『巨乳ドラゴン 温泉ゾンビ VS ストリッパー5』思い切りさらけ出す演出と”AV女優”の必然
#アイドル #映画 #梶野竜太郎
アイドル映画をこよなく愛する「アイドル映画専門」映画監督が、カントク視点でオススメのアイドル映画を、アノ手コノ手で解説します。
●今回のお題
“思い切りさらけ出す演出”
『巨乳ドラゴン 温泉ゾンビ VS ストリッパー5』
監督:中野貴雄
女性主演:蒼井そら、かすみりさ、桜井まり、TAMAYO、相川イオ
何ですか! この分かりやすく、堕ちると分かっていて見てしまいそうな、バカバカしくも切ないタイトルはっ!!(どこが切ないんだ?)
ご無沙汰しておりました。『アイドル映画評』略して”ドル評”のコラムのお時間です。久々にアホなタイトルを持ってきました。
ストリッパー5』
メキシコ帰りのストリッパー丈堂
レナ(蒼井そら)は、温泉街への
巡業を依頼される。寂れた田舎町に
到着すると、ストリップ小屋は
ガラガラの客入りで、ダンサーの
銀子(かすみりさ)、マリア(桜井
まり)、ネネ(TAMAYO)、
ダーナ(相川イオ)もダレきってい
た。ヒマを持てあます彼女たちの間
では険悪な空気さえ流れる始末。
退屈しのぎに、楽屋からつながった
地下階段を降りるレナたちは、地
下道の先の廃墟にたどりつく。
「魂の井戸」と書かれた深い井戸
のそばで、「死者の本」を見つける
マリア。その本が恐るべきパニック
を巻き起こすことになるとは……。
第46回シカゴ国際映画祭「アフター
・ダーク」部門招待作品。
DVD発売中/3,681円(税込)
も~男がそそられるキーワードのオンパレードじゃないですか! テレビゲームで言えば『スーパー冒険伝説クエストIV ~さらばファイナル勇者よ~』みたいなもんですよ。しかも、女王・蒼井そら姫ですよ。巨乳というタイトルに偽りなしです。見る前から楽しみ度UPです! そんな面々が繰り広げるタイトル通りのコメディスプラッター! 野郎4人くらいで酒飲みながら見るのが一番お勧めですね!!
お話は……って、必要でしょうか? まぁ、一応。メキシコ帰りのストリッパーが温泉街への巡業へ向かう。その温泉街、ど田舎町なもので、ストリッパーたちは暇を持て余していた。そのストリッパーたち、あまりにも暇なため、楽屋をウロウロしていたら突然、地下室を見つけた……。”魂の井戸”と書かれた深い井戸がそこにはあり、そのそばには”死者の本”があり、それを読んでしまったがために~~~ぎゃあああぁぁぁ!!
ベタなお約束的展開となりますが、この映画、そのお約束な部分をちゃんと抑えた上で展開されるので、安心して楽しめます。温泉街と言えば、女体盛り。これが本当にお見事!! まぁ、映画製作側からすると”絶対に予告編に使ってね!”的な客引き度満載なうらやましいシーンであります……って、女体盛りってやったことある人、どれくらいいるんでしょ? もはや都市伝説の類ですよね??
ところでみなさん、グラビアアイドルとAV女優、撮る側としてどこが違うのか考えたことがあるでしょうか? ズバリ、「脱げます~」とか、「本番シーンOKです~」とか、思われがちですが、それなら単純にAV見た方がいいワケです。
実はAV女優の起用の面白さは、”何をやっても演技の幅がAV女優”ということです。この映画で、蒼井そらは主役を張ってますが、同じ役を例えば、森下悠里がやったらどうでしょう? AV女優ばりの超ナイスボディですが、グラビアアイドルだけあって、キレイに魅せる芝居に徹底します。バカバカしいシーンでも、かわいくキレイなバカバカしい仕上がりになります。そりゃそうですよね、その道のプロなんだから。
では、AV女優の場合は? 本来、ベッドの上にいる相手にしか見せないSEXというシーンをOPENにするのが仕事なわけなので、芝居を求めても、それを越える”思い切りさらけ出す演出”が上手い。肌にしみ込んでいる。映画として芝居になってないAV女優でも、”思い切りさらけ出す演出”のあるシーンはそこらのアイドル女優よりは絶対にうまいんですよ。
よって、ホラーとか略奪愛とかアクションとか、芝居を越えた”思い切りさらけ出す演出”が欲しい時にAV女優は絶対なんです。でも、現実は逆で、AV女優を起用したので”思い切りさらけ出す演出”になっちゃうっていうような、結果オーライ的な流れが多いんです。
そう思って見ると、劇団出身のAさんはドラマでも芝居がオーバーで楽しいね! っていうパターンと一緒で、AV女優の芝居って”思い切りさらけ出す演出”過ぎて楽しいね!! ってなるわけです。AV女優も、1つの役者としてのジャンルですからね。
この作品は、とにかく全員が”思い切りさらけ出す演出”です。芝居の上手いヘタ??? いやいや”思い切りさらけ出す演出”を見てやって下さい。この思い切りって、飛び出るくらいの勢いってことだから、デジタル3D版も、物凄く面白そう!! 巨乳が飛び出てきて、ビキニでゾンビを退治……見てぇ! 3D版!!
(文=梶野竜太郎)
●かじの・りゅうたろう
映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。
短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。08年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。第2回したまちコメディ映画祭 in 台東にて、新作『魚介類 山岡マイコ』を上映。2010年に長編版として劇場上映が予定されている。現在、ニコニコ動画チャンネル『魚介類TV』(毎週日曜日20時~)に出演中。
詳しくは→http://mentaiman.com/
ブログは→http://ameblo.jp/mentaiman1964/
AV女優ってすごいのよ!
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