トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > その他 > サイゾーpremium  > 高須光聖×大根仁 テレビタブーの拡大は自主規制とフジテレビが元凶だ!?
タブー対談──放送作家とテレビディレクターが赤裸々放言

高須光聖×大根仁 テレビタブーの拡大は自主規制とフジテレビが元凶だ!?

 放送作家の高須光聖氏がDVDでフェイクドキュメンタリーを発表した。テレビの放送作家という印象が強い高須氏が、DVDで作品を出さなければならぬほど、テレビ業界は身動きがとれない状態なのだろうか。そこで、話題のドラマ『モテキ』のDVDの販売にも力を入れているテレビディレクターの大根仁氏と対談をセッティング。昨今のテレビ業界について、どんな制限があるのかなど、”業界の膿”に言及してもらった。

1012_takasu_one.jpg高須光聖氏(写真右)と大根仁氏(左)。
(写真/有高唯之)

大根 高須さんが監督したDVD『ドキュメンタリーハイ』、見ました。

高須 ありがとうございます。どうでした?

大根 SM嬢レイラの人生を追った「レクイエムレイラ」、よかったですね。特に前半、何も起こらない空気がすごい好きで。

高須 ナビゲーター役の板尾(創路)さんと完成版を一緒に見る機会があったんですよ。そうしたら台本見て全部の内容わかってるのにもかかわらず、レイラが死んだ瞬間、「え!」と驚いてましたから(笑)。どんだけ潜り込んでるねん? と。

大根 このフェイクドキュメンタリーって、最初からDVDで発売する予定だったんですか?

高須 そうなんです。ただ本当は地上波の深夜で流したかったんですよ。どうしてもDVDだと、事前に内容に関する情報が視聴者に入ってしまって、「仕掛けがある」という先入観が生まれるじゃないですか。そうじゃなくてフラットな状態から入って、面白さがゆっくり駆け上がるものを作りたかったんです。具体的に言うと、パッとテレビをつけたら映像が流れていて、「ああ、ドキュメンタリーか。何かの都合で枠が空いて放送してるのかな」と見始める。それがだんだん入ってくる笑いの要素に「何これ?」という気分になって、最後まで見た人が次の日、学校や職場で「見た? ムチャクチャやな、あれ」と言ってもらえるような出会いが一番理想的だったんです。地上波のほうが見てる人が多い分、事件になりますからね。

大根 確かに、テレビを通して出会いたい感じはしますね。それこそ昔のフジテレビだったら、少し時間をかければ放送できたような。

高須 ちょっと編集し直したらいけそうでしょ? どこかやってくれないか、声かけてるんですけどねえ。別に地方局でもいいですよ。ただ、死や病気を扱っているんで、腹くくってもらわないと困る。

大根 高須さんが手がけた『働くおっさん劇場』(フジテレビ/50代のおっさんたちがあらゆるスポーツや遊びを実践し、男を磨いていく。その報告を受けて、松本人志がダメ出しをしていくという番組)も、人に気づかれない、話題にならないような放送枠を探していたんじゃないですか?

高須 ですね。もともとあれは朝方3時ぐらいかな。テレビつけてたら、見たことない演歌歌手のおっさんが波止場で歌ってる映像が流れていて、それにすごい衝撃を受けて(笑)。「この枠で遊べへん?」と松本(人志)に言って始めたんです。そこからだんだん深夜に戻っていきましたけど、朝方やってるほうが面白かった。

大根 自分で見つけるということでは、僕も『モテキ』(テレビ東京)というドラマを企画から立ち上げて、放送してくれる局を探したんですよ。結局、行き着いたのがテレビ東京。

高須 やっぱりそこに行くんですか(笑)。

大根 テレビ業界には、たまに芸能事務所やスポンサー主導で番組を作れる枠があるじゃないですか。局のプロデューサーはクレジットされているだけで、問題を起こさなければ何も言われない枠が。僕が総合演出を担当していた『演技者。』(フジテレビ/ジャニーズ事務所のメンバーが、舞台で活躍している劇団とタッグを組み制作された番組)は、言ってしまえばジャニーズのそれで、それまでは少年隊がトークしたりするバラエティ番組をやっていた。それがジャニーズが舞台に力を入れる時期と重なったんで、演劇の作品をドラマ化する約束事さえ守っていれば、スキャンダラスなことをやってもOKだったんですよね。昔はそういった各局の行政枠や営業枠と呼ばれる枠で結構自由にやれたんですけど、今はその手のスキマが減ってきた。

高須 そういう枠が健在だったら、『ドキュメンタリーハイ』はDVDのパッケージじゃなくて、テレビで流せていたかもしれない。

大根 その一方で、ある種DVDに救われるというか、テレビ番組、特にバラエティはDVDを発売して元を取ればいいという流れも出てきましたよね。回収する見込みがあると作りやすさは広がるし、必ずしも視聴率至上主義ではなくなる利点があるような。

最終更新:2010/11/26 10:30
ページ上部へ戻る

配給映画