童貞時代の複雑な感情が蘇る! エロいけどヌケない写真詩集『思春期』
#フェチ #インタビュー #写真集
空に向かって跳ぶサラリーマンたちを収めた写真集『ソラリーマン』(ピエ・ブックス)や、女子高生の淡いフェティシズムを切り取った『スクールガール・コンプレックス』(イーストプレス)などで話題の写真家・青山裕企が、新作写真詩集『思春期』(ピエ・ブックス/谷郁雄氏と共著)を発表した。『スクールガール・コンプレックス』では写真の素材として女子高生を扱っていたが、今回の『思春期』ではより自然な舞台に置かれた女子高生の儚さ、美しさ、エロさなどに切り込んでいる。この、一見オシャレに見える写真集の裏にはどんなドロドロのリビドーが潜んでいるのか!? 青山さんに直撃してみた。
――青山さんと言えば写真集『ソラリーマン』に代表されるように、おっさんがジャンプしている写真のイメージが強いですが、被写体として女子高生に興味を持つようになったきっかけは?
「もともとジャンプ写真ばっかり撮っていたんですが、2006年にグループ展をやったときのテーマが『変態』だったんですね。人が跳んでる写真って、どちらかというとサワヤカでポップじゃないですか。せっかく『変態』っていうテーマなので、今までと違うことをやろうかなと考えた時に出たのが女子高生だったんですよ」
――『変態』と言えば女子高生だろうと!
「女子高生にしろサラリーマンにしろ、制服を着ている存在というのに興味があるんですね。都内で電車に乗っていると、サラリーマンや女子高生をよく見かけますけど、どこか無機質で記号っぽく見えるじゃないですか。そういうものを作品にしようと思って撮り始めました」
――ちなみに高校時代は共学でしたか。
「共学です。でも制服はブレザーで、市内でワースト3に入るくらいダサかったんですよ。だから高校時代は、それほど制服自体への執着ってなかったと思うんですけどね。まあ体操着とか、夏服のシャツに透けるブラとかはよく見てましたけど」
――新作写真詩集『思春期』では夏服しか写してないですよね。ブレザーにはそれほど苦い思い出があると。
「まあそこは、肌の露出の関係で冬服だと隠れすぎちゃうっていうのもあるんですけど」
――高校時代ってモテてましたか。
「中学までは完全にイケてないグループで、当然女子からは全く相手にされてなかったんですけど、高一の春になぜかクラスの女子からアタックされ、こっちが動揺する中、周りの盛り上がりに後押しされて、初めて付き合ったんですよ。でも、その女の子が……表現はよくないですけど、ヤリ手な子で。すぐに他の男子に乗り換えられ、一気に女性不信に陥ってしまいましたね」
――じゃあ女子高生に対するイメージって、むしろ悪かったりするんですか。
「そんなことがありつつも、ひとりっ子だったこともあり、ずっと同世代の女性と交流がなかったんで、女性に対してものすごい幻想を抱いていて『神聖な存在だ』みたいに思っていました」
――それ以外に高校時代の恋愛っていうのは……。
「大学受験の前日に同じバスに乗ってた女の子に一目惚れしました! しかも、その子が受験当日に同じ教室にいたんですよ。これは運命だと思うじゃないですか。なんとかして声をかけたいけど、そんな話術もない。しかも、実力的に試験には落ちると思ってたんで、今声をかけないと一生会うチャンスがない。そこで試験中ずっと作戦を考えて、終わって教室から出ていったところをつけていって、『財布を落としちゃったんで、帰りの交通費を貸してもらえませんか』って」
――それは……完全に怪しいですね。
「でも彼女は疑いの目ひとつせずに『いいですよ』って! そこで完全に心を持ってかれましたね。彼女は現役で合格し、僕は浪人して一年後にその大学に入ったんですが、借りたお金を返すという名目で住所を聞き出していたので、その間ずっと文通をしていました」
――告白はしたんですか。
「大学に入ってしばらくして、授業にも嫌気がさしはじめた頃に、キャンパスでその子と一年ぶりに再会したんですよ。でもそのとき横に知らない男の子がいて……。今考えれば、それだけでカップルって決めつけるなんてどうかしてるんですけど、当時は一年間膨らませ続けた思いでいっぱいいっぱいになっていたので『オレの大学生活はもう終わった!』って思っちゃって。その足で東京駅まで行ってしばらく失踪し、その後休学して旅に出ました(笑)。日本中を自転車で旅したんですけど、実はその時、旅先の風景を写真に収めたいなって思ってカメラを買ったのが、写真を始めたきっかけなんですよ」
――じゃあ今の活動って、その子に影響された部分が大きいとも言えますね。
「旅に出たのは、それ以外にもいろいろな原因があったんですけどね。運動音痴でモテなくて、自分に自信がなかったっていうのがコンプレックスだったんで、あえて自転車で旅を……みたいな。まあ、制服に対してこだわりを持っている男子っていうのは、こういう感じで学生時代にモテてなかったケースが多いんじゃないかなって思います。制服を着た子と上手くコミュニケーションが取れなかったからこそ、それを引きずっているという」
――そうですね、ボクも男子校だったんで制服には異常に執着してますからね! 今は撮影のときに上手くコミュニケーション取れてるんですか?
「いや、やっぱり撮影するときも恥ずかしくって……。今はちょっと慣れましたけど、知らない女の子とスタジオに入って、制服を着てもらうっていう時点で、もはやプレイですからね。どこか赤面しながら撮ってますよ」
――思春期のドキドキ感が蘇ってきた、みたいな。
「顔を写さないんで、撮るときにもモデルの子と目が合うことはないっていうのもポイントですね。だからこそじっと見つめられるんですよ。教室で斜め前の女の子を見つめている感じ。しかもブラが透けてたりしたら、必死で目に焼き付けてたじゃないですか、そんな気持ちを写真上で再現したいと思っています。世の中にはエッチな写真って氾濫しているんで、単純に女子高生をいやらしい性的対象としては扱いたくなくて、かといってすごくキレイに芸術的に……っていうだけでもない」
――好きな子の透けブラを死ぬほど見るけどそれでオナニーはしないぞ、みたいな。
「そういう高校時代の複雑な感情に似ていますね。この写真集を見てエロいって思う人は多いとは思うんですが、でもヌケない。女子高生って、いやらしいものでありつつ、神聖なものでもあると思っているので、そう簡単におかずにはさせないぞっていうのは意識しています」
――この年になればエロ本でもエロビデオでも平気で買えますけど、この写真集を見るのはちょっと恥ずかしさを感じますからね。
「そんなに露出が強いわけじゃないけど、すごくエロく感じる。それって、当時思ってた淡いエロさが蘇ってるんだと思いますよ」
――それでは今後、撮っていきたい題材があったら教えて下さい。
「日本的なものですね。サラリーマンとか女子高生っていうのも実に日本らしい存在じゃないですか。海外のサラリーマンがジャンプしてる写真も撮ったことがあるんですけど、格好良すぎるんですよ。スーツの広告みたいで違和感がない。海外もいろいろ巡った結果、やっぱり日本って面白いなって思っています」
(取材・文・写真=北村ヂン)
●あおやま・ゆうき
1978年愛知県名古屋市育ち。サラリーマンや女子高校生など”日本社会における記号的な存在”をモチーフとし、自分自身の父親像や思春期観などにユーモアを取り入れながら制作している。07年「キヤノン写真新世紀」優秀賞(南條史生選)受賞。著書に『ソラリーマン』(ピエブックス)『スクールガール・コンプレックス』(イーストプレス)がある。
<http://yukiao.jp/>
グループ展『写真三銃士 2010』
会期:11月19日(金)~ 28日(日)
会場:新宿眼科画廊
住所:160-0022 東京都新宿区新宿5-18-11
電話:03-5285-8822
開催時間:12:00 – 20:00(最終日は17:00まで)
休廊日:木曜日
協賛:キヤノン株式会社
* 入場無料
* 写真鼎談(yukaicamera on USTREAM):11月20日(土)16:00 ~17:00
* アーティストレセプション:11月20日(土)17:00 ~20:00
* 写真三銃士写真集「誓約」発売(A5, 白黒, 80ページ, 700円, 100部限定)
女子高生とは、永遠にイノセントな存在なのです。
ピエ・ブックス刊/定価:1890円
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