Facebook創業者は裏切り者か英雄か?
#映画 #アメリカ #プレミアサイゾー
雪に隠れた岩山のように、正面からは見えてこない。でも、映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる。超大国の真の姿をお届け。
■『ソーシャル・ネットワーク』
世界最大のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)「Facebook」の創設者マーク・ザッカーバーグの半生を描いた若きIT長者の人物伝。ハーバード大学に通う19歳のマーク青年は、友人とともにSNSを開発、公開した。瞬く間に拡散した同サービスは、やがてナップスターの開発者と出会うことで爆発的なブームを巻き起こすが……。監督/デヴィッド・フィンチャー 脚本/アーロン・ソロキン 出演/ジェシー・アイゼンバーグ、ブレンダ・ソング、アンドリュー・ガーフィールドほか。日本では2011年1月15日より公開。
映画『ソーシャル・ネットワーク』は、世界一のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)、フェースブックの創成期の物語だ。
フェースブックの会員は自分のページに名前、顔写真、仕事、趣味などの個人データを掲載する。その人とフレンド(友達)になりたい人はリクエストを送って受理されるのを待つ。2004年に始まったフェースブックはものすごいスピードで友達の輪を広げ、現在の会員は全世界に5億人。全人類の14人にひとりの計算になる。
フェースブックを作ったのは当時19歳だったマーク・ザッカーバーグ。現在26歳の彼の推定資産は6000億円以上。世界一若いビリオネアだ。
しかし『ソーシャル・ネットワーク』は天才少年のサクセス・ストーリーではない。一種の法廷劇だ。マーク・ザッカーバーグは同じハーバードの学生から2件同時に訴えられた。
原告の1組は上級生の3人。彼らは、フェースブックは自分たちのアイデアの盗用だと訴えた。もう1組はマークの親友だったエデュアルド。彼はフェースブック立ち上げ時の共同経営者だったが、途中でマークに「騙されて」会社から外されたという。
映画はこの三者の弁護士を交えた話し合いを軸に、過去へとフラッシュバックしながら進んでいく。観客はそれを観て考える。マークは有罪か無罪か。
だが、マークに好印象を持つのは難しい。学生時代のマークは、女の子にフラれるとブログに「彼女の胸はブラで寄せて上げてるだけ」などと悪口を書き込む。大学のコンピュータをハッキングして、女子学生の身分証明写真のデータを盗み、ネット上で2人ずつ並べて「どっちがイケてるか?」人気投票させる。それを非難されると「家畜の品評会をマネした」と言ってのける。彼をフッた女の子の言葉を借りれば、まったくのAsshole(下衆野郎)だ。
そして裏切り。マークはフェースブックを始める時、ビジネスを学んでいた親友のエデュアルドにスポンサー探しを頼んだ。そこにアドバイザーとして割り込んできたのがショーン・パーカーだ。彼もまだ25歳だったが、1999年にデータ交換ソフト、ナップスターで音楽業界をパニックに陥れたITセレブだ。するとマークはあっさりパーカーとくっついてエデュアルドを捨ててしまう。マークは金の亡者で冷血漢なのか?
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