原点回帰の大乱闘も!『THE OUTSIDER第14戦』鮮血の舞台裏密着レポート
#格闘技 #前田日明 #THE OUTSIDER
新顔続々! 原点回帰!──本年度ラストの『THE OUTSIDER(アウトサイダー)14戦』(4日・ディファ有明)は、”谷間の大会”との前評判を覆し、非常に面白い大会となった。中でも特筆すべきは、イキのいい新参者の活躍と、顔役の奮闘、そして初期アウトサイダーを思い出させる”どツキ合い”が目立った点。各試合の詳細は他媒体の報道にお任せして、日刊サイゾーでは今回も、主立った選手の肉声を拾った!
●”最強セキュリティーチーム・3POUNDの一撃天使”
MASATO(25歳・静岡・初出場)
鋭い眼光、短く刈り込んだ金髪、研ぎ澄まされた褐色ボディー。見るからに強そうなオーラを漂わせながら入場してきたMASATO。ゴングが鳴ると、余裕綽々ノーガードで距離を詰めながら、キレのいい打撃を次から次へと打ち込んで、相手を圧倒!
鮮烈なデビュー戦勝利を飾ったMASATOに話を聞いた。
──強かった。そして、試合が面白かった。
「どうもどうも。正直な話、寝技が面白いのは、やってる人だけなんで。ぶっちゃけ、そうですよね? 見てる人はやっぱ、殴り合いのほうが楽しいに決まってる。そういうバチバチの試合が最近のアウトサイダーにはなかったので、俺が出ちゃおうかな、と思ったんですよ」
──戦い終えた感想は?
「中途半端な終わり方(レフェリーストップ)だったんで、もっと気持ちよく終わりたかった。余力をだいぶ残したまんま終わっちゃった感じ。体力的には、まだまだ全然余裕でした」
──普段は何をしてますか?
「クラブのセキュリティーをやってます」
──学生時代は?
「バリバリ高校球児ですよ。めっちゃ甲子園目指してました。1番サード。ホットコーナーです」
──高校時代に喧嘩は?
「やったら出場停止になっちゃうでしょう(笑)。というか野球一筋で、そんなのやってる余裕もなかった」
──なぜ、そんなに強い?
「野球の動きと格闘技の動きは、相通ずるものがあるのかも。どっちも腰を入れて回転するでしょ? あとは高校卒業後、関谷(勇次郎)さんとずっと一緒に練習してたのが大きいですね。斬刃拳で」
──武勇伝は?
「残念ながら、ないっすよ。僕、そういう意味では全然面白くない選手なんですよ。だけど、試合は一番面白いんじゃないかな」
──今後、戦いたい選手は?
「うーん……特にいない。ぶっちゃけ誰とやっても、打撃で負けることはないと思う。いつもはもっと速いんですよ。今日は半分遊んでたんで」
セコンドについていた関谷にも話を聞いた。
──関谷さんから見て、MASATO選手の強さの秘訣は?
「俺と練習してるからだね(笑)。でもマジで、地元で俺とまともにスパーできるのはアイツぐらいしかいない。格闘技を始めたのはほぼ同時期だけど、打撃は相当強いね」
──今日の試合を見た感想は?
「スロースターターなので、上がるのが遅いんですよね。今日もあと1ラウンドあったら、もっといい動きができたと思う。遅いですね。あんなもんじゃない」
あれで遅いなら、本調子のときはどれだけ速いのやら……。次戦を見てみたい選手である。
●”濱の勇二”
高垣勇二(26歳・神奈川・出場10回目)
華があり人気もある看板選手でありながら、ここ最近は4連敗。そんな高垣だけに、この日の勝利は格別だったのではないだろうか。試合中ヒザに手をついて休むおなじみの仕草を何度も見せつつ、手数を減らさず戦い続け、最後はフラフラになりながらも渾身のカウンターパンチで劇的なTKO勝ち!
会場裏でうまそうに煙草をくゆらせながら、勝利の余韻に浸っていた高垣を直撃だ。
──実に「らしい」勝ち方でしたね。
「やっと自分の喧嘩スタイルに戻ってこれた。戻せたよ。格闘技、格闘技ってみんなに言われて、できなかったの。でも俺のスタイルに今日は戻そうと思ったら、できた。やっぱこれが俺のスタイルなんだな。だから練習しねえ、オレ(笑)。スタミナだけ付けるよ」
──年を追うごとにスタミナは?
「上がってるよ。煙草やめてないし酒も飲んでるけどね。昨日も飲んだし」
──ここ数試合、連敗中ということもあり、迷いがあった?
「迷った、迷った。パンチを打てなかったんだ、怖くて。でも、今日で戻ったね。もう大丈夫。手ぇ出せば当たるんだなってことに、今日気付いたよ」
──今日は試合も格好よかったが、入場も最高に格好よかった。
「ありがとう。あのガンガンガンって叩くところが、好きなんだ(笑)。ダンスは我流だよ」
──今後の抱負は?
「前田さんに『あしたのジョー』って、自分しか言われてないじゃないですか。言わなきゃよかった、って思われたくない。コイツに言ってよかったな、って絶対に思わせたいよね。だから、まだまだ出るよ」
原点回帰で自信回復。そんな高垣にサイゾー賞を贈呈だ!
●”大阪の喧嘩どツキ空手王”
鷹亜希(24歳・大阪・初出場)
大阪出身のアウトサイダーは少ない。その点でも鷹亜希は目立ったが、ファイティングスタイルもノーガードの”どツキ”主体で、試合後のマイクパフォーマンスも爽やかで堂々としていたため、初出場で観客の心を掴んだ様子だ。試合後にインタビュー。
──いい試合でした。客席も大いに沸いてましたよ。
「ホンマですか。おおきに」
──プロフィールによると、吉永啓之輔選手(アウトサイダー65-70㎏王者)のところへ道場破りに行ったことがあるそうで。そのときの話を詳しく聞かせてください。
「プロアマ含めいろんな格闘技を見とって、一番格好いいなー、思ったのが吉永クンやってん。ほんで、こないだアウトサイダーに応募したけど無理(書類審査落ち)やったんで、これはもう吉永クンとこ直接行かなアカンわ、思って。で、行って、スパーリングしてください、ってお願いしたんですわ」
──いきなりアポなしで行ったんですか?
「一応、電話は入れましたよ。『大阪の鷹亜希ですー、スパーしてくれー』いうて(笑)」
──大胆な行動しますね。
「そうですね。やっぱ大阪人やし。せやけど、行ったら思い切り遊ばれて(笑)。僕、空手しか知らんかったし、寝技もからっきしやったんで、まあ子供扱いされましたわ。ほんで大阪帰ってすぐ総合のジムに通い始めて、今回やっと、念願かなってアウトサイダーに出させてもらえたというわけです」
──吉永選手のどういうところが格好いいと思ったのでしょう?
「戦うスタイルと、そんなにしゃべらんところかな。俺自身は無口やないけど、ああいう無口で強い人には憧れますね。大阪からわざわざ栃木まで会いに行くぐらい、俺が惚れ込んだ人ですわ」
もちろん最終的には、その吉永を倒すのが目標だそうだ。
●”杉並の黒い三連星 大嶽ブラザーズ”
大嶽伸次(34歳・東京・出場2回目)
第2回大会MVPの大嶽が、約2年半ぶりに、アウトサイダーのリングに戻って来た。かつて杉並で暴れ回っていた大嶽三兄弟の次男坊。地元応援団の大声援を浴び、鬼気迫るファイトを見せたが、善戦むなしく判定負け。試合後の大嶽に話を聞いた。
──結果は残念でしたが、最後までものすごい気迫でした。感動して泣いてるお客さんもいましたよ。
「杉並を代表して、どうしてもこの試合には勝ちたかったんですけどね……。まあでも勝ち負け関係なしに、この試合で感動してもらえたなら、それはよかったですね」
──2年半ものブランクを設けた理由は?
「本当は継続参戦したかったんですけど、カミさんの許可がなかなか下りなかったもんで……」
──現在34歳。今回がラストチャンス?
「……のつもりでしたが、やっぱりもう1回かな。また兄弟で力を合わせて、出直すかもしれません。どうせなら勝って終わりたい。負けて泣くより勝って泣くほうがいいですからね」
蘇れ、杉並魂!
●”元・守山駐屯地第35普通科連隊第4中隊 神速”
Soldier Boy 一樹(24歳・愛知・初出場)
元自衛隊員のSoldier Boy 一樹が、初出場ながらフルスロットルで大暴れ。常連組の菱沼郷を、パワフルな打撃の連打で完全鎮圧してみせた。プロフィールによると、過去には別の大会で、あの剛腕で知られる学金狗を撃破したこともあるというからただ者ではない。
試合後に話しかけると、終始笑顔で口調も穏やか。しかし、語られる過去はまさに「アウトサイダー」そのものであった!
──その強さはやはり、自衛隊仕込み?
「いや、自衛隊はあまり関係ないと思いますね(笑)。もともと自分、気性が荒かったし、まわりの人たちも荒い人ばっかりで、揉めごとがあれば飛んで行くみたいな生活をずっと送っていたんで。そういう地元の環境で鍛えられた部分が大きいと思います」
──暴走族に所属していたんですか?
「いや、チーム的なもんですね。うちのチームは、強い頭だけを集めて、一つに統括するようなチームだったんですよ」
──現在は?
「夜は名古屋のクラブでセキュリティーやってます。外国人の客が多くて、日本人のセキュリティーは馬鹿にされがち。特に僕は背が低いから(171㎝)、馬鹿にされてカッとなって、向こうもカッとなって喧嘩になることも」
──外国人と戦っても負けない?
「喧嘩でやられたことはないですね」
──自衛隊に入ったのはなぜ?
「どこも就職するところがなくてプラプラしてたら、自衛隊から運動神経のよさを買われて勧誘されたんですよ。片親なんで公務員になれるなら親孝行できるかな、と。それまでいろんなことで親には迷惑かけてきたんで」
──その自衛隊をなぜやめた?
「ま、言えない事情がありまして(笑)。やらかしました!」
──失礼ですが、現在は更生していますか?
「自分、移動の足が原付なんですよ。なので、たまに車に煽られたりして、カッとなって信号で止まってから……とかはありますね。直さないといけないと思うんですけど……。ちなみに今、セキュリティーの仕事以外に、昼間はパチンコ屋の店員もやってるんですけど、これは心を抑えるトレーニングも兼ねているんですよ(笑)」
──それにしても、すごい筋肉ですね。相当、肉体的なトレーニングも積んでいるのでは?
「いや、何もしてないんですよ。今日の対戦相手は本格的に格闘技やってる人だったんで、練習してない自分が勝っちゃっていいのかなって、ちょっと申し訳ない気持ちです」
──じゃあ、練習したらとんでもないことになりそうですね。
「自分でも、練習したらどんぐらい強くなれるんだろう? っていう興味がありますね。まあ仕事が忙しいんで、なかなか練習できませんが」
──今後、戦いたい選手は?
「CRSの、誰でしたっけ? えーっと………」
──山田史博選手ですか?
「あ、そうそう。その人がこないだ益荒男の会場で僕の試合を見て、『自分だったら楽勝』と言ってたみたいなので、ぜひやってみたいですね」
その山田だが、18日開催の「KRUNCH」でヒロ三河戦を終えた直後(結果は山田の判定勝利)、涙ながらに格闘技引退を表明したという。多くの選手から対戦を望まれる地下格闘技界のキーマンだけに、復帰を期待したいところだが、果たして……。
次回アウトサイダーは、来年2月13日(日)にディファ有明で開催。チケット販売、選手募集などについての詳細は、リングスオフィシャルサイト(http://www.rings.co.jp)でご確認あれ!
(取材・文=岡林敬太/写真=長谷英史)
THE OUTSIDER PHOTO BOOK DAMMIT!
戦う男の背中たち。
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