A・ロメロの幻の傑作が蘇る! 緊張と迫力のホラー映画『クレイジーズ』
#映画 #邦画 #洋画
ジャンルも別々でオリジナルの知名度も異なるが、ともに注目度の高いリメイク作品が2本、偶然にも11月13日にそろって公開される。
最初に紹介する『ゴースト もういちど抱きしめたい』(パラマウント+松竹配給)は、死者の霊と残された恋人のラブストーリーという斬新な筋立てが大当たりし、世界中で大ヒットを記録した『ゴースト ニューヨークの幻』(90)を基に、舞台を日本に移して再構成したアジア版リメイク。オリジナル版ではビジネスマンの男性が命を落としてゴーストになり、残された陶芸家のヒロインを守るという設定だったが、本作では会社経営者の七海(松嶋菜々子)が不運の死を遂げ、陶芸を志す青年ジュノ(ソン・スンホン)が後に残されるという、男女の立場の逆転も重要な変更点だ。
七海はある日、日本に留学して陶芸を学んでいるジュノと出会い、恋に落ちる。だが、2人で幸せな生活を始めた矢先、事件に遭遇し命を落としてしまう。七海の魂は天国に行くことを拒否し、ゴーストとなってジュノのそばに留まることを選ぶ。ジュノの身にも危険が迫っていた。七海は果たして、ジュノを敵から守ることができるのか。そして、大切な想いをジュノに伝えることができるのか。
日韓を代表するスターの豪華な共演に加え、物語のカギを握る霊媒師役には樹木希林が配され、独特の存在感で好演。オリジナルの名場面もしっかり再現されている。旧作を観た人なら懐かしさを覚えながら、また未見の人なら新鮮な驚きとともに、不朽のラブストーリーに心から感動することだろう。
2本目の『クレイジーズ』(ショウゲート配給)は、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68)でデビューし『ゾンビ』(78)で世界的大ヒットを放ったホラーの巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督が73年に手がけた同名の”幻の傑作”がオリジナル。今回のリメイクでメガホンを取ったのは『サハラ/死の砂漠を脱出せよ』のブレック・アイズナーで、製作総指揮にはロメロ監督も名を連ねる。
アメリカ中西部に位置する人口1,000人余りの小さな田舎町。顔見知り同士のどかに暮らしていた住民たちが、ある日を境に突然発狂し、他の人々を襲い始める。異常な事件が相次ぐ中、保安官のデビッド(ティモシー・オリファント)らは、川に墜落した軍用機から流れ出た何かが、飲み水を通じて体内に入り、住民を凶暴化させていると推測。給水を遮断するも、暴徒化した”クレイジーズ”の殺戮と破壊は広がり続ける。その頃、軍隊が出動し町全体を封鎖。細菌兵器流出の証拠隠滅のため、クレイジーズだけでなく正常者も抹殺し町ごと焼却しようと目論む。デビッドと身重の妻ジュディ(ラダ・ミッチェル)は生き残りをかけ、町からの脱出を図るが……。
『バイオハザード』や『28日後…』といった感染サバイバル映画の原点とも言える傑作に、現代的な感覚が加味され、緊張と迫力に満ちた最新ホラーとして蘇った本作。ロメロ監督がかつて作品に込めた社会批評が、現代のリメイク作の中でどう再解釈されているかを読み解くのもまた一興だ。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
「ゴースト もういちど抱きしめたい」作品情報
<http://eiga.com/movie/54873/>
「クレイジーズ」作品情報
<http://eiga.com/movie/55359/>
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