スイーツ界の最強経営者・辻口氏が指南!? ──”俺様流”多方面展開でボロ儲け! の真相とは?
──多くの飲食店がデフレスパイラルに陥る中、話題に事欠かず、値崩れすることのないスイーツ業界。「モンサンクレール」などの有名店を持つ辻口博啓氏の会社「Ash Tsujiguchi」ひとつとっても、創業以来最高益を叩きだすなど、業界の順調ぶりがうかがえる。そこで今回、同業界にとって1年で最も忙しいクリスマスシーズンを目前に、そんな絶好調ビジネスの現状に迫ってみたい。果たして本当に景気はいい? それとも……?
世界同時不況は消費マインドの低下をもたらし、飲食業界にも大打撃を与えた。しかしその中で、スイーツ業界は依然、ゴージャスなトピックを提供し続けているが……。今年、創業以来最高益を叩き出したというパティシエ・辻口博啓氏に、業界を勝ち抜く戦略を聞いた。
メディアでは相変わらずスターパティシエがもてはやされ、六本木ヒルズ、東京ミッドタウンなどのショーケースには、有名フランス人パティシエが作るハイクラスなガトーが並ぶ。さらに、コンビニの棚を見てもスイーツは元気で、かつての”安かろう不味かろう”的なデザートではなく、価格設定も高めな、繊細なものが次々に登場。さらに、最近ではメディア主導によって”スイーツ男子”たちが考案した”プレミアム”コンビニスイーツがズラリと並んでいる。
リセッション(景気後退)の局面をもビジネス勝機とし、華やかさを売り続ける業界のパワーはどこにあるのか。まずは、自由が丘「モンサンクレール」など、コンセプトの異なる10ブランドを展開し、サーカスを見ながら有名シェフの料理が食べられるイベント『ルナ・レガーロ』へのスイーツ提供など、業界を超えて活躍し続けるパティシエ・辻口博啓氏にご登場願おう。
──いきなりですが、この不況においてもスイーツ業界は、低価格化に走らず、依然として高級路線ですよね? やはり業界全体の景気はいいのでしょうか?
辻口博啓(以下、辻口) いやいや、華やかなイメージが強いスイーツ業界ですが、景気後退の影響から無縁というわけにはいきません。リーマンショック以降、売り上げの低迷は顕著です。身売り、倒産といった話を聞くことも少なくありません。
最近は、我々に製菓材料を卸している業者ですら、売り上げを30%近く落としていると聞きます。流通の要となる業者がその様な状況ですから、ケーキ屋は推して知るべし。売り上げが減ってしまっている個人店も多いのではないでしょうか。元気なのは、200円台、100円台のラインナップが売れているコンビニスイーツ、というのが現実ではないかと思います。
──そんな中、辻口さんが経営される「株式会社アーシュツジグチ」は非常に調子がいいと聞きましたが……。
辻口 確かに、幸いにも、僕たちの会社は今期、開業以来最高益をあげることができました。ただ、それは新たなブランドを立ち上げ、多角的な展開を進めてきた結果にほかなりません。
──今年は「和楽紅屋」を4月に「ecute 東京」に、9月に「西武池袋本店」に出店されていましたが、やはりその効果は大きかったのでしょうか?
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事