「小沢『強制起訴』はやっぱりヘンだ」は、いわんとしていることは分かるが、もう満腹。違う話を読みたいね。
しかし、他にこれといって新味のある記事があるわけではない。残念ながら今週は、大賞も順位もなしに、注目記事3本にせざるを得ない。
まずは名古屋方面を騒がせている河村名古屋市長(62)を批判している「文春」の記事。先頃退任して、東京都知事選出馬を目論んでいるといわれる東国原氏や、地方自治の旗手のようにもて囃されている橋下氏など、どう控えめに見ても「評価されすぎ」ではないかと思われる首長が多いが、この名古屋弁のおっさんもそのひとりのようだ。
発端は、自ら副市長に抜擢した大西聡氏が、1月11日に辞職したことだった。大西氏が市長に愛想を尽かしたというのがその理由だ。
河村市長が選挙で勝ったのは、公約に「市民税10%削減」を掲げたからだが、その上選挙期間中に「市長の年収を800万にする」と後先考えずに言ってしまって、自分の首を絞めるようになったという。
元々ケチだった河村氏は、ケチに拍車をかけたがそれでも間に合わず、河村夫人と私設秘書が大西氏に、「収入が減って苦しいから、私設秘書二人分の給料を負担してくれ」、その上、大西の個人所有の乗用車をいつでも使えるようにしてくれないかと要求したのだ。
実像と虚像の隔たりに、市長選でブレーンを務めた名古屋大の後房雄教授まで、当選後1年で河村市長と訣別したそうだが、その理由をこう述べている。
「議会との対決を煽ってマスコミで目立つことが、公約を通すための手段ではなく、目的になってしまっている。その一方で、減税を担保する歳出削減を政治主導でやる気もないし、勉強もしない。二万七千人の職員のトップとして経営手腕を振るう仕事の重大さがわかっていないのです、あの人には」
この言葉は、小沢一郎氏との対立ばかりを煽り、政治主導を放棄し、この先の国のかたちを決めるための勉強も疎かにしている菅直人総理大臣にもそのまま当てはまる。国の長も自治体の長も、実像はこんなものということか。
2番目は、芥川賞発表の会見で「風俗に行こうと思っていたが、行かなくてよかった」と発言して話題になった、西村賢太氏のインタビュー。
小学5年生のとき父親が性犯罪事件で逮捕され、両親は離婚。中学を卒業して家を飛び出し、肉体労働などのフリーター生活を送ってきた43歳。自身も2度警察のご厄介になっているという。
二昔ぐらい前は、こうした書き手はいっぱいいたが、今どきは珍しい「平成の破滅型作家」の登場である。
今回の受賞作『苦役列車』(新潮社)は、19歳の主人公が中学卒業後、日雇い仕事を続け、安酒を飲み、自慰にふけり、少しずつ貯めた金でソープランドに行く。飲んだくれてすぐにキレ、女性に暴力を振るい、すべて他人のせいにする情けない男だが、描き方はユーモラスで笑いを誘われる私小説だという。
私小説に拘り、「自分を戯画化するって、独りよがりではできないこと。私小説は奥が深いですよ」と語る。
次の言葉が潔い。「自業自得の部分もありますが、僕のように生きてきた人間には、普通に会社に勤めたり家庭を持ったりする資格がないと思っています。一人住まいの部屋で、毎晩11時頃から小説を書き始めますが、書けないときは何日経っても一行も出てこない。その場合は酒を飲み続けます」。
これを読んでいて、私が編集者になった翌年(1971年)、『オキナワの少年』で芥川賞を受賞した東峰夫さんのことを思い出した。
確か訪ねたのは、三鷹あたりの古いアパートだったと思う。沖縄から集団就職で出てきて、小説を書くために路上生活をしたり日雇いのアルバイトを続けながらの日々を送ってきた。
人の目を見ず、下を向きボソボソと話す優しい人だった。ガキだった私にも、こんな繊細な人が、このまま書き続けられるのだろうかと心配になったほどだった。
だが、『オキナワの少年』のような作品を書けと求めた編集者を拒み、以来15年間で4作しか発表せず、81年に『大きな鳩の影』を出した後、姿を消した。02年に『ガードマン哀歌』で復活するが、長い沈黙であった。
私は『赤目四十八瀧心中未遂』で第119回(98年上半期)直木賞を受賞した車谷長吉が好きだ。彼の、自分の臓腑まで抉り取るような私小説が好きだ。このインタビューを読んで、西村氏の作品を読んでみたくなった。
もう一本は「フライデー」の張り込みネタ。この”噂”は、先に「週刊女性」が推測記事を書いている。初出ではないのでスクープ賞はあげられないが、相当な執念をもって張り込んで撮ったことがよく分かる記事である。
野村克也氏をして「かつての南海ホークス・杉浦忠と並ぶ日本球界の大エース」といわしめた日ハム・ダルビッシュ有(24)のお話。
宮崎市で自主トレをしているダルビッシュに、トレーナー、マネジャーの他に、女子プロゴルフ界では有名な古閑美保(28)、それに笠りつ子、古閑のマネジャーとキャディが参加しているが、ダルと古閑が熱愛中だというのだ。
ダルは現在、紗栄子夫人と離婚調停中で、まだ離婚は成立していない。故に不倫ということになる。
二人の熱愛行動は「フライデー」によれば、「自主トレから6日目の1月13日、コンドミニアム内での夕食を終えたダルと古閑が揃って古閑の部屋に消えたのは夜8時半頃。そのまま玄関の明かりは消えた。翌14日の朝9時前、二人は揃って古閑の部屋から姿を現す」
1月15日は、東京から帰ってきたダルが、食事後、古閑と一緒に古閑の部屋に消えていった。翌17日、朝8時50分頃、古閑の部屋から別々に朝食へ。「要は《女性アスリートと自主トレ=関係が怪しい》のではなく、もはや『関係のある男女』が、揃って自主トレをし、『夜も一緒に二人きり同じ部屋で過ごしている』わけなのだ」と「フライデー」は書いている。
二人が親密になったのは昨年7月、古閑の誕生日の頃からだという。二人の関係は紗栄子夫人も気づいているようで、今はダルのほうが年上で豪快な古閑に真剣だそうだ。
慰謝料は24億円とも言われているが、この不倫で、その額がもっと上がらないか、こちとら、そのほうが心配である。
(文=元木昌彦)
なれないよぉ。
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