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元AV女優ライター・峰なゆかが語る『ヤングくん』は”画力なき浅野いにお”!?

minenayu121201.jpg撮影/石垣星児

 コピー機で自分のチンチンをコピーする。デパートの化粧品売り場で”女の匂い”を思いっきり吸い込む。手のひらのベタつきを気にして女子に触れない……。こんな男子特有の”童貞マインド”がギッシリつまった4コママンガ『ヤングくん』(マガジンハウス)をご存じだろうか?

 ムトウマサヤなる人物が描くユルユルなこのマンガ、もともとはマガジンハウスのウェブ媒体で連載されていたものだったが、ツイッターなどでじわじわと人気が広がり、「1,000人にフォローされたら出版」というユルめの企画を乗り越え、このたびめでたく書籍化が実現。そしてこの10月には、作者自ら印税をつぎ込み、マンガ単体としては異例の、ラジオ番組へのスポンサードを自腹で決定、TBSラジオの人気深夜番組『文化系トークラジオLife』にて、「この番組は『ヤングくん』の提供でお送りします」というギャグのような提供アナウンスが読み上げられた。


 さて、童貞くささ満開の内容で、冴えない文化系男子たちから熱い支持を集める『ヤングくん』だが、そこに真っ向から噛みついたのが、『文化系トークラジオLife』にも出演経験があり、サブカルチャーに造詣が深い元AV女優ライターの峰なゆかさんだ。

峰なゆか(以下、峰) バカで、エロくて、ちょっぴり切ない脱力系4コマ──。ネット上のレビューなんかを見ると、『ヤングくん』は”童貞マインドをこじらせた思春期マンガ”なんて書いてあって、つまりは”非モテ系”の文脈に位置づけられているわけですが……まったく逆ですね。この本には女心をくすぐるテクニックが満載、完全なる”リア充マンガ”ですから!

 う~む。一体どのあたりがモテ系マンガなのだろうか?

 とにかくあざといんですよ。なんでこのモテ技を知ってるんだろうって思うくらい。例えば、女の世界には「乾燥機をじっと見ちゃう私アピール」というテクニックがあります。男から「いま何してんの?」的な電話がかかってきた際、「え~、回るもの見てた~」なんて答えると、不思議ちゃんキャラを演出できるわけですね。でも、それをなぜか男のヤングくんがやってるんですよ。これはタダモンじゃありません(笑)。

 さらに峰さんは、このマンガの作者・ムトウマサヤについてもこう語る。

 一度対談企画でお会いしたんですが、ムトウさんは女にモテそうな人でしたね。こういうシンプルな絵の不条理系マンガを描くのって、だいたいはモテる感じの人なんですよ。まあ、ちょっと方向性は違いますが、『おやすみプンプン』の浅野いにおさんにも近いような。THE・草食男子って感じの。そうそう、ヤングくんって、いうなれば”画力のない浅野いにお”かも(笑)。

 いわく、”おしゃれトラウマ”な感じで、たまに哲学ネタとかあって、いかにも”絵本大好きな森ガール”あたりが食いついてきそうな点で、この2者は共通してるのだとか。そして、峰さんの舌鋒は文化系男子の批判へ……。

 自分のことを草食だと思ってる文化系男子って、とにかく、傷つくのが怖いから恋愛でもリスクを負って頑張ったりしないじゃないですか。彼らって、そういう「ナイーブな俺」を理解してくれるマンガやアニメにすぐ飛びつきますよね。実際、浅野いにおもヤングくんも文科系男子の心をくすぐりそうなマンガ家さんですが……でも実はこの人たちはモテる側の人間ですから! 草食系男子のみなさん、この人たちに感情移入したって虚しいだけですよ!」

 って、峰さん……草食男子に何か恨みでも?

 ぶっちゃけ私、草食っぽい男が好みなんですよ。小説とかマンガの話をしながら、ほんわかとサブカルっぽい恋愛がしたいわけです。なのに、向こうは私みたいな巨乳女が嫌い、というか怖いんですよ。ホントはエロいくせに、「俺、そういうの苦手だから」みたいな顔して、性の匂いがしない森ガールとかに行くでしょ。そのせいで、私に寄ってくるのはオラオラな感じの人ばかり!

 峰さんの周りに文化系の男子たちは、ひたすら受け身で積極性ゼロ。まったく恋愛に発展する匂いがしないのだそう。

 文化系男子たちは、この本に感情移入してる場合じゃないですよ。ヤングくんを見習って、あざといモテ技を学んでほしいですね。とにかく、文化系男子の味方みたいな作家たちは、みんなヤリチンなんです! 癒されるんじゃなく、積極的にテクニックを学ぶ。この姿勢でお願いします!

 ”モテ本”としてのヤングくん。みなさんもぜひご一読を(笑)。
(文・取材=木元嵐)

ヤングくん公式サイト「放課後! ヤングくん部」<http://young-kun.jp/
ヤングくん on Twitter<http://twitter.com/young_kun

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●みね・なゆか
1984年生まれ。元AV女優のフリーライター。得意分野はエロ、文学小説、サブカルマンガ。AV情報サイト「men’s NOW」でコラム「はだかのりれきしょ」を連載中。TBSラジオ「文化系トークラジオLife」にもたまにゲスト出演。ツイッター<http://twitter.com/minenayuka


ヤングくん1

売れたら、「2」もある!?

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最終更新:2010/12/13 11:12
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