トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 究極のRPG? 極限状態に置かれた人間の本当の姿『エクスペリメント』

究極のRPG? 極限状態に置かれた人間の本当の姿『エクスペリメント』

experiment01.jpg12/4(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
(C)2010Experiment Film Holdings LLC.All Rights Reserved.

 RPGは冒険ファンタジーの専売特許というわけではない。1970年代初頭に米スタンフォード大学で実際に行われた、看守役と囚人役のロール・プレイング(役割演技)こそ、究極のRPGなのかも?

 12月4日に公開される『エクスペリメント』(日活配給)は、ドイツ映画『es [エス]』(01)でも題材となった有名な”スタンフォード監獄実験”を、『戦場のピアニスト』(01)のエイドリアン・ブロディと『ラストキング・オブ・スコットランド』(06)のフォレスト・ウィテカーというオスカー俳優共演で映画化した心理スリラーだ。監督・脚本は、人気テレビドラマ『プリズン・ブレイク』の企画・脚本・製作総指揮を手がけたポール・シェアリング。

 失業したばかりのトラヴィス(ブロディ)は、反戦デモで出会ったベイ(マギー・グレイス)と恋仲に。彼女とインド旅行をするため、14日間の実験参加で日給1,000ドルという高額報酬の被験者募集広告に応募。温厚で気さくなバリス(ウィテカー)らと共に24人の被験者に選ばれる。

 実験の内容は、模擬刑務所の中で看守役と囚人役に分けられ、それぞれの役割で振る舞い、ルールに従って過ごすというもの。両グループの間で次第に高まる緊張。それぞれリーダー格となった囚人役のトラヴィスと看守役のバリスは対立を深める。人が変わったかのように攻撃性を増したバリスは、看守側の横暴に服従しないトラヴィスに対し、体罰や精神的屈辱を加えていく。対立と緊張が極限に達したとき、予想外の事件が起きる。

 極限状態に置かれた人間が、社会生活の中で培ってきた理性や人格を保てるのか、あるいは闘争本能をむき出しにして、弱肉強食の世界に生きる動物のように他者を攻撃するのか? 自分がもし、どちらかの”役”を割り当てられたらどうなるだろう? 鑑賞後はきっとそう考えてしまうはずだ。

 本作の隠れた注目ポイントとして、登場人物の髪型やヒゲの変化を挙げておきたい。心理状態の変化の象徴として、あるいは精神に変化をもたらす外因として、髪やヒゲを切る、剃るといった行為が描かれている。これらをファッションの観点から応用して、髪型などを変えて「自分をもっとマッチョに見せたい」あるいは「ナイーブさを演出したい」といった具合に活用するのもアリだろう。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)

「エクスペリメント」作品情報
<http://eiga.com/movie/53812/>

es[エス]

耐えられない。

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】
実在した”奇妙な高額バイト”の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』
格差社会の行く末か!? 近未来ディストピアSF『デイブレイカー』
幻の3Dシーンを見破れるか? シリーズ完結編『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』

最終更新:2010/12/03 21:00
ページ上部へ戻る

配給映画