アイドルグループ「ぱすぽ☆」の振付担当・竹中夏海が語るアイドルダンスの魅力とは?
#アイドル #インタビュー
「スキちゃんのかにょん(スマイレージの福田花音)が可愛くてむせる」
「あーりん(ももいろクローバーの佐々木彩夏)て天使、って気付きました(・∀・)」
……などなどと、アイドルへの惜しみない愛をネット上に綴る、とある”美人振付師”が、一部のアイドルファンの間で話題になっている。
彼女の名は、竹中夏海。単にアイドルオタクの振付師というだけでない。彼女が振付を担当しているのは、現役アイドルたち。つまり、”アイドルオタク兼アイドル振付師”という、実益をかねた(?)肩書きの持ち主なのだ。
彼女が主に担当しているアイドルは、アイドルグループ「ぱすぽ☆」。若槻千夏、岩佐真悠子、木下優樹菜などを擁する芸能プロ・プラチナムの子会社であるプラチナム・パスポート所属の10人組で、アメリカン・ロックテイストな曲調が特徴的なライブ系アイドルグループとして、現在人気急上昇中である。
”竹中先生”は、ぱすぽ☆のライブ現場には常に顔を出しており、ファンからは顔も名前も認知されている人気者である。そんな竹中先生に直撃取材を敢行。アイドルオタクとなった経緯、そして振付師から見たアイドルダンスの魅力について話を聞いた。
──アイドルはいつくらいから好きだったんですか?
竹中夏海(以下、竹中) 私が中高生の頃にモーニング娘。が全盛期で、カラオケで歌ったりはしてたんですけど、まだオタクと呼べるほどではなかったんです。覚醒したのは大学を卒業してから。07年末の『紅白歌合戦』(NHK)でBerryz工房が「付き合ってるのに片思い」を歌っているのを見て、ですね。メンバーのりさこ(菅谷梨沙子)のあまりのかわいさにどっぷりハマっちゃっいました。全人類の中でりさこが一番好きです。親兄弟を超えて、一番好きです!(笑)
──今はどんなアイドルが好きですか?
竹中 AKB48派かハロプロ(ハロー!プロジェクト)派かでいえば、ハロプロ派。どちらも魅力的なんですけど、AKB48が「普通っぽい子があか抜けていく過程を見せていくもの」だとすれば、ハロは「生まれながらの美少女」というイメージ。私は後者のほうがタイプなんです。女優でもグラドルでもなく、歌って踊るアイドルに最も惹かれますね。特に最近だと、スマイレージが大好き。ほかには、ももいろクローバーや東京女子流、バニラビーンズやTomato n’ Pineも。基本、DD(誰でも大好き)なんです。
──ダンスはいつから?
竹中 5歳から習いごとでモダンバレエを始めました。さらに中学時代には習いごとでバレエを、高校時代は部活で新体操部とバトン部を掛け持ち。大学は体育大のダンス科で、モダンダンス、ジャズダンス、コンテンポラリーダンス……などなど、いろんなダンスを勉強しました。
──ダンス漬けの人生なんですね。なぜそこで、アイドルダンスの振付をお仕事にしようと思ったんですか?
竹中 なんらかの振り付けを仕事にしていきたいけど、でもなんのジャンルでやっていけばいいか分からない……。悩んだ挙げ句に、エンタテインメント性を突き詰めたダンスは「アイドルの振りコピだ!」って気付いたんです。
──「アイドルの振りコピが、最もエンタテインメント」?
竹中 ダンスのショーって、映画やライブみたいに、デートで行くって感じではないですよね。でも、私はもっと気軽に、お客さんとの距離が近いものをやりたい。それはなんだろうって考えているうちに、大学時代にチアダンスをやっていたことを思い出したんです。チアって、ラインダンスの時にお客さんから「ハイ! ハイ!」って掛け声が入るんですよ。
でも、「チアよりももっとお客さん参加型のダンスがあった気がする……」って記憶を辿っていって、「そうだ! アイドルの振りコピだ!」って気付いて。私、アイドルオタクの方たちが、ステージ上のアイドルの振付を完コピする”振りコピ文化”がものすごく好きなんですね。振付師がアイドルの数人に振付を教えるだけで、その何十倍何百倍もの数のお客さんが勝手に覚えて踊ってくれる。なんて効率がいいんだ! と(笑)。
──では、ぱすぽ☆の振付を担当することになったきっかけは?
竹中 去年の4月に「振り付け 募集 アイドル」でネットで検索したら、ぱすぽのブログに行き着いて。そこで実際に振付師を募集してたわけではないんですが、ダメ元で問い合わせてみたところ、すぐに返事が来て面接。私のほかにも応募者がいたらしんですが、私が一番アイドルに詳しかったから採用してくれたらしいです(笑)。
──アイドルオタクだったことが功を奏したんですね。最初にやった振り付けは?
竹中 ぱすぽ☆が本格始動する前に、同じプラチナム所属の「セクシーオールシスターズ」内の2人組ユニット「D-Rive」を担当しました。いかにダンスを歌詞に連動させるか、意識して作りました。今よりも、かなり時間がかかってましたが。ぱすぽ☆で最初に振付をした曲は、デビューシングルの「Let It Go!!」と、それと一緒にお披露目された「無敵Girl!!」。D-Riveの2人からぱすぽ☆の10人に数は増えたけど、私はダンスをフォーメーションから先に作るタイプなので、10人のほうが逆にやりやすかったですね。
──現在のアイドルシーンにおける「アイドルダンス」というものをどう捉えていますか?
竹中 ダンスそのものの実力に関しては、ハロプロのクオリティの高さがブッチ切っていると思っています。例えば今、K-POPアイドルが本格派ダンスグループとして評価されてますが、実はハロプロのアイドルも同じくらいのスキルがあります。もちろん、K-POPアイドルも実力はありますよ。ただ、やっている振付自体は、結構ベーシックなものなんです。見せ方が上手いので、より本格派に見えるんですね。
ところがハロプロは、K-POPのように大衆向けに作っていない。かわいい動きやコミカルな動きをやっていても、実はスゴく難しいことをやっていたりします。その、「本格的にできるのに、あえてやらない贅沢さ」が素晴らしいんですよね。つまり、K-POP的なベーシックなダンスがまずあって、その発展系として、ハロプロやPerfumeがあるんじゃないかと。
──では、先生にとって最強のアイドルダンサーは誰ですか?
(ジョリー・ロジャー)
竹中 Perfumeののっち(大本彩乃)です。彼女はもう別格! Perfumeの振付師であるMIKIKOさんが伝えたいことを、メンバーの中で最も体現できているように思えます。ひとつひとつの動きが丁寧で、肩が入るべきところではちゃんと肩が入り、動きが止まるべきところではちゃんと動きが止まっている。完璧な振付と、それを体現する表現者としてのアイドル、という関係ですよね。すごい!
それから、好みでいえば、AKB48のあっちゃん(前田敦子)のダンスがグッと来ますね。動きがコンパクトなので”省エネダンス”とも揶揄されることもありますけど、全然そんなことはないんですよ。手を抜いてるんじゃなくて、全部出来た上で、コンパクトに凝縮して表現してるんです。通常、グループアイドルのセンターポジションって、派手なダンスをする子が多いんです。でも彼女は、ドセンターなのにコンパクト。その「はりきってなさ」が、逆にカッコイイなぁーっ! て思います。計算でやってるわけじゃなくて、きっと天才肌なんでしょうね。
──では、竹中先生が担当しているぱすぽ☆は、アイドルオタク的に見てみるとどういうグループなんでしょう?
竹中 今は、ライブに来てもらえるとがすごく楽しいと思いますよ。まだそんなに大きな会場ではやれてないですが、どんどんお客さんも増えてきていて、いちばん成長している時期だと思います。ダンスの未経験者が10人中8人もいたんですが、やっとダンスの基礎がひと通り入って、今年の夏あたりから、彼女たちのパフォーマンスも第2段階に入ったかなという手ごたえがあります。
ダンスで注目してほしいメンバーは、まずは経験者だったあんな(玉井杏奈)とさこちゃん(槙田紗子)。2人ともK-POPアイドルが好きで、動きや表情の作り方に影響が見えますね。それから、もりし(森詩織)は表情がものすごくいい子です。私は、個人が自分の判断でやったダンスの”アレンジ”は、個性として尊重して残すようにしてるんですが、そうしたアレンジをあまりやらずに、私の振付を最も正確に表現しているのは、もりしだと思います。この3人が、ぱすぽ☆のダンスの要ですね。
──大変おきれいな竹中先生。ご自身がアイドルにはなろうとは思わなかったんですか?
竹中 今26歳だからというわけではなくて、昔から振付師志向なんです。ダンサーになりたい、人前で踊りたいという欲求がなくて。でも、”男のアイドル”にはなってみたいですね(笑)。嵐が好きで、ファーストライブからずっと観てるんですけど、いつか嵐のメンバーになって、ステージ上で一緒に踊ってみたいなって思います。女の子にキャーキャー言われたい! 何百人ものお客さんが私の写真を貼ったうちわを持って、同じ振りをやってくれたら、きっと楽しいんだろうなー。将来の夢は、嵐になることです(笑)。
(取材・構成=岡島紳士<http://oshinshi.web.fc2.com/>/写真=名和真紀子)
●たけなか・なつみ
1984年6月10日、東京都生まれ。振付師。小学校5年生で子役デビュー。ミュージカル『美少女戦士セーラームーンSupers~夢戦士・愛・永遠に~』や、映画『学校の怪談2』などに出演。現在はぱすぽ。や、セクシー☆オールシスターズ(D-Rive、爆乳ヤンキー、爆乳甲子園)などの振付を担当している。
公式ブログ「チロリアン Nats*to You」<http://takenakanaketa.laff.jp/blog/>
●ぱすぽ☆
2009年に結成された、10人組の女性アイドルグループ。グループ名は「パスポート」に由来しており、衣装もキャビンアテンダントをイメージしている。そのため、メンバーはクルー、リーダーはキャプテン、サブリーダーはチーフパーサー、ライブはフライト、観客はパッセンジャーと呼ばれる。12月6日にファースト写真集が、12月8日にはファーストアルバムが発売される予定。
公式サイト<http://www.passpo.jp/>
公式ブログ<http://ameblo.jp/passpo/>
●ファースト写真集『ぱすぽ☆プレミアム写真集 Vol.1~ CIELO passpo official photo book ~』
ぱすぽ☆のクルーたちがみずからプロデュースした、1000冊限定のファースト写真集。シリアルナンバー付き!! 価格/5000円(税込) 発売/SymBook
TAKE☆OFF
10人組ロックアイドルユニット、ぱすぽ☆のデビュー以来の軌跡がここに。CDのみの「エコノミークラス」と、DVD付きの「ファーストクラス」の2種類をご用意!! 価格/2,990円(エコノミークラス・税込)、3,990円(ファーストクラス、税込) 発売/ジョリー・ロジャー
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