「芸能界は妖怪ブーム」!? 第20回東スポ映画大賞特別賞の異形な面々
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1月16日、筆者も運営に関わっている「第20回東京スポーツ映画大賞」の最終選考が行われた。
映画祭発足当時、審査委員長のビートたけしは「おいらの独断と偏見で選ぶ」と言っていたが、現在は日本全国の映画祭のディレクターたちがノミネートしてきた作品から、たけしが受賞作を最終決定するというシステムを取っている。
今回の審査に当たっても、たけしは「年々、作品の質が下がっているね」と嘆きながら、「世代を超えて楽しめる映画がなくなった。映画じゃなきゃダメなの? みたいな作品が多くなった。テレビ局(主導で製作した映画)なんかは、質でなく、機動力で客を呼ぶ。興行だけの映画になったよ」と言う。
昨年、SMAPの香取慎吾が主演した『座頭市 THE LAST』はフジテレビが総力を挙げて宣伝したが、見るも無残な大惨敗に終わった。自身が主演し、『座頭市』を撮ったたけしは「見事に、(『座頭市』を)終わらせていただきました」と皮肉を込めて言う。
その香取の『座頭市』は、今回の東スポ映画大賞の特別作品賞を受賞した。と言っても、東スポ映画大賞での特別作品賞は、ワースト映画大賞と同義。前回は、上島竜兵主演の『上島ジェーン』。ちなみに、第16回では、同じSMAPの草なぎ剛主演の『日本沈没』が受賞する予定だったが、ジャニーズ事務所はこれを無視。表向きはスケジュールの都合による受賞辞退ということとなり、たけしは機転を利かせて、急遽『日本以外全部沈没』を受賞作に選ぶという”茶番劇”をやってみせた。
もちろん、今回の『座頭市』も無視されることを前提として選んでいる。
詳しい受賞内容については東スポを見てほしいが、やはり気になったのは北野武監督の『アウトレイジ』だ。この作品は、作品賞と監督賞を受賞した。たけしは「暴力映画としては、楽しめる映画が作れたと思う。これまでのおいらの映画と違って、セリフのやり取りを入れた芝居が多かった。エンタテインメントに徹したのがよかった」と言い、次回作の『アウトレイジ2』に関しては「実に映画らしい、もっと面白いストリーになると思うよ」と自信のほどをのぞかせた。
年末にたけしは、筆者に「椎名桔平に主演男優賞をあげたいね」と言っていたが、『アウトレイジ』は全員が主役と言ってもおかしくない映画だっただけに、椎名は助演男優賞に落ち着いた。もう一人、『アウトレイジ』に出演した石橋蓮司も、『今度は愛妻家』で『アウトレイジ』でのヤクザ役とは真逆なオカマ役を演じたということで助演男優賞に選ばれた。新人賞にはベテラン俳優の北村総一郎。『踊る大捜査線』では人がいい警察署長を演じていた北村が、『アウトレイジ』ではヤクザの大親分を演じ、新境地を開拓したという意味で新人賞に選ばれた。いずれも、東スポ映画大賞ならではの選考だ。
合わせて、テレビなどで話題を振りまいた人を表彰する第11回ビートたけしのエンタテインメント賞の選考も行われた。これも、詳しいことは東スポを読んでほしいが、特別賞には「沢尻エリカのお母さん」が選ばれた。理由は、お母さんのほうがマスコミに露出していたから。
他に、特別賞は戦場カメラマンの渡部陽一。準特別賞にマツコ・デラックス、ミッツ・マングローブ。大桃美代子、麻木久美子、山路徹が選ばれた。たけしは「最近の芸能人は、芸能というよりも異形が注目される。どんな生き物? と思わせるようなインパクトのある形や言動をしてなきゃダメ。芸能界も”妖怪ブーム”」と、まさに言い得て妙の評価をしていた。
授賞式は2月27日都内のホテルで催される。筆者は東スポ映画大賞に1991年の初回から関わっているが、今回で20回目を迎える。たけしではないが「よく、ここまで来た」というのが偽らざる感想だ。
(文=本多圭)
黙殺。
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